山の選択は
初投稿、初小説です!
ですので読みづらい部分もあると思いますが是非読んでいただけると幸いです。
やがて町で一番栄えているであろう中心部に着いた。しかし、人も見えず車もまばらにしか走っていない。ふと時計を見ると二時を回っていた。一番暑い時間。歩く人がいないのも当然だ。それにどちらかというと車で都会に仕事に行く人が多いのだろう。とにかく、こんなに汗をかきながら歩いている僕たちがおかしいのだ。
「とりあえずあの店で飲み物買おうぜ!」
「しょうがないわね~」
涼太は春香に訴え、珍しく採用された。さすがの春香も飲み物なしの町一周は厳しいものがあると判断したようだ。四人が各々、ペットボトルを片手に歩を進める。
一番栄えていたところからまっすぐ突き進んだ。畑や田んぼを横切りやがて目の前に、この町のシンボルとでもなり得る小高い山が見えてくる。
まずい。春香はまさか登りたいとか言うんじゃないよな……。よし!
「なあ春香。あの山の麓を一周してもう帰ろう。さすがにキツいよ」
「う~ん……仕方ないわね。幸い道はあるみたいだしそうしましょ!」
……幸い?道がなくても行くつもりだったのか?いや、春香は行くと言うに決まっている。この幼馴染の僕が保証する。しかし最悪の事態が避けられてよかった。僕の中で最大の譲歩。妥協案に同意してくれたようだ。最初は、帰ろうと言いかけたが彼女の反論が来ることを考え今までの経験から山の一周に落ち着かせた。
しかも開放してくれるらしい。
春香にしては珍しい事だが疲れから今ある状況を素直に飲み込むことしかできない。さっさと一周して部屋で休みたい。彩も汗を拭いながらニコニコしてついて来てくれているが疲労を隠しきれていない。涼太は、この小高い山に来るまでの林道で自分の背丈くらいの枝を見つけ振り回しながら歩いている。
化物か……。乗り物には弱いくせにスタミナだけは無尽蔵のようだ――おそらく春香の体内には永久機関があるのだろう。
目の前に分かれ道が現れた。
一周できるように簡単な道が切り開かれている。車の通っている証の雑草が生えていない2本の線が続いている。
「よし! 右へいこうぜ!」
「いえ、左へ行くわよみんな!」
涼太の意見を一蹴し、春香は進む。抵抗しようとする涼太だがすでに数歩先を行く春香の意見が覆るほどの理由を持たない。というより春香も理由なく左を選択したと思うが・・・。
「まあまあ涼太。春香はこれで開放してくれるんだ、着いて行こうよ」
「私も少し疲れちゃった。それに、先生も心配してるかも……」
あの担任が心配しているとは思えないがうんうんと頷いておく。これ以上面倒な人間を増やさないように立ち回らなくてはいけないな。そう考え涼太をフォローしておく。
「はやく来なさーいっ」
春香の明るい声が響く。はあ・・・。あの満面の笑顔を見せられると弱いな。僕もまだまだ甘い。そう思いながら春香の背中を追って行く。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
また是非よろしくお願いいたします!