7話 10年前パート6 ヴェイルには、シャドウをレンタルしてあげる❤
オウジサマにド直球で真っ黒と言われ、ヴェイルはため息をついた。
「真っ黒で悪かったな。話せばながくなるんだが」と、ヴェイルは苦々しく口を開いた。
(長くなる?私は人の話が長いと飽きるんですよねぇ。……メンドクサ。もう眠いわ)
隣の銀の瞳の(全っ然、似合わないです)オウジサマもメンドクサそうな顔をしている。
「長いなら説明はいいよ。いらない。要は真っ黒で私の命を狙っていたんだね。でも私は生きてるから、殺すつもりはないんだろう?」
「ぐっ、殺すつもりはあったさ。だが竹馬の友だからな。繊細な僕の心は、殺さねばならない!いや、友ではないかころせない。の繰り返しだ。殺すことができれば堅苦しい王宮から逃れて故郷の邸で毎日のんびり過ごせる。だが!幼き頃カイルと仲良く過ごした故郷で殺した後にのんびり過ごせるか?いや、必ず罪悪感が伴うだろう。ああ、葛藤だ。僕はどうしたら……」
「「・・・・・・・」」
うつ向くヴェイルに、白々しい空気になる私たちは悪くないと思います。オウジサマなんて、別の世界へ飛んで行った目をしていますわ。気持ちは分かりますケドね。
よーするに、自分が自由になりたいから竹馬の友を殺そうとした、でよいわけですね。ヴェイルはゴロゴロしたくて家に帰りたいんですね、、、そっかー、そうなんですね。納得×2
な訳ないですよねぇ。王族殺しは極刑。バカ?バカなんですか?けれど白魔法で見るからして、シャドウに適した人なんだよね。……これしかないですね。
「わ、わたくし、、、こわ~い」
なるべく弱々しい声を出してみたら、オウジサマもおバカヴェイルもこちらに目を向ける。
「こ、ころすとか、オウジサマにですよね?それ、悪いことです。フィリア、今からお父様にお話してきます」
震えながら後退りすると、ヴェイルは目に見えてうろたえた。
「フィリア嬢。殺せなかったんだから、未遂だから!むしろ殺さないから!!」
おバカですかこの男。未遂だから許されるわけないのに、その考え、行為が問題ですよ。
「いえ、でも殺そうとした、悪い人!お友だちなのに!お父様にぜーったいはなしちゃいますから!ヴェイルが怒られてくださいな!」
「ま、待て、待ってくれ!殺さない!殺さないから。」
「うそです!」(シャドウ発動)
「本当だ」
「では、いつでもオウジサマを守ってくれる?」
こっそりと身体から出てきた陰の球体をヴェイルに近づける。
「ああ、竹馬の友を守るよ」
よしっ!
「シャドウ、ゆけ!ヴェイルの中で、この者の言葉偽る時、この者を消すがよい」
シャドウをヴェイルの身体に入れると、私はにっこり笑いかける。
「オウジサマを裏切ったら、ヴェイルは死んじゃうから、しっかりシャドウの力を借りて守ってあげてくださいね。あなたは闇の魔力と相性抜群。隠密にもなれるわよ」
「「・・・・・・・」」
オウジサマとヴェイルは固まっていたけど、私はよいことをしたよね?暗殺阻止、護衛作成! 万々歳ですね。
ヴェイル、シャドウを使いこなしてくださいな❤