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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
高校一年生編なのよ!
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瑠希弥さんと明蘭さんは最強コンビなのよ!

 私は箕輪まどか。高校生の霊能者。


 ボクっ娘の柳原まりさんが最強美少女として戻って来て、その上霊能力ではまだ私より上の綾小路さやかも戻って来た。


 二人共、恐ろしいくらいにモテている。


 但し、まりさんには坂野義男君という同じ中学の後輩がいる。


 まりさんはどういうつもりで坂野君と会ったりしているのかわからないが、坂野君は完全にまりさんに落ちているのは明らかだ。


「私の見立てでは、まりさんも坂野君を好きだと思うけどね」


 また私の心の中を勝手に覗いたサーヤが言った。今、私はさやかと廊下を歩いている。


 あ、別に連れ何とかをして来た訳じゃないからね! そういうの、セクハラなんだから!


「だ、だから、そのサーヤっていうのはやめてよ! あんたが妙なあだ名を触れ回るから、男子達がみんな、私の事をサーヤって呼ぶのよ! 迷惑だわ!」


 さやかはクラスメートの大久保健君が気になっているので、他の男子には目もくれない。


「それも誤解だって言ってるでしょ! あまり虐めると、あの事をばらすわよ」


 さやかはムッとした顔で立ち止まって言う。


「あの事って何?」


 私には身に覚えがない。するとさやかは半目になって、


「おっぱい体操をし過ぎて、両腕がつった事」


 私は顎が外れそうになるくらい驚いた。


 それはさやかがいない時に起こった事なのだ。何故知っているのだろう? 


 誰にも言っていないのに……。嫌な汗がこれでもかと身体中から噴き出すのがわかる。


「あんたの心の声は、隠したい事ほど大きくなる傾向があるの。私に聞かれているくらいなら害はないけど、敵にもそういう能力を持った者がいるのよ。気をつけたほうがいいわ」


 さやかは真顔で告げてくれた。


「うん、わかった。ありがとう、サーヤ」


「だからそれは!」


 本当は嬉しいくせに、結構恥ずかしがりなさやかも可愛いと思った。


「それもやめて。私は同性愛には走らないから」


 さやかは顔を引きつらせて後ずさった。


「冗談よ。私も男子が好きだから」


 そう言った時、ちょうど横をおっぱい星人の原田ひかるさんが通った。


「おはよう、箕輪さん、綾小路さん」


 ニコッとして挨拶をする原田さんには全く邪気がない。


「おはよう」


 作り笑顔で応じると、原田さんはそのまま廊下を歩いて行き、三組の教室に入った。


 彼女は三組だが、同じクラスに私の彼の江原耕司君がいる。


 原田さんは結構露骨に江原ッチに擦り寄ったり、帰りに遊びに誘ったりしているようだ。


 しかも江原ッチは、「ひかるん」とか呼ばされていて、少し心配なのだ。


「原田さんはあんたに敵意はないから、あまり江原君を追い込まないでね。嫉妬し過ぎると、離れられるよ」


 またさやかに聞かれてしまった。気をつけないと。


「わかってるって。でも、ひかるんて呼ぶのはやめさせるから」


「まあ、それはね」


 さやかも江原ッチを何年も見ているから、性格はよくわかっているのだ。


「それより、大久保君、時々例の気をまとっている事があるね」


 さやかは教室に入りながら、男子同士で雑談をしている大久保君をさり気なく見ながら言う。


「あのね、そんなつもりで見ているんじゃないからね!」


 さやかは小声で抗議してきた。私は苦笑いした。


 大久保君は、あのサヨカ会残党の一味である上田親子に操られていた前生徒会副会長の高橋知子さんと幼馴染で、彼女の事を心配している。


 今のところ、高橋さんには何も妙な兆候は見られない。


 むしろ、大久保君の方が危ない気がするのだ。


「そう言えば、今日も来ているの、瑠希弥さんと明蘭さん?」


 私はベランダに出て校庭の隅に視線を向けた。


 小松崎こまつざき瑠希弥るきやさんと神田原かんだはら明蘭めいらんさん。


 年が一緒で、境遇も似ているので、すぐに意気投合したらしい。


 尊敬する西園寺蘭子お姉さんが、


「二人で組んで行動しなさい」


 と言ったので、いつも一緒にいるらしい。


 蘭子お姉さんは、明蘭さんの母親である明鈴さんと行動している。


 スーパーお爺ちゃんの名倉英賢様の話だと、明蘭さんと明鈴さんはまだ気が不安定で、悪い気に取り憑かれるとまた元に戻ってしまう可能性があるらしい。


 だから、ガードも兼ねて、蘭子お姉さんと瑠希弥さんが一緒にいるのだそうだ。


「何よ、あの黒山の人だかりは?」


 さやかが呆れ気味に呟いた。私も溜息を吐いてしまった。


 部室棟がある脇に瑠希弥さんと明蘭さんがいて、気の流れを見極めながら清めているのだが、それを取り囲むようにほぼ全校男子がいた。


 悲しい事に江原ッチもいる。そして、親友の近藤明菜の彼の美輪幸治君もいた。


 しかも、先頭だ。某艦長のように「バカめ」と言ってみたくなった。


「明蘭さん、いいですか」


 瑠希弥さんが黒縁眼鏡をクイッと上げて言った。


「はい、瑠希弥さん」


 明蘭さんは凛々しい顔で応じた。それだけで雄叫びをあげるバカ男子。


 そのバカの先頭を切っているのが、「やり過ぎコウジ」の悪名が聞いて呆れる江原ッチと美輪君。


「オンマリシエイソワカ」


 瑠希弥さんが浄化真言の摩利支天まりしてん真言を唱える。


「オーンマニパドメーフーン」


 明蘭さんが続けて「六字大明王陀羅尼ろくじだいみょうおうだらに」を唱えた。


 究極の浄化真言だ。この真言を唱えられるのは後は蘭子お姉さんしかいない。


「ひいい!」


 途端によこしまな気を発していた男子達が一瞬にして吹き飛ばされ、倒れた。


 バカめ! 言ってみたわ、遂に。


「まどかさん、さやかさん、終わったわ。帰るわね」


 瑠希弥さんと明蘭さんが嬉しそうに手を振る。私は苦笑いして、さやかと手を振り返した。


 感応力では群を抜き、蘭子お姉さんをも上回る瑠希弥さんと、その力は未知数で、しかも究極の浄化真言を難なく唱えてしまう明蘭さん。


 いろいろな意味で最強なコンビだと思うまどかだった。

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