アメリカ帰りのミリオタ
昔に書いたものをちょこっと書き換えて投稿したものです。事件発生まで日常をご覧ください。
僕は桐岡啓二。
普通の高校生ではちょっと体験できない体験をいろいろとしている。
思えば小学校二年生のころから、父親の都合でアメリカに行って、日本人学校に通っていたから、大多数の中で授業を受けるのはかなり久しぶりのことになる。
アメリカでは、友人になった日本語ペラペラのハイテンションなおじさん(もちろんアメリカン)がいたから、会話に困る事は少なかった。
それに、森の中でリスとか鳥とか撃って、狩りを楽しんだ事もあった。普通の高校生じゃ味わえない感覚。銃を撃った事のある高校生なんて、この日本じゃそうはいないだろう。
別に犯罪者じゃないよ?
高校二年生の春がやってきた。僕が日本に帰ってきてから初めての春休みが終わった。秋に転入した時、先生がわざわざ「アメリカにいた」といってしまったため、僕の第一印象は『英語ペラペラの日本人』という感じだった。悪いが人並みだ。僕自身はほとんど向こうで英語を話さなかったし、日本人の学校に通っていたから、アメリカ史より日本史やっているし。
そんなこんなで、アメリカ帰りにもかかわらず英検三級レベルの僕は、当初久しぶりの日本にちょっと感慨深くなってしまったのだ。
こっちにきて驚いたのは、ハンバーガーとかのサイズが恐ろしいほど小さいと感じた事。もちろんもとはこっちにいたから、向こうに行ったときには逆に大きいと驚いたけどね。でも慣れてしまったせいか、これでみんな満足できるのか? と本気で疑問に思ったくらいだ。
まあ、それはどうでもいいんだ。僕がアメリカに住んでいたことはわかってもらえたと思う。だから何? まあ、ぶっちゃけて言うと、アメリカにいた日本人=英語ペラペラとは限らないということ。
アメリカ人に囲まれて育っても、小学二年生は日本に染まりすぎているから、何を話しているのかさっぱりで、確かに学校でも英語やったけど、別にできないからって苦労しなかった。通訳いたからね。
フランクおじさん。……今何しているのかな。
陽気なアメリカンのフランクおじさんは、僕に射撃の才能があると言ってくれた。あと二年くらい練習すればオリンピックに出られるくらいになる、と。惜しい。あと二年練習できないのが惜しい。
今の僕は、実銃を触れないから、我慢してトイガンを弄っている。駄目だ、満足できない。毎朝毎朝握って撃っているけど、こんなんじゃない。あの腕にガクンとくる強い反動と空薬莢が飛び出す快感。火薬の匂い。すべてがない!
「このニセモノがー!」
思わず叩きつけそうになったが、一万円以上したガスガンを床にたたきつけるのは勿体無い。そこでベッドに方向転換! ぼふっと布団の海に埋もれたガスガンは、軽く跳ねて床に落ちた。
一瞬焦ったが、ダメージは軽微。壊れてはいないはず。
「実銃そっくりの反動があれば、絶対売れるのになぁ……」
トイガンメーカーに文句をぶつける、登校時間一〇分前のことだった。