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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
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職員室でバトルなのよ!

 私は箕輪まどか。中学生の霊能者。その上美少女と来たもんだ。


 ……。


 虚しいわ、ホントに。まるで植木等さんでしょ、それじゃあ。


 


 私は非常に心が揺れていた。


 確かに、自分でも気が退けるほどの美しさだけど、それにしてもモテ過ぎだとは思う。


 え? 血迷った事を言うな、ですって? うるさいわね。


 前生徒会長の原西誠司さんに、


「可愛いね、箕輪さんて」


と言わせてしまったのよ? 美しさは罪よね。


 何て事を言っている場合ではない。


 私は原西さんの様子がおかしいと思ったので、放課後、小松崎こまつざき瑠希弥るきやさんに会いに行った。


 またしても瑠希弥さんは、エロ男性教師達(これは語弊がある?)に囲まれていた。


 さすがに亡くなった奥さんが自分を見ている事を知っている藤本先生はいなかったけど。


「瑠希弥さん」


 私が近づくと、蜘蛛の子を散らすように解散するのが気に食わない。


 私は簡単に瑠希弥さんに事情を説明した。


「そうなんですか」


 わわっと! いきなりNGワードからですか、瑠希弥さん。


 油断してたので、直撃を受けてしまった。


「原西君のクラスを教えて下さい。透視してみます」


「はい」


 すご! 瑠希弥さん、そんな事までできるんだ。


 尊敬してしまう。


「三年五組です」


「ありがとう」


 瑠希弥さんが目を瞑り、透視を始める。


 職員室の先生で、男の先生はウットリして見ていて、女の先生方はムッとして見ている。


 瑠希弥さんの気が集中し、原西さんを探り始めたのがわかった。


 その時だった。


「うらあ!」


 いきなり大柄な男が、職員室のドアを蹴破って入って来た。


 水戸黄門で悪代官を演じそうな顔だ。


「我らの邪魔をするのは、お前か!?」


 大男は私の前まで来て怒鳴った。


 先生方は恐怖におののき、身動きが取れないようだ。


「待て!」


 そこに颯爽と現れる原西さん。


 ええ? どういう事?


「とう!」


 原西さんの正拳突きが大男の腹に決まった。


「ぐおお、やられた……」


 大男は、今時流行らないわざとらしい口調で職員室から逃げて行った。


 何なの、この茶番は?


「箕輪さん、怪我はない?」


 原西さんが爽やかな笑顔で言った。


「はい」


 私は警戒しながら答えた。


「もう大丈夫だよ、箕輪さん。さあ、僕が家まで送ってあげるよ」


 原西さんはそう言うと私の肩を抱いた。


 ギクッとした。


 身体に力が入らない。何、これ?


「待ちなさい」


 瑠希弥さんが言った。すると原西さんは、


「貴女ですね、僕の可愛いまどかさんを騙しているのは?」


と鋭い視線を瑠希弥さんに向ける。台詞は嬉しいけど、原西さんの身体からサヨカ会の気配がする。


「まだそんな事を言っているのですか? もう貴方は逃げられませんよ」


 瑠希弥さんが原西さんに近づく。


「それ以上近づくな。この女の命が惜しくないのか?」


 原西さんはいつの間にか凶悪な顔になっていた。


 でも私は動けない。決して落とされたからではない。


「まどかさん、摩利支天まりしてんの真言を!」


 瑠希弥さんが叫ぶ。私は原西さんから放射される強い気に何とか抗いながら、


「オンマリシエイソワカ」


と唱えた。


「ぐわ!」


 原西さんが苦しみながら、私から離れる。


「インダラヤソワカ」


 瑠希弥さんが間髪入れずに帝釈天真言を唱えた。


「ぐげげ!」


 原西さんは雷撃を受けて倒れた。


「キーッ!」


 その時、原西さんの身体から逃げ去る霊が見えた。


「逃がしませんよ」


 瑠希弥さんは数珠を取り出し、霊に投げつけた。


「ギギエーッ!」


 霊は数珠に囲まれ、のた打ち回りながら、消滅した。


 数珠は床に落ちた。


「悪霊を憑依させ、その人を意のままに操っていたのですね。さっきの大男は別の者に命じられて動いていたようです」


 瑠希弥さんは数珠を拾いながら言った。


 


 原西さんは保健室に運ばれ、意識を取り戻したが、ここ二、三日の記憶がないようだ。


 つまり、私に告白したのは霊が操っていたからなのだ。


 ちょっとだけ寂しいが、それは言わない事にする。


「一つ思い出した事があります」


 原西さんは、自分をジッと見つめている瑠希弥さんに顔を赤らめながら告げた。


 何だか、ムッとしてしまう。


「何ですか?」


 瑠希弥さんが微笑む。ますます顔を赤らめる原西さん。


「大通りにあるゲームセンターの前である男の人に声をかけられてから、記憶がないんです」


「ゲームセンター、ですか」


 瑠希弥さんは私を見た。私は小さく頷く。


 私達は、次に校長室で待たせておいた前生徒会副会長の隅田すみた真保まほさんに会った。


「私もゲームセンターの前で男の人に声をかけられてから、記憶がありません」


 隅田さんも同じだった。


「ゲームセンターが鍵ですね」


 瑠希弥さんが呟く。


 そして私は私の彼氏の江原耕司君に連絡を取り、そのゲームセンターに向かった。


 サヨカ会。一体何が目的なの?


 


 ドキドキが止まらないまどかだった。

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