一話 地獄の始まり
今回は、原賀翔視点です
ここはどこだ?
真っ暗な部屋
暗闇でも見える俺の目なのに全然見えない
どういうことだこれは・・・
『さて、よろしくお願いしますね。今日から』
「!!!」
後ろから声が聞こえた
・・・そこには、小さな黒髪の少女が立っている
不思議なことにその少女だけは見ることができた
「だれなんだ?お前・・・」
警戒しながら聞く
どこなのかわからない場所
そこに少女と青年が一人
いや、この場合は少女と化け物が1人ずつの方が正しいか
『くすくす。くすくす』
「答えろ!!!」
怒鳴りをあげる
なのに、少女は全然答える様子はない
不敵な笑みを絶やさずにゆっくりと近づき・・・
『頑張ってね?地獄だけど』
―――――ドゴッ!!
「!!!」
足元に会った感覚がなくなる
いや、落ちていくという感覚が生まれた
落ちている?
一体どうして?
「うあああああ!!!!!」
【小流学園 保健室】
「うあああ!!!・・・あ」
「起きた!!」
―――ガバ!!
・・・?
なんだ?どうしてミサラが俺に抱き着いてきているんだ?
いや・・その前にここはどこだ?
俺は一生懸命に記憶の糸をたどっていくが、校門に入ったあたりから記憶がない
この俺が気を失った?
「よかった!本当に・・よかった」
目に涙を浮かべて抱き着いてきている
あれ?あいつらはどうしたんだ?
「なあ、ミサラ。順を追って説明してくれ 何が起こったか」
「うん うん」
ミサラは丁寧に説明してくれた
内容は俺が思っている通り校門に入った瞬間に意識を失った
だけど、俺が倒れた瞬間は誰も見ていない
気が付いたら倒れていたという感じらしい
で、亮伍と準が俺を保健室に連れて行ってくれた
そんな感じだ
・・・やってしまった
任務失敗だ
俺は・・・ようやく任務を失敗したことに気が付いた
俺の体を探るとクナイがない
一本も・・・
今日に備えて大目に持ってきたはずなのに一本もないなんてありえない
なら、俺が知らない内に使ったか保健室に運ばれる際に落ちたか
だけど、保健室に運ばれるにしてもそれぐらいで落ちるような荒っぽい運び方はしないはずだ
そして、落ちたなら教えてくれるはずだ
なのにそれがない
そして、一番おかしいのは・・・
俺が倒れたことは誰も見ていない
校門には人が大勢いた
なのに誰も俺が倒れているのは見ていない
おかしすぎる
だけど・・・話がこうなれば納得いくことができる
校門に入った瞬間に、誰かが時間を止め俺をどこかに連れて行った
そして、俺は反撃をするが無理だった
クナイはその時に使った
そう、考えればあり得る
なんせ、魔法や呪いが現実にあるんだ
そんなことがあってもおかしくはないけど・・・
「・・ごめん。ミサラちょっと一人にしてくれ」
「うん。じゃあ亮伍と準に起きたって伝えてくるね」
そう言って保健室から出て行った
・・・くそ!!!!
何やってんだ!!!俺は!!
親父に任されたくらいで浮かれて・・・そして、任務失敗?
最悪じゃねえか!!!
俺は床を叩いた
そしたら、床がへこんだ
本気で殴りすぎたな・・・でもまあ、ばれないだろ
俺はいそいそとベッドに戻った
・・・いや、待てよ
まだ・・・完全に失敗してない
俺の任務は封印か破壊だ
そして、呪いは俺に対象を向けた
ある意味で封印だ
なんとかその間に呪いを破壊か完全封印すればいい
まだ終わっていない!!!
そう思った時だった
――――カアアアン!!
「ハグ!!」
―――カラン、カラン
なぜか上からバケツが落ちてきた
そのバケツは床に転がって音を響かせている
・・・どうして?
いや、考えている場合じゃないかもしれない
俺は頭上を見上げると、大量のバケツがあることに気が付いた
それが今にもおちそう・・・て言うか落ちてきている
「うおおお!!!」
――――ガラン ガラン ガラン!!!
間一髪避けた
・・・危ない
なんであんなところに置いていたんだ?
そう、考えていたが理由がわかった
地獄のような学園生活
外は雪だ
雪ならば新入生の一人に地獄のような学園生活を与える
たしか、呪いにそうのような項目があった
なら・・・それを実行されているだけ
「何?今の音」
保健室の教師みたいな人が入ってくる
「今さっきバケツが落ちただけです」
状況を簡潔に説明する
保健室の先生は考え込んで、バケツの位置を変えると言った
だけど・・・これで呪いが終わるはずがない
他に何が待ち受けているのだろう?
そんなのんきなことをこの時の俺は考えていた