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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
124/235

新しい先生がやって来たのよ!

 私は箕輪まどか。


 先日、ひき逃げ事件を綾小路さやかと霊視に行って、さやかの能力の高さに驚かされた。


 そして同時に、あのエロ兄貴がそれなりに私を気遣っている事もわかり、さやかに感謝した。


「私ね、本当にあんたと親友になりたいんだよ、まどか」


 真剣な顔でさやかにそう言われると、何だか照れ臭い。


 さやかは、数少ない本当の意味で私を理解してくれる存在だ。


「あんたが意地悪しなければ、ね」


 照れ隠しでそんな返事をしてしまうが、私の心を覗けるさやかには通じない。


「この、超ツンデレめ」


 さやかはニヤッとして返して来た。私は苦笑いした。


 


 そして。


「新しい先生って、何?」


 私はクラスの副担任で、産休を取った光浦先生の代わりに来る先生の事を全く知らなかったので、親友の近藤明菜に軽蔑の眼差しで見られた。


「あんた、本当にミスうわの空よね」


 明菜が言った。誉められているような錯覚に陥る言葉だ。


「いやあ、それほどでも」


 往年のボケをかましてみたが、更に軽蔑の眼差しが強まる。


「ほら、席に着け。もうホームルーム始まってる時間だぞ」


 クラス担任の藤本先生が入って来た。顔が近いような気がするのは、遠近法を無視したような大きな顔のせいだ。


 私は、一体いつから藤本先生がクラス担任になったのだろうと思った。


 作者のいい加減さは尋常ではないのだ。


 ところで、尋常って何?


「あれ?」


 藤本先生の後から、若いイケメンが入って来た。


 誰? 転校生にしては老けてるけど? 制服着てないし。


 などというボケはいらないだろう。


 多分、さっき明菜が言っていた新しい先生だ。


 見境のない女子達は、小声できゃあきゃあ囁き合っている。


 確かにイケメンかも知れないけど、私の彼の江原耕司君に比べれば、月と太陽よ。


 あれ? 月とうなぎだっけ? うむむ……。


「今日から、クラスの副担任になった新しい先生を紹介する。大沢先生、どうぞ」


 藤本先生は、女子達の熱い視線にムッとしたような顔をし、そのイケメン先生を見た。


「今日から、皆さんのクラスの副担任を勤めさせていただきます、大沢おおさわ一人かずひとです」


 大沢先生は黒板に自分の名前を書いた。


「おおさわひとり?」


 私は思わずそう読んでしまった。クラスが爆笑した。


「あはは、そうも読めるね、箕輪さん。でも、かずひとだよ」


 大沢先生は白い歯を見せて言った。またきゃあきゃあ騒ぐミーハーな女子達。


 藤本先生はますます不機嫌そうな顔になった。


「先生が担任がいいなあ」


 酷い事を言う奴がいると思ったら、明菜だった。


 目が恋する乙女だ。こいつ、こんなに浮気性だったっけ?


 そうねそうねとあちこちから無情な声が上がる。


「ううう……」


 ふと藤本先生を見ると、項垂れていた。ショックなのだろう。


「まだ僕では正担任は務まらないよ。でも、ありがとう、近藤さん」


 大沢先生は、事前に私達の名前を覚えてきたのだろうか?


 


 やがて、ホームルームは、藤本先生が打ちのめされたままで終了した。


「箕輪さん」


 次の授業の準備をしていると、ボクっの柳原まりさんが話しかけて来た。


「どうしたの、柳原さん?」


 私は深刻そうな顔をした柳原さんを不思議に感じながら尋ねた。


 すると柳原さんは声を落として、


「あの先生、何だか妙な気を放っていたんだ。箕輪さんは感じなかった?」


「え?」


 その言葉にギクッとした。私は、項垂れている藤本先生が気になってしまい、大沢先生に意識が向いていなかったのだ。


 そう言われると、明菜が恋する乙女の目になっていたのも妙だった。


「クラスの女子達が、みんなあの先生のとりこになっているみたいなんだ」


 柳原さんは、自分が虜にしていた女子達が大沢先生に虜にされたので、嫉妬しているのだろうか?


「はい、席に着いてね」


 次の授業の先生が入って来たので、私達の話は中断した。


「また後でね」


 柳原さんはそう言って席に戻った。


 


 しかし、私はその後もずっと大沢先生の事を考えていた。


 柳原さんは、気に関して言えば、私よりずっと上だ。


 私が感じられないようなものも感じ取れるのだろう。


 彼女が嘘を吐いているはずがないから、大沢先生が妙な気を放っていたのは間違いない。


 それから、私と明菜の名前を知っていた事も、その辺りと関係があるのかも知れない。


 大沢先生は何者? 何のためにそんな気を使うの?


 疑問だらけのまま、授業が終わった。




 休み時間になると、私と柳原さんを除いて、女子達は職員室に行ってしまった。


「どういう事なの?」


 全く理解できない。


「女子達さ、藤本先生を担任から外して、大沢先生を担任にして欲しいって頼みに行ったらしいよ」


 コロッケを食べながら、肉屋の御曹司である力丸卓司君が教えてくれた。


「どうして箕輪と柳原さんは行かないんだ? 藤本先生の方がいいのか?」


 リッキーは不思議そうに言う。私は柳原さんと顔を見合わせてしまった。


「やっぱりおかしいよ、箕輪さん。何かあるよ、絶対」


 柳原さんが言った。


「え? もうないよ、コロッケ」


 リッキーの空気の読めないボケに私と柳原さんは唖然とした。


 


 何だか急な新展開で不安なまどかだった。

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