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第一話 彼の正体を暴く夜
これは「占い師」と「人狼」の物語である。
ヒュオオオオ……
風が強く吹き、あたりの草花たちが一斉にざわざわとうごめいたのを僕は制服のズボン越し感じた。鼻がツーンとなるくらい透き通った空気がためらいもなく僕の肺を満たし、川のせせらぎとともにコオロギの鳴き声が心地よく響きわたる。とっくに日は沈み、あたりは真っ暗だった。
目の前には満月に照らされた彼の姿と、彼がのした屍の数々があたりにごろごろと転がっていた。彼にとってはこの時間帯がゴールデンタイムなのだろう。僕はそう思った。僕は暗闇の中にぽつんと浮かぶ満月のような彼の琥珀色の瞳から、目が離せなかった。
彼が人間かどうかなんて、どうでもいいと思えるほどに……




