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プロローグ

 これは「占い師」と「人狼」二人の友情と二人に迫りくる事件を描いた物語である。

 僕が物心ついたような頃、田舎に住んでいる祖母の家を訪ねたとき、軒先で祖母からこの村に代々伝わるバケモノの話を聞いたことがあった。

 そのバケモノは、昼間は人に紛れて生活をし、夜になるとバケモノ本来の姿を現し、村人を毎晩一人ずつ襲い、喰らうのだという。

 村人たちは、毎晩怯えた。次は自分の番なのではないかと。

 村人たちはこの村の中に隠れたバケモノを見つけ出すため僕の曾祖母が持っていた「占い」の力を頼った。

 そして曾祖母は村人の中から人ならざるものをあぶりだした。

 夜中、そのバケモノの姿を見て村人たちは驚愕した。

 狼のような毛むくじゃらの長い尻尾、縦長の耳、真っ黒な鼻、鋭い瞳孔、骨をもかみ砕く白い牙、鋭利な長い爪。

 その二足歩行のバケモノを村人たちはこう呼んだらしい。

 

(じん)(ろう)〟と。

 

 ヒュオオオオ……


 風が強く吹き、あたりの草花たちが一斉にざわざわと、うごめいたのを僕は制服のズボン越し感じた。

 鼻がツーンとなるくらい透き通った空気がためらいもなく僕の肺を満たし川のせせらぎとともにコオロギの鳴き声が心地よく響きわたる。

 僕の目の前には満月に照らされた彼の姿と、彼がのした人間たちがあたりの草むらごろごろと転がっていた。

 彼の姿を見て、僕は咄嗟に祖母の昔話を思い出した。

 その話を聞いたとき、僕は「怖い」と思った。

 しかし、今、彼を見てそうは思わない。

 僕は暗闇の中にぽつんと浮かぶ満月のような彼の瞳から、目が離せなかった。


 彼が人間かどうかなんて……どうでもいいと思えるほどに。



 ぜひ面白いと思って読んでくだされば幸いです。

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