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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
125/235

大沢先生は怖いのよ!

 私は箕輪まどか。中学二年の霊能者。ちなみにどうでもいい情報だけど、美少女ね。


 全く。展開が結構深刻なのに、何よそのオープニングは? バカじゃないの?


 そう。


 先日、産休を取った先生の代わりに副担任として現れた大沢おおさわ一人かずひと先生。


 イケメンで、クラスの女子達はすでに虜。


 正担任の藤本先生を外して、大沢先生を昇格させるように職員室に直訴に行った。


 江戸時代じゃないんだからと思ったけど、何とその要望が通り、大沢先生は担任に昇格するらしい。


 藤本先生はショックで寝込んでしまったようだ。


 ところで、直訴って何?


 


「それはおかしいね、まどかりん」


 下校デートの時、彼氏の江原耕司君に大沢先生の事を話した。


 江原ッチも柳原まりさんと同じく、大沢先生を疑っている。


「そうなのよ。教頭先生って、確かもうすぐ定年のはずなのに、大沢先生にメロメロになっちゃって」


 私は腕組みして真剣な表情で言った。すると江原ッチは、


「いやいや、それもおかしいけど、もっとおかしいのは大沢先生だよ、まどかりん」


「え? そこじゃないんだ」


 私はテヘッと笑ってみせる。いかん、私まで深刻な時にアホな事をする「りったん症候群」にかかってしまった。


「可愛いんだけど、引く」


 江原ッチをしてそう言わせてしまった。ああ……。


瑠希弥るきやさんに相談しよう」


 今度は江原ッチがニヘラッとして言った。小松崎こまつざき瑠希弥るきやさんは私のお師匠様だし、以前学校で事務員をした事もあるので、力になってもらえるかも知れない。


 でも、江原ッチの目的が違う方向性を有しているのに気づいた私は、


「瑠希弥さんにだけ協力してもらいます、江原耕司君」


と言った。


「ええ? まどかりん、そんなの酷いよお」


 江原ッチは甘えた声で言うが、私は受け付けなかった。


「じゃあ、美輪に頼むよ。俺、学校違うから」


 江原ッチがあまりにションボリするので、


「元気出して、江原ッチ」


 私はほっぺにキスしてあげた。


「おおお!」


 まるで何とかサイヤ人のように気が膨れ上がる江原ッチだった。


 


 そして、翌日。


「おはよう、明菜」


 校門の前で親友の近藤明菜に会った。


「おはよう、まどか」


 まずは明菜で小手調べだ。


「おはよう、アッキーナ」


 江原ッチの親友で、明菜の彼でもある美輪幸治君が現れた。


 しかも、瑠希弥さんと腕を組んで。


 これは明菜の洗脳具合を計るための作戦だ。


 洗脳の度合いが強ければ、何のリアクションもとらないはずなのだ。


「あんた、誰?」


 明菜は予想通り、美輪君には無反応だ。


「大沢先生!」


 明菜は校庭の端にいる大沢先生を見つけて走り出した。


 すでに大沢先生は数十名の女子生徒と数人の女の先生に囲まれている。


「ううう……」


 美輪君は、瑠希弥さんと腕を組めて嬉しがっていたのだが、明菜のあまりにつれない一言とその後の行動に打ちのめされていた。


「まどかさん、あの先生ですね?」


 瑠希弥さんがやんわりと美輪君の腕を解き、眼鏡をクイと上げる。


「はい。どうですか?」


 私には大沢先生の気が読めないので、瑠希弥さんに尋ねた。


「気を細かく分断して、自分の思う通りに動かしています。まどかさんにはあの先生の気が来ていませんね」


 瑠希弥さんが解説してくれた。


 どうやら、大沢先生はターゲットを絞って気を放出し、その人を操っているらしい。


「瑠希弥さん!」


 柳原さんが現れ、瑠希弥さんに近づく。瑠希弥さんは柳原さんを見て、


「おはよう、柳原さん」


「おはようございます!」


 柳原さんには、大沢先生の気が届いていないらしい。彼女の気が大沢先生の気を危険と判断したのか弾いているのだそうだ。


 さすが、気功少女だ。


「気になりますね」


 瑠希弥さんはジッと大沢先生を見た。その視線を感じたのか、大沢先生が瑠希弥さんを見る。


「く……」


 瑠希弥さんの顔が苦痛に歪んだ。どうしたんだろう?


「これは淫の気……」


 瑠希弥さんはポケットから数珠を取り出して右手に巻きつけた。


「インドの木?」


 いかん、またりったん症候群が発症した!


 瑠希弥さんは感応力が人並みはずれて強い。


 だからこそ、相手がその力を利用して仕掛けて来ると弱いらしいのだ。


 それにしても、中学生が主人公の話で、淫の気とか出しちゃっていいの? 問題よ、それ。


「試されたみたいですね」


 瑠希弥さんが呟いた。大沢先生はこちらを見るのをやめて、また女子達と楽しそうに話している。


「今のところ、何かを仕掛けて来る様子はないようです。一旦帰りますね」


 瑠希弥さんはそのまま校庭から去った。


「ああん、瑠希弥さん」


 柳原さんは寂しそうだ。美輪君はまだ落ち込んでいた。


 それにしても、どうして私にだけ仕掛けて来ないのかしら、大沢先生は?


 ひょっとして、私が可愛過ぎるから? もう、大沢先生たら、照れ屋さんなんだから!


 おっと! またりったん症候群だ。


 でも、なんかムカつく。私だけけ者みたいで……。


 ううう。綾小路さやかにされたいじめのトラウマが……。


 大沢先生の目的がわからない。何がしたいの?


 


 不安でいっぱいのまどかだった。

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