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皇極天皇 五
秋七月三日辛寅、
人を難波に遣はして、
百濟の調物を検し、
その數の、
常に減じたることを責めしむ。
茨田の池水、
大に臭く、
八月に至るまで、
其の色、藍の如し。
九月六日壬午、
改めて舒明天皇を崩る。
十一日丁亥、
皇祖母吉備島命薨ず。
十七日癸巳、
土師娑婆連猪手に詔して、
喪事を視さす。
皇祖母の、
始て病に寝ねしより、
以て喪を發するに至るまで、
天皇、
牀側を去らず、
視養倦むことなかりき。
十九日乙未、
皇祖母を檀弓岡に葬る。
是の日、
雹を雨らす。