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皇極天皇 参
十三日丙申、
百濟、達率長福をして入りて質たらしむ。
位小徳を授け、中客以下にも、
位を授け物を賜ふこと、
各差あり。
九月三日乙卯、近江・越の丁を發して、
百濟大寺を造らしめ、
復諸國に課して、船舶を造らしむ。
十九日辛未、將に宮室を營まんとするを以て、
詔を諸國に下し、
十二月を限りて、
材を取り、
亦諸國の丁を發すること、東は遠江に至り、
西は安藝に至る。
二十一日癸酉、
越の蝦夷数千、相率ゐて内俯す。
冬十月八日庚寅、
地震ひ、
九日辛卯、
又震ひ、
二十四日丙午、又震ふ。
是の月、雲なくして雨ふる。
十二月十三日甲午、
始て舒明帝の喪事を行ひ、
二十一日壬寅、
舒明天皇を葬る。
是の日、天皇、
權に小墾田宮に遷る。
是の冬、数雷雨あり、
暖煦なること春の如し。