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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
115/235

今度こそプールでダブルデートなのよ!

 私は箕輪まどか。中学生の霊能者だ。


 この前、G県警の本部長に連れられて、県警本部の地下にある刑事部霊感課に行った。


 驚いた事に、エロ兄貴が課長で、兄貴の恋人の里見まゆ子さんが課長補佐。


 そして、私のお師匠様である小松崎こまつざき瑠希弥るきやさんと私が活動担当。


 その上、瑠希弥さんの制服はエロ度アップで、完全に胸の谷間が見えそうな襟だ。


 私のは何も変わらず、音楽隊の使い回しのような赤い制服だった。


 本部長はどうやらロリコンではないようだ。私の身体には興味がないらしい。


 って、何言わせるのよ!?


 


 という訳で、今日こそダブルデートだ。


 しかも、恒例のプールデートだ。


「私、思い切ってビキニ買っちゃった」


 親友の近藤明菜が囁いた。


「大胆だなあ、明菜は」


 私は仰天してしまった。去年、私もビキニに挑戦したが、あまりにもずれるので諦めたのだ。


「寄せて上げる機能付きなのは、美輪君には内緒よ」


「は?」


 そんな水着があるのか? 私も買いたいぞ。


 私と明菜は待ち合わせ場所のいつものコンビニに向かう。


 何度も言うようだが、ここにはアイスを買い占めるお姉さんは現れない。


「よう!」


 店に入ると、雑誌コーナーで立ち読みしていた明菜の彼氏の美輪幸治君が右手を上げて挨拶してくれた。


「や、やあ。早かったね、まどかりん、アッキーナ」


 何故か、私の彼氏の江原耕司君は、読んでいた雑誌を慌ててラックに戻した。


 む? 今のは確か、良い子は読んではいけない類いのものでは?


 全く。これから私の魅惑のボディが拝めるのに、何してるのよ、江原ッチは。


 え? 幼児体型の癖に何言ってるんだ、ですって? う、うるさいわね!




 私達は、飲み物やお菓子を購入し、市営のプールに向かう。


 そこからは歩いて五分とかからないので、すぐにプールに着いた。


「楽しみだなあ、アッキーナの水着姿」


 美輪君が嬉しそうに言うと、


「期待していいわよ、美輪君」


と、明菜も嬉しそうだ。


「まどかりんはビキニじゃないの?」


 江原ッチが寂しそうに尋ねる。


「まどかはお子ちゃまだから、ビキニなんか着たらずり落ちちゃうわよね」


 どこかで聞いたような声が聞こえた。この性格の悪そうな物言いは……。


「さやか!」


 そう、あの綾小路さやかが、私の元彼の牧野徹君と共に現れたのだ。


「う、うるさいわね! あんただって、大した事ないでしょ!」


 私は火照る顔を扇ぎながら言い返す。さやかはニヤリとして、


「まあ、プールサイドではっきりするでしょうけど」


と言うと、気まずそうな牧野君を引き摺るようにして先に中に入って行った。


「相変わらず、高圧的な女ね」


 明菜はさやかが嫌いなので、ムッとしている。


「まあまあ、アッキーナ。そんなに怒らないで。可愛い顔が台無しだよ」


 美輪君が歯の浮くような事を言う。


「まあ、美輪君たら」


 明菜は嬉しそうに微笑んだ。バカップルだな、こいつら。


 


 私達は更衣室前で別れ、着替えをすませてプールに繰り出した。


 確かに明菜の水着は大胆なビキニ。


 しかも、本当に寄せて上げたのが知っている者にはよくわかるほどの胸の谷間が出現している。


「どうよ、美輪君?」

 

 明菜はモデルのようにポーズを決めて、美輪君を悩殺。


「おお!」


 釣られて、江原ッチまで鼻の下を伸ばしている。


「江原耕司君、見るモデルが違います」


 私は江原ッチの背後に立ち、言った。確かに、私のは、スク水に毛の生えた程度のワンピースの水着だけど。


「あわわ、まどかりんの水着姿、眩し過ぎて見られないよ」


 見え透いたお世辞だ。でも嬉しい。


「ありがとう、江原ッチ」


 水着姿なのを忘れて、私は思わず江原ッチの背中に抱きついてしまった。


「うおお、ままどかりん、刺激が強過ぎるよお!」


 江原ッチは準備体操もしないままで、流れるプールに飛び込んだ。


「ははは、江原の奴、まどかちゃんに抱きつかれて、おっき……」


 そこまで言った美輪君の口を慌てて塞ぐ明菜。え? 何?


