屋上
誰かが語っている様な妄想をしつつ、ノリと勢いで書きました。
あるサラリーマン仕事を終えて、
この日は少し遠回り。
性別男、歳30、いまだに独身彼女無し。
いつもと違う道で、夕方の散歩と洒落込んだ訳で御座います。
男がふと見上げると、そこには2階建てのアパートがありました。
その屋上に立つ一人の女性。
夕焼けに映える白いワンピース。
さらさらなびく長い黒髪。
透き通った白い肌。
丸くて大きな黒い瞳。
男が見とれていると、彼女は一歩進みました。
もう裸足のつま先が、彼の目に入っていて、今にも落ちそうです。
男は言いました「おい、何やっているんだ、早く降りて来い!」
女は言いました「それはできません」
「何故だ」男が問うと、
「ここから落ちて死ぬつもりだからです」女が答えます。
しかし、彼女が立っているアパートは2階建て。
誰の目から見ても、飛び降りて死ねるような高さではありません。
「そんな高さからだと、落ちても死ねんぞ。痛いだけだ。それに、話だったら俺が聞いてやる」
男はなんとか彼女を説得しようとしたのですが……
説得むなしく女は更に一歩踏み出し、ひらりと落ちてしまいました。
頭から落ちる女。
ただ見つめる男。
そして、もう地面にぶつかる!という所で、女はフッと消えてしまったのです。
男はしばらく呆然としていました。
そして、幾分か経ち、少し冷静になりました。
すると、彼の脳裏には「幽霊」という二文字が浮かび上がったのです。
「ひょっとして俺は、この世のものでないのを見たのかもしれない」
と思うと、急にがたがたと震えだしてしまったのです。
なぜなら、彼は今までそんなものを見たことも無く、
友人の怖い話には冷笑し、
テレビの怪談番組にはケチをつけ、
恐怖小説、漫画は読んでいる最中に眠ってしまうほど、
信じてもいなく、興味を持っていなかったのですから。
ビバ大槻教授。
幽霊はみなプラズマで出来ているのだ。
それが彼の考えでしたから、この出来事は、月まで吹っ飛ぶ衝撃だったのです。
「落ち着け、こういうときには素数を数えるんだ……
2…3…5…7…」
翌日、どうしても原因を探りたい男は、友人に話を聞くことにしました。
「**アパートで、昔、飛び降り自殺があったか?」
友人1「NO」
2「NO」
3「NO」
4「NO」
5「Nein」……
結果、全員の答えは「いいえ」
確かに、昨日自分が思ったように、あんな高さから死ねるわけが無いんですから、
そんな事故・事件が起きるわけが無いのです。
結局、その後図書館で調べたらしいのですが、原因は分からなかったみたいです。
世の中には、
そんな奇妙奇天烈
原因不明
ヤマ無しオチ無し意味無しで、
全くお話に出来ないような、
そんな因果不明で関係のない出来事もある訳で……
以上、お話終わり。
執筆途中のままの文を、全部書き直したら、雰囲気が全く変わってしまいました。
前に書いた小説とは、雰囲気が180度違います。