無情の木
登るように落ちる葉が
風で斜めになる
一日の儚さが
一枚の回転に押し込められ
裏表に筋が見えた後
土になる為に
そっと到着し
記憶が干からびるように
消えていく
振り返れば
茶色に見えるのは
いや
茶色だけに見えないのは
きっと
その所為である
あの変色部分で
何かありましたね
そう言ってくれるのは
影だけで
どんなに愛情があろうと
他人が気づくことは無い
当人と同じでは無い
何かのピースを
見つけることはあっても
だから
あなたが忘れたら
誰も分からなくなる
人は独りだという形は
それを指しているだけであって
表面側を見て
言っている訳ではない
決して表に出さない部分を
一人の時に考えるような話だ
それが燃料になっている
絶やさないことだ
他人にピースを見つけられ
どの形にしようか
見当もつかない人は
偶に居る
独りでしか戦えない
アナザーワールドで戦って
疲弊していく人も居る
全てを予想の時間に使って
意味があるのか
なんて
自分からの指摘すら素通りし
のめり込んでは
病院のベッドの上で
天井を見つめる人も居る
他人を考える時には
他人が居なければ始まらない
確かなことは言えない
ズラズラと並べて
予想はしない
なるべく避けようとする
そう考えているからか
自分を考えた時には
自分は常に在るから
死ぬまで続くことのように
思ってしまうのだろう
それに疲れてしまった人は
道を選ぶ
他生物に心酔するか
他人の為に何かをするか
他人の所為に何かをするか
自分の時間を止めるか
単純明解な答えを出し
考えることを拒絶するし
考えなくても済む方法を選ぶ
悲しいかな
行動には結果がやって来る
ベッドの上で仰向けになり
年老いて弱くなった身体で
窓から見える空ばかりを見る
数日で飽きる行為
一月に一回の見舞い
三カ月に一回
半年に一回
一年に一回
見舞いというより様子見になり
生き物を
観察するかのようでありながら
目的は違うことだったりする
もう、やることは
振り返ることしか無い
読書、音楽も満足に出来ない
催し物は月に一回か、週に一回
そんな中であれば
人は出来ることしか
やらなくなるのだろう
その時に
若き日の結論と対面する
影から突き付けられるのだ
どうするのだろう
時間は、もう
冬の木のようである