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僕の答えをいつまでも  作者: 星野詩乃
第1章「林間学校にて」 
11/41

今日の月は

初投稿、初小説です。

ですので読みづらい部分もあると思いますがよろしくお願いします

 それからは、BBQを存分に楽しみ、味わった。たまには外で食べるのも悪くない。そこには友達がいて、これ以上ない自由の楽しさを感じた。そして、暗くなる前に後片付けをすませた。


 日も完全に落ち、僕たちは、中庭に直接生えている木の下でランタンを囲んだ。


 昼間より、幾分涼しげな風が吹き静寂の中に様々な生き物の声が聞こえてきた。カエルやコオロギ。正直、生で鳴き声を聴いたのはこれが初めてかもしれない。だが無数の鳴き声が聞こえていても嫌にならない。むしろ心地よいBGMになっている。本能は言う。僕たちは確かに今ここで生きていた。


 都会の狂騒のなかでは、自分を主張しないと誰も見てくれない。こちらは、まったくの別世界だった。ここではすべてが許されて、1人1人を認めてくれている気がした。


 月は、僕達を見おろし、星たちは、僕達を包んでいく。その光景が眼球の裏にさえ広がっていた。時間が止まっている、あるいは同じ時間がループしている気がして、しばらく僕たちは、物思いにふけることを止められないでいた。僕たちの中で流れる初めての静寂は、なぜか郷愁に似た感情を抱かせたのだった。


 ……春香を除いて。


「明日は何があるんだったかしら?」


「明日は近くの川でお魚を釣ったりするらしいよ~。楽しみだね~」


 春香はもう明日の質問を問いかけ、彩ちゃんちゃんから答えを聞きだしていた。今はこの状況に感動し、非日常を全身に浴びてボーっとする時間なのではないか。少しでもこの環境に浸ろうとは考えないのか、僕にとってはあと1時間、黙ってこうしていられる自身がある。


 しかし、彩ちゃんは春香の質問に答えていた。


 前言撤回。


 優しさ。質問されれば答える。普通はこういうものなのだろう。ランタンの光でボォッと浮かんだ彩ちゃんの横顔を見てからそう考え直した。


「ここらの川の魚を獲りつくしてやるぜ!」


「明日は、キャンプ場でテント立てて寝るらしいね」


 僕は涼太の、半分は本気で言ってそうな発言を無視し、その日の情報を補足して伝えた。


「……ふーん」


 おいおい。聞いておいて反応はそれだけか。相変わらず答えがいがないな。そう思いながらその場を流した。


「おーい! そろそろ就寝時間だぞー!」


 崎島先生が建物内から窓を開け、僕達に向けて声を上げる。おそらく声の大きさから考えると僕達の他にも生徒が何組かこの近くにいるのだろう。姿は見えないがところどころから返事を表す声が聞こえてきた。


「そろそろ寝ようぜ!疲れた。」


「そうだね~」


 涼太はフワァと大きくなるであろう欠伸をこらえつつ、彩ちゃんの返事を聞いていた。

 

 先生の号令通り、僕たちは部屋に戻ってその日を終えた。




 僕はその夜、夢を見た。


ここまでありがとうございました!


また是非よろしくお願いいたします。

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