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リッキーが活躍(?)したのよ!

 私は箕輪まどか。


 中学校に進学して、新しい恋の予感。


 私はこれほどの美少女だから、毎日男子達から逃げ回る事になりそうだわ。


 大人のまどかは、更に魅力的だから。ウフ。


 そう思っていた。


 ところが、だ。


 先日、わざわざひとの家まで押しかけて、宣戦布告した悪役美少女の綾小路さやかが、


「箕輪まどかさんは、霊が見えるんですって」


と言いふらし、すっかり私は「オカルトキャラ」にされてしまった。


 同じ小学校出身のお喋り共には、きつく念を押しておいたので、喋る事はない。


 だから安心していたのだ。


 男子ばかりでなく、女子達までもが私を恐れて近づいてくれない。


 ううう。さやかめー! あんたも見えるんでしょう!?


 言いふらしてあげようかしら?


 でもそれでは、あの悪役と同レベル。


 私はそこまで次元が低くはない。


 どちらかというと、次元大介はルパンより好きである。


 おっと。そんな天然は、私のしょうに合わない。


 しかも私は天然は嫌いだ。


 という訳で、さやかに直接抗議する事にした。


「ちょっと、綾小路さん」


 私は廊下でさやかに声をかけた。


「あら、箕輪さん。私に霊が憑いているの?」


 さやかはその悪役キャラ全開で、私に嫌味を言って来た。


 途端に近くに来た男子も女子も、逃げ出す。


「違うわよ。話があるの。ちょっといい?」


「いやん。私を霊を使っていたぶるつもりね。徹君!」


 か弱い女のフリをして、さやかは私の元彼の牧野君を呼んだ。


「まどかさん、さやかさんをいじめないでよ。可哀相だよ」


 牧野君は操られたような棒読みで言った。


 さやかの奴、まだ牧野君を?


「綾小路さん、貴女、卑怯だわ。誰かの力を借りないと、私と対決する事ができないのね」


「何ですって?」


 さやかが本性を現した。目が凶悪だ。


「ホントは弱いんでしょ?」


 私は更に挑発した。さやかは私を睨みつける。


「そこまで言うなら、いいわ。相手になってあげる」


 さやかが気を高め始めた。げ。やっぱり私より凄そうだ。


「貴女も私の操り人形になりなさい」


 彼女の目がギラッと輝く。


「オンマリシエイソワカ!」


 私は摩利支天まりしてんの真言を唱え、さやかの邪気を跳ね除けた。


「やるわね。決着は放課後よ」


「ええ」


 始業のチャイムが鳴ったので、私達はそれぞれの教室に戻った。


 幸いな事に、さやかとは違うクラスなのだが、牧野君とも別。


 しかもさやかと牧野君は同じクラスなのだ。


 私のクラスには、親友の近藤明菜と、肉屋の力丸卓司君がいる。


「まどか、顔が怖いわよ。どうしたの?」


 明菜は朝から失礼な事を言う。


「ごめん。ちょっとね」


 私は作り笑いをして応じた。


 私は憂鬱な思いでその日の授業を受けた。


「どうしたんだ、箕輪? 元気ないな?」


 リッキー(力丸君のあだ名)は私に声をかけてくれた。でも彼には柔道家の兄はいない。


 そう、今では彼は私と話をしてくれる数少ない友人。


「コロッケ食べるか?」


 リッキーはかばんからビニール袋に入ったコロッケを出した。


「何で学校にそんなもの持って来ているのよ!」


 私が注意すると、


「給食だけじゃ、腹がもたないんだよ」


 リッキーはニコニコして答えた。


 呆れるしかない。今日は食欲がない私の分までたいらげたのに。


「私、用事があるから」


 リッキーには悪いけど、あいつとの決着はつけないと。


 私はコロッケを一人で食べるリッキーを残し、さやかのクラスに向かった。


「遅かったわね。逃げたのかと思ったわ」


 教室にはさやかが一人で待っていた。


「あら、牧野君は? 応援してもらわなくていいの?」


 私が挑発すると、さやかは、


「貴女が制服をボロボロに切り裂かれてしまうのを見せたくないでしょ?」


「あんた、変態?」


 私は後ずさりして尋ねた。さやかはムッとして、


「違うわよ! たとえよ、たとえ!」


「どうだか」


 私は疑いの眼差しでさやかを見た。


「そこまで私をバカにするなら、もう容赦しないわ! 覚悟なさい!」


 さやかがまた気を高めた。


 来る! 私も気を高めた。勝てるの? 私の中の私が尋ねる。


「ああ、こんなとこにいたのか、箕輪」


 そこへいきなりリッキーが入って来た。


「リッキー、危ないわ、出てなさいよ!」


 私がそう声をかけた時、


「いやあああ、デ、デ○ーッ!」


 さやかが絶叫して教室から出て行ってしまった。


「何だ、あの女。失礼な奴だな」


 リッキーはコロッケを食べながらぼやいた。


 さやかの発言は一部の方を不愉快にさせるため、自粛した。


 そうか。あの女、リッキータイプが苦手なのね。


 ムフフ。これは面白い事になって来たわ。


「何、リッキー。私と一緒に帰りたいの?」


 私はニコッとしてリッキーに言った。小首まで傾げてみせる。


「え、その、あの……」


 可愛いわ、リッキー。照れてるのね。


「こ、これ渡そうと思って」


 リッキーは封筒を差し出した。


 ま、まさか! これって、恋文ラヴ・レター?  ハートのマークで封をしてある。


 リッキーッたら、突然すぎるわ。


 それに貴方はタイプじゃないし。


「姉ちゃんが、お兄さんに渡してくれって」


「は?」


 私は妄想を粉微塵に打ち砕かれた。


 そしてちなみに、リッキーのお姉さんは彼とは似ても似つかない美人だ。


 名前はあずさ。でも芸人ではない。力丸ミートの看板娘だ。


 エロ兄貴、やっぱりもてるな。


 私のお姉さん候補である里見まゆ子さんが、ピンチかも。


 そして私も。

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