第21話 瞑想
「次は瞑想じゃ。」
「瞑想か.....。まあ確かに仙人とか修行してる人がよくしているイメージがあるな。よく物語であるような瞑想を通して自分を見つめ直すみたいなことか?」
「ふぉっふぉ!見つめ直すのぉ....。まあそのような修行もあるじゃろうが、儂が言っておるのとは少し違うかのぉ。まあ儂の修行は正確には瞑想と呼ぶかは分からんが、魔力を鍛える修行じゃよ。」
「あー・・・・なるほどな。」
瞑想の方法は心を無にするとも一点に意識を集中させるとも前に観た本に書いてあったな。
「この修行は最初は座って動かずに、まさしく瞑想のような形で行っていくのじゃが、段々と魔力操作の技術が上達しある程度までいくと今度は動きながらでも同じかそれ以上の精度で操作できるようになってもらうぞ。まあ取り敢えずそこに儂のように座るのじゃ。」
そう言うと近くにある上の面が平になっている岩の上に座った。足は胡座をかくような座り方で背筋はピンと伸びていて姿勢が良い。そして手は足の上、へそよりも少し下くらいの位置で両手の指で丸を作るようにして組んでいる。
「わかった。」
「ウキッ!」
師匠の座って岩の向かいには同じような岩が2つ置いてありその内の1つに俺が、もう1つにサスケが師匠の座り方を真似て座った。
「それでは次に目を瞑るのじゃ!そして自分の中の魔力を意識して、魔力を少しずつ動かしていくのじゃ。まあまずは最初じゃから動かして始めると体の中をグルグルと魔力を循環させていき、しっかりと体内の動かしたい魔力を同じ方向に動かせるようにするのじゃ。そしてなるべく自分が制御できる限界の速さで一定に保ち続けることができるようにするのじゃ。それができるようになったら次は魔力を同じ方向に循環させるだけじゃなく、流れを止めたり逆向きに循環させたすることをできるようにするのじゃ。そして瞬時に流れを切り替えられるようになると。後は自分の思うように自在に魔力を動かせるようになるまでひたすら繰り返すのじゃ。いずれは魔力を体外に放出して体に纏わせたり魔力を体の一部に集中させて集めることにより身体能力を高めたりすることができるはずじゃ・・・・・・・・まあ体の外の魔力よりは制御しやすいのじゃから頑張って続けることじゃな!ふぉっふぉっふぉ!」
「ああ、分かった。」
目を瞑り自分の体の中の魔力に意識を集中させる。
「ふぅー....。」
魔力が自分の体の中をグルグルと循環するように少しずつ動かし始める。段々と循環させる速さを上げていき、自分の制御がなんとかきく速さまで到達すると速さが変わらないように一定の速さを意識して制御するようにする。
これがなかなか難しく、体の一部での速さを一定に保つのならば簡単なのだが体の全体で行おうとするとどうしても速いところと遅いところができてしまい全てを一定の速さに保つことができない。どうしても速さにムラができてしまう。
・
・
・
この修行を始めてからおよそ2時間が経過した。
初めの方は速さを一定に保つのが難しく苦戦していたが、繰り返していく内に段々と上達していき今は常に一定の速さで魔力を循環させ続けることができるようになっていた。そこまで上達し次のステップに移ろうとしていたところ、師匠が石を投げたり音をたてたり俺の周りを歩き回ったりして気を散らされ、一定に保てていたのが乱されてしまった。師匠の妨害に対応して周りの状況に左右されずに速さを一定に保てるようになるまでにおよそ1時間も掛かってしまった。だが今では多少のことでは気が散ることなく集中できるようになっていた。
よし!そろそろ次のステップに移るか。えーっと、流れを止めたり逆向きに流したりするんだよな。
こうか?
っ!!!
「かはっ!!」
なん....だ....。
「ゴホッゴホッ....。はぁはぁ....。」
今のは魔力の全体の流れを同時に止めれなかったから魔力が詰まった場所ができてしまったのか....。あのまま止めていたらおそらく詰まった部分が魔力に耐えきれずに破裂していたかもしれないな...。
ツー
冷汗が流れる。
「ふぅー。」
汗をぬぐい、再び魔力に集中する。
・
・
・
「そこまでじゃ。2人とも目を開けるのじゃ。よく集中していたのぉ。この数時間でかなり上達したのぉ。正直この時間でここまで上達するとは思っておらんかったぞ。」
ん!?もうかなり時間が経っていたのか。
あの後、何度も失敗を繰り返し魔力を止めることができるようになった。そして魔力を逆向きに流すのは止めるのよりも簡単だったためすぐに習得することができた。あとは魔力を流すことと止めること、逆向きに流すことを自分の好きなタイミングでスムーズに行えるようになるまで繰り返し練習を続けていた。
「次は何をするんだ?」
「ふぉっふぉ!やる気があって良いのぉ。そろそろ体の疲れが回復してきた頃じゃろう。次は筋肉をつける修行じゃよ。HAKI、お主はまずその重りをつけた状態で普段通り動けるようにするのじゃ。サスケ、お主は儂についてくるのじゃ。」
「分かった。」
「ウキィ!」




