幕間
「ただいまフィオーレ。」
「フルール様!おかえりなさい。久しぶりにあの方たちにお会いしたのですよね。」
「ええ。あの子たちに修行をつけてもらえるように頼んできたわ。」
「あの。どうしてそこまであの異邦人のことを...?」
「うーん、色々と理由があるけど1番は私たちの今後のためよ。私たちの状況はあなたも理解しているでしょ?このままではいずれこの精霊郷の場所がバレて結界が破られ、私たちは滅亡か隷属を強いられることになるでしょう。」
「そ、それは...。それ程までに敵は強いのですか?」
「敵は1つの勢力だけではありません。他の精霊や魔物、人など多くの存在が敵になる可能性があります。そして今1番心配なのは異邦人です。異邦人は他とは比べ物にならないくらいの速度で成長していきます。そして異邦人のうち少なくない数の者が、未開の地を冒険したいという考えをもっているようです。するといずれはこの地に自力で辿り着く者があらわれるハズです。辿り着いた者がもしも周りに言いふらすような者だった場合この地に多くの異邦人や彼らの属する国の者たちが入ってくることになります。中には精霊をさらう者や無理矢理契約を迫るものもいると考えられます。それに彼の骨を狙うものがあらわれるかもしれません。」
「うっ。そう、ですね...。」
「そうなる前に私たちは同じ異邦人でもそのようなことがないような人物を見繕い、私たちとともに戦ってくれるような関係を築くことが大切です。私たちは戦力がそれ程多くないですから。」
「その為に彼に強くなってもらうと。」
「ええ。それに彼女のこともあります。」
「くっ!」
「彼女はここへくることができます。もし封印が解けてしまえば必ず攻めてきます。」
「そう、ですね。あの時私が...。」
「フィオーレ!あれはあなたのせいではありません。」
「し、しかし!」
「過去のことよりこれからのことを考えましょ。」
「はい....。」
「彼が本当に国をつくれるのであれば、私は彼に協力したいと考えています。もしつくれなくともあの子をたくしたのですから仲良くしていきたいですね。」
「そうですね。そういう事なら私も賛成です。」
「うふふ。よかった。それじゃあ彼が戻ってくるまでに準備を整えておきましょう。」
「はい。」
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side ???
ガチャ
「すまない。遅れた。」
「おっ!ようやく全員集まったか!」
「遅いぞ!この俺を待たせるとはいい度胸だな!?」
「まあまあ、そんなに怒らない。」
「ふぉふぉふぉ。」
「おい。そろそろ進めるぞ。これより会議を始める。それでは順に報告してくれ。」
「はい。それでは私から。まず騎士団に入っている異邦人の中で有用そうな者は何名かおりますが、特別優れていると感じた者は一人だけです。」
「そうか。」
「次は俺が言う。この国を初めに選んだ者は大抵の奴が冒険者登録をしている。その中だと良さそうな奴はそこそこいる。ただ集団をつくり周りに威張り散らかしてやがる奴らもいるからな。どういう奴なのかはしっかりと見極める必要があるだろうな。」
「ふむ。」
「それでは次はわしが。まず魔法は多くの者は簡単なものであれば使えるようじゃの。それに弟子入りして魔法を学ぶものも増えてきておる。わしが見つけた者の中にも飲み込みの早い者もいるからのお。ふぉふぉふぉ!」
「そうか。」
・
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「なるほど。それではこれからも頼むぞ。」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
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side ???
「教皇様!」
「おや。どうしたのです?」
「はっ!勇者に選ばれた者が到着したようです。」
「そうですか。それで今どこに?」
「現在は大聖堂で聖女様と話しているようです。」
「ふむ。そうですか。しばらくしたら私も参りますのでそれまでは...。むふ、聖女に古代の邪龍伝説でも語ってもらいなさい。」
「はっ!かしこまりました。」
・
・
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「行きましたか。ふっはは。あっはっははは!!ようやく勇者が。ふふふ。やっと私に運が回ってきましたよ。勇者君は是非とも我が国のため私のため、女神様のために働いていただかなくては。」
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side ???
「異邦人はどうだ?」
「あいつらの頭はどうかしてるぞ!よくもまああんなもの思いつくもんだ!」
「かっかっかぁ!そうか!俺も楽しみだな。なあこっそり行っちゃだめか?」
「そりゃあダメでしょ!一応旦那はこの国の王様なんだから。」
「一応ってなんだ?!」
「いやぁ。旦那は別になりたくてなった訳じゃないだろ?」
「まぁそうだが...。」
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side ???
「それで異邦人たちの様子はどうだい?」
「はい。魚料理を好む者が多いようですがそれと同時に米を探しているようで...。」
「なるほど。」
「はい。さらに武器に刀を求める者もかなりいまして海を渡り、極東の島国へと行こうとする者が増えてきているようです。」
「ふむ。どうしようかねぇ。このままじゃあ少なくない数が流れていっちまう。」
「そうかもしれません。」
「まあ。取り敢えず使えそうな奴は国にとどまるようにしときな!」
「はっ!」




