表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/235

自称イケメンがまた現れたのよ!

 私は箕輪まどか。中学生の美少女霊能者だ。


 絶対彼氏の江原耕司君とはラブラブ。


 ちなみにAまで行った。


 え? 表現が古い? 仕方ないじゃない、作者が昭和生まれなんだから。


 


 ラブラブの江原ッチが、自称イケメンのかのう秀明ひであきに酷い目に遭わされた。


 奴は「光明真言」を自分の身体に書いて、私達の攻撃を封じていたのだ。


 絶体絶命のピンチを救ってくれたのは、私の親友近藤明菜の彼で、江原ッチの親友の美輪幸治君だった。


 叶の光明真言も、美輪君の拳を封じる事はできなかったのだ。


 


 そんな訳で、私と江原ッチは、コンビニのたまり場で作戦会議。


「今度あいつが現れたら、俺がぶん殴る。で、身体に書いてある真言を消した後、まどかりんが止めを刺して」


「うん」


 何だか、非常に単純極まりない作戦だが、叶がそれほど頭がいいとは思えないので、その程度で十分なはずだ。


「じゃ、帰ろうか」


 私達はコンビニを出て、手を繋いだまま道を歩いた。


 みんながジロジロ見ているが、そんな事は気にならない。


「あ!」


 江原ッチが私を見て叫ぶ。何故か顔が赤い。


「どうしたの、江原ッチ?」


 私は不思議に思って尋ねた。


 いくら私が可愛くても、もう赤くならないで欲しいものだ。


「ま、まどかりん、スカート!」


「え?」


 私はふと自分を見た。


「げ!」


 さっきコンビニのトイレに入った時、やってしまったようだ。


 私はスカートの裾を捲り上げたまま、歩いていたのだ。


 要するに「パンツ丸見え」状態である。


「……」


 顔が破裂するくらい赤くなった。


「こら、見るな!」


 江原ッチが周りにいる人を威嚇してくれているが、余計注目されているような気がする。


 私はすぐに裾を直した。


「ごめん、まどかりん。俺が気づくべきだった」


 優しい江原ッチは私に頭を下げた。


「気にしないで、江原ッチ。私が不注意だったんだから」


 私は江原ッチの男気に嬉しくて涙が出そうだった。


 私達の絆は、更に強くなったと思う。


 そしていつもの分かれ道。


 ここで一緒に下校するルートはおしまい。


 それぞれ別の方向へ帰る事になる。


「じゃあね、江原ッチ。また明日」


「うん、まどかりん」


 私がふざけて投げキッスをすると、江原ッチは犬の真似をしてそれに飛びつく動きをした。


 そして互いに手を振り、別方向に歩き出す。


(それにしても、恥ずかしかったなあ……)


 私はさっきの事を思い出して、また顔が火照った。


「え!?」


 その時、江原ッチの声がした。


(まどかりん、逃げろ!)


 え? どういう事?


 私は心配になり、江原ッチの後を追った。


「ああ!」


 江原ッチは、高校生らしき連中に囲まれていた。


 相手は五人。しかも悪そうでバカそうだ。いろいろな髪型がいて、妙に笑える。


 でも、どうして私に「逃げろ!」と伝えて来たの?


「!」


 その時、私は高校生の後ろにいる叶に気づいた。


 あのバカ、こんな方法で江原ッチを!


 ムカついてしまう。


「おお、お姫様のご登場だ」


 叶が私を見た。するとバカ高校生のうちの三人も私を見た。


「へえ、噂通り、可愛いじゃんよ。俺、付き合っちゃおうかなあ」


 その三人の中でも一番頭が悪そうな奴が気持ち悪い笑い方をした。


 左半分だけ刈り上げている変な奴だ。


 可愛いと言われてもちっとも嬉しくない。


「まどかりん、逃げろ。こいつらは俺だけで大丈夫だ」


 江原ッチが叫ぶ。


「うるせえよ、中坊が!」


 残りの二人のうちの坊主頭が、いきなり江原ッチに殴りかかる。


「インダラヤソワカ!」


 江原ッチはその攻撃をかわし、帝釈天の真言を唱えた。


「グゲッ!」


 坊主頭は雷撃を食らい、倒れた。


「皆さん、お姫様をお願いします」


 叶の言葉に三人の高校生が私に向かって歩き出す。


「待てよ!」


 江原ッチが追いかけようとすると、


「てめえの相手は、俺だよ!」


と残った高校生が江原ッチに掴みかかる。こいつは頭頂部の髪を長く伸ばし、周りを刈り上げている。


「うるせえ!」


 江原ッチの雷撃がそいつにも炸裂した。しかし、


「効かねえよ」


 そいつの直前で、雷撃が消えた。


 まさか!


「叶君のおかげで、心配ないのさ」


 その刈り上げ君はニヤリとした。


「くそ!」


 江原ッチはそいつと距離をとった。


「ほい、お姫様」


 気がつくと私は三人に囲まれていた。


「触るな!」


 私も印を結ぶ。


「げ!」


 三人はギョッとして離れた。


 こいつらには光明真言は書いていないようだ。


「まどかさん、暴れないでよ。君が暴れると、江原君が怪我するよ」


 叶がニタリとして私を見る。


「皆さんはまどかさんが逃げられないように囲んでいて下さい。僕が彼女を捕まえますので」


 叶はまだ光明真言を身体に書いたままみたいだ。


「まどかりん!」


 江原ッチが刈り上げ君を威嚇しながら叫ぶ。


「光明真言は万能じゃない!」


「え?」


 江原ッチの言葉は謎めいていた。


「強がり言うなよ、江原君。真言を封じられた君なんて、只の中坊だよ」


 叶が江原ッチを睨んで言う。江原ッチはそんな叶を無視して、私を見て頷いた。


 そうか! そういう事か! 二人で力を合わせて、叶の力以上の真言をぶつければ、破れるはずだ!


 私も江原ッチに頷いた。そして呼吸を合わせる。


「何だい、何をするつもりさ?」


 叶は私達を交互に見てせせら笑う。


「インダラヤソワカ!」


 私と江原ッチが、帝釈天真言を同時に唱えた。


「何!?」


 するとさっき江原ッチの真言を弾いた刈り上げ君に雷撃が決まる。


「ぎえええ!」


 刈り上げ君がプスプスと音を立てて倒れる。


 更に私を囲んでいた三人にも雷が落ちる。


「ぎょえええ!」


 三人ともダウン。そして残ったのは叶だけ。


「ひ!」


 奴は見苦しいほど狼狽えていた。


「わ、わ、ごめん、まどかさん、もうしないから、許して!」


 泣きながら詫びる叶を、私は冷たい目で見て、


「許さない。二度と私達にチョッカイ出せないくらい痛めつける!」


「ひいい!」


 叶が絶叫する。私は叶に近づき、


「この!」


とデコピンした。それだけなのに、叶は硬直して動かなくなった。


「わ!」


 しかも奴は、失禁までしている。


「ばっちいな、もう!」

 

 私は慌てて離れた。


「よし、デジカメで撮ってあげよう」


 江原ッチが叶の醜態を撮影した。


「今度俺達にチョッカイ出したら、これをネットで公開するぞ」


 江原ッチの言葉が叶に聞こえていたのかは、定かでない。


 


 只、それ以降、叶は私達を見ると逃げるようになったので、聞こえていたのかも知れない。


 取り敢えず、一件落着のまどかだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