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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
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残留思念は恐ろしいのよ!

 私は箕輪まどか。中二の霊感少女だ。


 今、私達美貌の戦士とイケメン戦士達は、不細工な悪党と戦っている。


 ああ、引かないでよお。


 悪の権化とも言うべき、鴻池こうのいけ仙一せんいち


 奴は、自分の父親である大仙だいせんの残留思念を使って、巨大な「キモいおっさん」を作り出した。


 二十メートルはあるその不気味は物体は、ズシンズシンと私達の方に近づき始めた。


「何や、結界に守られとるだけやないか、ボケ!」


 麗華さんが相変わらずの強烈な言葉で罵る。


「何とでも言いなさい、下劣な服装のアホ女が」


 仙一はニヤリとして言い返した。


「何やと!? ウチのどこが下劣やねん!?」


 麗華さんは更にヒートアップしたが、誰も同情してくれなかった。


 確かに、麗華さんのファッションセンスに関してだけは、奴と同意見だ。


 麗華さん、ごめんなさい。


「まどかりん、違う真言を連続して唱えれば、効くかも知れないよ」


 江原ッチが囁いた。


 私は小松崎こまつざき瑠希弥るきやさんに目配せする。瑠希弥さんが頷き、蘭子お姉さんを見る。蘭子お姉さんも頷く。


「インダラヤソワカ」


 私が帝釈天の真言を唱える。しかし、反応がない。


 やっぱり、あの乗如っていう坊主の結界のせい?


 その時私は、濱口わたるさんがゆっくりと乗如の背後に回っているのに気づいた。


 そうか、江原ッチはこの機会を作るために私にあんな事を……。


 と思ったが、


「瑠希弥さん、今です!」


 江原ッチは私を無視して、瑠希弥さんと走り出した。


 てめえの血は何色だ!? 思わず南斗水鳥拳の使い手の名台詞が頭をよぎった。


「チョロチョロしないでくれないか、坊や達!」


 乗如が江原ッチの誘いに乗ったようだ。


「オンアミリタテイゼイカラウン」


 乗如が阿弥陀如来の真言を唱えた。すると乗如の気が高まる。


 その時だった。


「お疲れ様です、乗如さん。貴方の役目は終わりましたよ」


 仙一が謎の言葉を吐いた。


「何!?」

 

 乗如がギョッとして仙一を見た。


「ぐわおぐあ!」


 その途端、大仙の残留思念が動き、乗如を襲った。


「があ!」


 乗如は残留思念に飲み込まれ、消えてしまった。


 そばまで行っていたわたるさんは素早く回避して難を逃れた。


「何、今の?」


 江原ッチが瑠希弥さんと顔を見合わせる。


 顔を見合わせる相手が違うでしょ、江原ッチ!


「貴方っていう人は……」


 蘭子お姉さんがキッとして仙一を睨んだ。凄みがあるなあ。


「彼も我が神の生け贄となれて、本望でしょう」


 仙一はゲラゲラと笑った。おかしいよ、こいつ!


 大仙の残留思念は、乗如の気を取り込み、更に巨大化し始めた。


「皆さん、離れて!」


 江原ッチのお父さんの雅功まさとしさんが叫んだ。


 私達は境内の端まで下がった。


「坊主が消えたんで、結界なくなったで!」


 麗華さんがその機を逃さず、


「オンマカキャラヤソワカ」


と大黒天真言を唱えた。真言は有効だったようだが、大仙の残留思念を消し飛ばす事はなかった。


「何やて?」


 麗華さんはビクンとして、蘭子お姉さんを見る。


「どういう事?」


 蘭子お姉さんにもわからないようだ。


「そういう事ですか」


 雅功さんが呟いた。


「どういう事さ、父さん?」


 江原ッチが尋ねた。雅功さんは大仙の残留思念を見上げたままで、


「これは人間でも霊体でもない。要するに、真言のことわりを理解しない只の憎悪の塊。だから、真言は通じない」


 仙一は感心したように拍手してみせる。


「さすが、江原雅功。当代随一の退魔師と言われるだけの事はありますねえ」


「ほなら、おっさんをぶっ潰せばええんやろ?」


 麗華さんが仙一を睨みつける。しかし、蘭子お姉さんが、


「無駄よ。残留思念はその男とは関係なく動いているわ。こいつそのものを何とかしないと」


「く……」


 麗華さんは歯軋りして残留思念を見上げた。


「そういう事ですよ、八木麗華さん。残念でしたね」


 仙一のその挑戦的な言い方に麗華さんはぶち切れそうだ。


 どうすればいいんだろう?


 私は何かいい方法がないか考えた。


 しかし、何も思い浮かばない。


 こんな憎しみの塊とどうやって戦えばいいの?


 命があるじゃないか。


 某艦長の恐ろしい台詞を思い起こす。


 それは嫌だ。


 もっと建設的で、前向きで、後味の悪くない解決方法はないの、作者さん!


 


 不安に怯えるまどかだった。

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