想像は初めから
初投稿、初小説です。
ですので読みづらい部分もあると思いますがよろしくお願いします。
「さぁ! ここら辺ね! 彩ちゃんだけ期待してるわね!」
「わたし……頑張るよ!」
なぜ彩ちゃんにだけ期待を寄せているのか。せっかくなら僕と涼太にも一声かけてほしいものだ。だが僕自身初心者なだけに期待されたらそれで困るものはある。
それはさておき、彼女もやる気を出しているようなのでいいことだ。全員が釣る気がないとお昼のご飯は高校生のお腹を満たすには物足りない量になるのはわかりきっていたからだ。ここまでの道のりは大変だった。上流に行くほど石は大きくゴツゴツしたものになっていく。それに石の積もった所だけを進めるわけではなく。草木の生い茂った所を無理矢理、押しのけ道としてきた。
時間にして20分ほどだったようだが僕の体力を奪うには十分の道のりだった。僕は適当な木陰を探し、休憩することにした。このままでは立っているのも難しいほど疲れていた。
ハアハア。
僕は持ってきていたペットボトルに入れたお茶を飲む。春香、彩ちゃん、涼太はすでに釣糸を垂らす準備をしていた。彩ちゃんは涼太に手伝ってもらいながら準備をしている。僕はもう少し休もう。急ぐと釣れる魚も釣れなくなるはずだ。背にセミの鳴き声を感じ、涼しげな川の音を全身に浴びている。今では、セミの鳴き声さえも心地よく聞こえる。僕は夢の事を考えた。場所はよく似ている。しかし、みんなの様子は少し違う。よく覚えていないがみんなの会話はこうではなかった気がする。
「さぁ釣るぞ! 何してるんだよ優!早く釣って昼ごはんだぞ!」
「疲れたからちょっと休憩してただけだよ」
涼太が僕を急き立てる。なにもそんなに焦らなくてもいいだろう。ここまで先生にばれていない。それに、焦った所で仕方がない。僕個人の意見としてはのんびりしている環境ではのんびり過ごしたいのだ。
「早くしないとこの辺の魚いなくなっちゃうわよ!」
春香……。川にいる魚を絶滅させる気か?
それは流石に可愛そうだ。本当に全部を釣ってしまって生態系を崩すようなことはしないと思うがここは僕が見張っておくべきだろう。春香は言葉にしたことを本当にやってのけてしまう。頼りがいのあることだが、時に危険である。ということを僕は、彼女と歩んできた人生で学んでいる。幼馴染だからこその直感というやつだ。
「……はいはい」
――
キョロキョロと辺りを見回し、適当な場所を探す。春香を見張ることが出来て、僕自身も釣りに集中できる場所。僕は大きな岩。高さで言えば3メートル、横幅は2メートルほどの岩に登りそこから釣糸を垂らした。ダラダラと汗を垂らしながら釣竿の先を眺める。
「やった!釣れちゃった!」
「すごいじゃない!」
少ししてから彩ちゃんの喜びの声と春香の祝福の声が聞こえてきた。どうやら僕たちの中で一番先に釣れたのは彩ちゃんらしい。春香は言葉と表情では祝福しているが、内心すごく悔しがっていると思う。しかし、彩ちゃんで良かった。僕や涼太だとその悔しさが外に発散されるからだ。
「あ! 私も釣れたわ!」
「俺も!」
続々と釣果報告が聞こえてくる。入れ食いでないのはいいことだ。ここの川の魚が絶滅することはないだろう。
――ビクッ
竿が振動した。2つ3つ竿の先が上下に動いた。僕はすかさず真上に引き上げる。よし、掛かった!
「みんな! 僕も釣れたよ!」
なかなかの笑顔だったと思う。自分でも分かるほどの。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
また次回、是非よろしくお願いいたします!