第15話 修行の地へ
遅くなりました。
『ログインします』
「よいしょっ!」
体を起こし、ベットからおりる。
起きたらベルを鳴らすんだよな。
チリンチリンッ
「お待ちしておりました。それではついてきてください。」
「は、はい。」
・
・
・
「お待ちしておりました。準備は整っています。こちらの部屋にどうぞ。」
「これは?魔法陣?」
「はい。これは転移をするための魔法陣です。ただし一方通行ですのでこちらに簡単に戻ることはできません。それからこちらをどうぞ。」
ピロンッ
『スキル【精霊視】を手に入れた』
『称号 《花の精霊の加護》を獲得した』
なんだ?
「精霊視?精霊を見えるようになるのか?」
「はい。精霊視は私のような力のある精霊とは違い自力では姿をあらわすことのできないような弱い力しか持たない精霊も見ることができるようになります。スキルを発動させてみてください。」
「『精霊視』」
ブワッ
す、すごい。周りを光の粒のようなものが漂っている。大きさや色はバラバラだがイルミネーションのようでとても綺麗だ!
フルールたちの方を向く。
うおっ!眩しい!
あまりの眩しさに思わず目をつぶる。
「うふふふふ。あまり私たちのことを直視しないほうがいいですよ。私たちのように力の強い精霊は強く輝いて見えますので...。特にこのスキルを使いはじめたばかりは調整しにくいですからね。」
「そういうのは先に言っておいてくれ!」
「まあ何度も使っているとその内無意識で調整できるようになりますし、常に発動していることも可能になりますよ。」
「ありがとう。それでこの加護ってのは?」
「加護は強い力をもつ者が自分よりも弱い他者に与えることができるものです。ですが、申し訳ないのですが私はそこまで強い加護を与えることができませんので...。」
「いや、もらえるだけでもありがたい。ちなみに効果はどんなものなんだ?」
「効果はですね、まず一つ目が森や山などにいる精霊に好かれやすくなるというものです。二つ目は私の分身のようなものを一月に一回、一分間だけ召喚できるというものです。三つ目は一度だけこの精霊郷に転移できるというものです。」
「かなり強いんじゃないか?」
「そう思っていただけたならよかったです。ですがもっと強い効果の加護を与えられる者もいますので...。それに召喚される分身も弱体化した者になりますから...。」
「そうなのか。だがもらえるならありがたいことには変わりないからな。」
「それでは最後にこれを。」
フルールから首飾りのようなものを受け取る。
「これは?」
「ギョウキの親である彼の牙を加工して私がつくった首飾りです。なかなか大変でしたが、彼の力の宿った物です。ぜひあなたに持っていていただきたくて。彼の牙だけあって効果は一日に一度、一分だけステータスを100%アップすることができるというものです。」
「それは.......。すごいな。強くなればなるほど恩恵が大きくなる。」
「はい。是非とも強くなってくださいね。」
「ああ。もちろんだ。」
「それではギョウキとサスケを呼んできます。」
すごいなこの首飾り。それに加護とスキルをもらえるなんて思っていなかった。だが精霊視を使ってさらにあのフルールの強さが桁違いだと思ったのに、あれよりもさらに強い奴らがまだまだいるってどうなってんだ?まあとにかく強くなるしかないな。取り敢えず一つの目安になるな。
「ピィピィー!!」
「ウキィー!」
「おっ!お前ら大人しくしてたか?いや遊んでたか…。少し汚れてるぞ!」
「ピィ...。」
「ウキキッ!!」
「ギョウキ、別に怒ってないぞ。子供は遊んでなんぼだろうしな。サスケ!お前はイタズラばかりじゃあだめだぞ!あと俺の金返せよ!!」
「うふふふ。もう打ち解けましたか?」
「いやどこが?!」
「それではそろそろよろしいですか?」
「あ、ああ。」
「では魔法陣の真ん中に立ってください。サスケとギョウキは彼に掴まって下さい。」
「ああ分かった。」
「ピィ!」
「ウキ!」
サスケは俺の頭の上に乗っかってきた。そしてギョウキは俺の左腕に体を巻きつけている。
「それでは発動します。いずれまた会う時まであなたに幸運が訪れることを願っております。」
そう言ったあと呪文を唱えた。すると魔法陣が光り輝いた。
ピカッ
強烈な光が足元から放たれ目の前が真っ白になる。
段々と光がおさまってくるとそこは先ほどまでとは全く異なり森の中のようであった。
成功したのかな。少し歩いてみるか。
ブワッ
歩いていると何か背筋がゾワッとした。これは何かに見られている?
ゆっくりと振り返るとそこには大きな二つの目があった。
「グルルルッ!!」
お、狼?!いやデカっ!なんだこいつ。警戒しているのか?なんだかこちらの出方を窺っているようだ。
!
ドカーンッ!!!!
急に上から何かが狼目掛けて降ってきた。だが狼はそれを避け、少しこちらを見るとそのまま森の奥へ去っていった。
ゴホッゴホッ!
土煙がすごいな。
なんだ?何が降ってきたんだ?
土煙が晴れるのを待っているとゆっくりと土煙の中で立ち上がる影が見えた。
人?なのか...?
「よっこらせい。ふう。まったく少しずれたか...。」
「え、えーっと。あなたは?」
土煙が晴れてきて段々と姿が明らかになっていく。
「ふぉっふぉっふぉ!儂かい?儂はただの老人じゃよ。まあ花の精にお主のことを頼まれたからのぉ。一応お主の師匠になる者かのぉ?ふぉっふぉっふぉ!」




