私が消えた後
掲載日:2024/10/17
私が消えた後
今生きている空間に
いなくなった自分を想像する
椅子はそのままの姿勢で沈黙を保ち
ベッドはしわ一つ寄らずに静かに横たわる
空気は震えることはなく
音は吸い込まれてしまったように沈黙を守る
誰も住んでいない部屋は
無機質に存在して
思い出は深く頭を垂れ
いつか埃のように床に落ち
忘れることを学んでいく
窓の外ではちょっとした微風に
木々の葉はくすぐったそうにゆらゆらと揺れ
太陽はただひたすら光り輝いている
デジタル時計は思い出したかのように
ヘラっと正しく次の数字を繰り上げる
規則正しく前に進む時間は
躊躇する事はない
それが私のいなくなった空間
人との別れはいつ訪れるかわからず、それは自分がいなくなる時も同じ。寂しいとか悲しいとかではなく、命あるものに課せられた掟。秋だからか、母が亡くなった月だからか、こんな思いが頭を掠めた。




