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皇極天皇 弐
三月三日戊午、雲なくして雨ふる。
六日辛酉新羅の賀登極使、及び
弔喪使来る。
夏四月八日癸巳、百濟の翹岐、拝朝す。
霖雨、月を踰えて止まず。
五月五日己未、
翹岐を召して射獵を観さす。
十八日壬申、百濟貢調す。
國勝吉士水鶏、
百濟より還る。
是の月、稻の熟することあり。
六月、大に旱す。
秋七月九日壬戌、客星月に入る。
二十七日庚辰、大臣蝦夷、
百姓大に雩すれども應なきを以て、
僧を大寺に聚めて、大乗経を讀ましめ、
香を焼きて自ら祷るに、
亦験なし。
八月甲申の朔、
天皇南淵河の上に行幸し、
跪きて四方を拝し、天を仰ぎて祈る。
雷雨忽ち至り、遂に雨ふること五日、
諸國に遍し。
百姓、萬歳を呼び稱して
至徳天皇と曰ふ。