 その時、強烈な気が近づいて来るのを感じた。


「江原ッチ!」


 私は危険を感じて、江原ッチを呼んだ。


「あ、まどかりん、そのまだ無理……」


 江原ッチは何故かモジモジしている。


「もう!」


 私は呆れて、一人でその気の方に走り出す。


「どうしたの、まどか?」


 明菜が尋ねた。


「ここにいて!」


 私は明菜と美輪君と役に立たない江原ッチを残し、現場へと向かう。


 G県警刑事部霊感課の箕輪まどかの初仕事だ。


「きゃああ!」


 女性の悲鳴が上がった。波動を探ってみると、浮遊霊がいるようだ。


 付近にいた霊が、人々の声や気に誘われて、来てしまったようだ。


「インダラヤソワカ!」


 ところが、そこにはすでにさやかが来ていて、浮遊霊を追い払った後だった。


「遅かったわね、まどか。もう解決しちゃったわよ」


「あ、うん。ありがとう」


 私は、瑠希弥さんと小倉冬子さんから言われている事を思い出した。


 さやかは寂しいから、意地悪をしてしまうのだと。


 だから、こいつの性格の悪さには目をつむって、優しくしてあげようと思う。


「嬉しいんだけど、何かムカつく」


 さやかが言った。でも笑顔だ。良かった。それはいいけど、あまり人の心を覗かないで欲しい。


「わかったわよ」


 さやかはそのまま牧野君と立ち去ろうとしたので、


「一緒に泳ごうよ、さやか」


と誘った。さやかはドキッとしたようだ。


「いいけど、マッキーは私の彼だからね」


「何言ってんの」


 私は牧野君と顔を見合わせて笑った。


 


 さやか達と元いた場所に行くと、何故かプールサイドにベタッと座った江原ッチと美輪君しかいない。


「あれ、明菜は?」


 美輪君に尋ねた。すると、美輪君は気だるそうにプールの方を指差す。


「え?」


 そちらに目を向けると、明菜が楽しそうにビーチボールを抱えて誰かと話している。


「誰、あの人?」


 乙女全開の目でさやかが尋ねた。私は溜息を吐き、


「柳原まりさん。私のクラスメートよ」


「ああ、私、また転校しようかなあ」


 牧野君も、さやかの変貌にビックリしている。


「さ、さやかちゃん……」


 牧野君は泣きそうな顔になった。


 それに反して、さやかは目をキラキラさせている。


 戻って来なくていいよ。


 私のその心の声は、どうやらさやかに聞こえなかったようだ。


 柳原さんの周りには、たくさんの女子が群がっている。


 しかも、柳原さん、胸大きい! この前、抱きつかれた時はわからなかったけど。


 でも、水着は紺のワンピースで、大人しめだ。


 あ。いつの間にか、江原ッチの妹さんの靖子ちゃんまでいるわ。


 何なの、全く。


「あ!」


 柳原さんが誰かに気づいて嬉しそうに手を振る。この気、まさか……。


 恐る恐るそちらを見ると、瑠希弥さんが白の半袖のTシャツとジーンズ地の短パンを履いて現れた。


「おお!」


 今度はプールにいた男性一同がどよめく。


 江原ッチと美輪君も、さっきまでの気の抜けた感じはどこに行ったのか、いきなり立ち上がって手を振り出す。


「まどかさん」


 瑠希弥さんは私に気づいて微笑み、近づいて来た。


「プールで足を掴まれたという情報が入って、霊感課の里見さんから連絡を受けて来たのですが、もう解決したようですね」


「はい」


 私は苦笑いして応じた。


「私が追い払ったんです」


 さやかが誇らしそうに胸を突き出して言う。瑠希弥さんは、


「そうなんですか」


と実にありがたいお言葉をおっしゃった。


 え? 白々しいとか言わないでよね。


「そうだ、さやかにも協力してもらいましょうよ、瑠希弥さん」


 私はさやかの能力の高さを知っているので、言ってみた。


「そうですね。綾小路さんは良い力を持っているようですから」


「え、どういう事?」


 さやかはキョトンとした。


 私はかいつまんで、霊感課の事を説明した。


「是非、ボクにも協力させてください」


 いつの間にかそばに来ていた柳原さんが口を挟む。


「私も」


 靖子ちゃんまで?


「私は計算が得意だから、お力になれます」


 何故か明菜まで……。


「だったら、俺も」


 江原ッチが手を挙げて言う。瑠希弥さんはニコニコして、


「わかりました。課長に言ってみますね」


 え? 課長に? エロ兄貴になんか言ったりしたら、女の子は全員合格で、江原ッチだけ不合格の予感がするまどかだった。

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