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美少女霊能者箕輪まどかの霊感推理  作者: 神村 律子
小松崎瑠希弥さんと一緒なのよ!
105/235

転校生が来たのよ!

 私は箕輪まどか。中学二年の美少女霊能者だ。


 はいはい。気がすんだ?


 


 サヨカ会残党も退治し、大きな不安も去った。


 ちょっとした不安は、先週依頼された「G県警刑事部霊感課」の仕事。


 本部長の目的が気になる。


 それに、私はボランティアなんだけど、エロ兄貴の給料がアップするらしい。


「まどか、毎週チョコレートパフェご馳走するからな」


 妙に優しい兄貴にゾッとした。一体いくらアップしたのよ?


「毎週食べたら、太っちゃうよ」


 私は冗談めかして言った。


「いや、それに関して言えば、もう手遅れだろう」


 兄貴は残酷な現実を突きつけた。


「フンだ!」


 私は思い切り兄貴を睨みつけた。


 私は太っていない。太っていないんだってば……。幼児体型なだけよ……。ううう……。


 


 そんなバカげたやり取りがあったのだが、いつものように学校へ行く。


「転校生が来るんですって」


 教室でそんな事を話す噂好きの女子達。


「へえ、そうなんだ。コロッケ好きかな?」


 相変わらず、力丸ミートの御曹司のリッキーは食い気ばかりだ。


 世間にそれほどコロッケ好きの人ばかりいる訳ではないと知るべきである。


 やがて始業のチャイムが鳴り、先生が教室にやって来た。


「ホームルームの前に、転校生を紹介します」


「おお!」


 噂によると、今回の転校生は女子らしい。バカ男子共が目を輝かす。


「さあ、入りなさい」


 先生に促され、その子は教室に入って来た。


 ああ! すっごい美少女じゃん!


 まどか、大ピンチかも。


 しかも、ショートカットでキリリとした目。


 可愛いというより、カッコいいという容姿だ。


 私の彼氏の江原耕司君には会わせられないぞ。


「F市から転校して来ました、柳原まりです」


 声も可愛い。


「よろしくう!」


 バカ男子共が大喜びしている。


「では、箕輪さんの隣の席に着いて」


 定番通り、空いていたのは私の隣。柳原さんはそこに座った。


「箕輪さん、柳原さんの事、頼みますよ」


「はい」


 私は笑顔全開で先生に返事をし、柳原さんに微笑んだ。


 え? 何故か柳原さんは顔を背けた。


 ガーン。もしかして、初日に嫌われるってパターン? うおお!


 ホームルームが終わり、一時間目の授業までの合間、たちまち男子に囲まれる柳原さん。


「好きな食べ物何?」


 リッキーがいきなり質問する。


「コロッケ」


 柳原さんがそう言うと、リッキーは大喜びだ。


「好きな映画は?」


 別の男子が尋ねる。


「アリエッティ」


「おお、俺と同じ!」


 ホントか? 調子のいい奴だ。


「前の中学では、部活は何してたの?」


 私の親友の近藤明菜が割り込んで来て尋ねた。


「テニスです」


「そうなんだ」


 明菜は意外そうに頷く。明菜も、今でこそ帰宅部だが、小学生の時にテニス教室に通っていたのだ。


 え? まさか?


 私は柳原さんをマジマジと見た。また顔を背ける柳原さん。


 ぐうう……。涙が出そうだ。


「おい、箕輪、あんまり柳原さんを睨むなよ。怖がってるじゃん」


 男子の一人が言った。その言葉に私は反論する事もできない。


「ちょっと、酷い事言わないでよね!」


 代わりに明菜がそいつに詰め寄ってくれた。


 柳原さん、もしかして相手に合わせている?


 私は目だけで柳原さんを見た。相変わらず顔を背けたままだ。


 何か恨みでもあるの? 本当に落ち込みそうだ。


 


 そんな感じのまま、一日が過ぎて行った。


 柳原さんに嫌われた理由がわからず、私はガックリと項垂れたまま、学校を出た。


「大丈夫、まどか?」


 明菜が声をかけてくれる。


 今日は、明菜とダブルデートの予定なのに、何だかそんな気分になれない。


「あら?」


 明菜が後ろを見て呟く。私もそれに釣られて振り返った。


 するとそこには、慌てて物陰に隠れる柳原さんの姿が。


 ううう。また落ち込みそう。


 柳原さんの家って、こっちなの?


「気にしても仕方ないよ」


 明菜は私の肩を抱いて、待ち合わせ場所のコンビニへと入る。


「よ!」


 立ち読みをしていた明菜の彼の美輪幸治君が挨拶する。


「美輪君」


 クールな明菜はニコッとするだけ。ホント、ツンデレクイーンね。


「あれ、江原ッチは?」


 私は江原ッチを探した。すると江原ッチは、コンビニの外にいる柳原さんを見ている。


 もう気づいたのか! ホント、エロ男め!


「江原ッチ!」


 私はさっきまでの落ち込みはどこへ行ったというくらい、怒りに燃えている。


「あ、まどかりん!」


 江原ッチはビクッとした。


「誰、あの子? 何か、妙な気を放ってるんだけど?」


 江原ッチは動揺しながらもそう言った。


「え?」


 江原ッチも気づいたという事は、私の思い過ごしじゃない。


 柳原さんは、何かの力を持っているのだ。


「気になるな」


 江原ッチはコンビニから出て行く。私は明菜と顔を見合わせ、江原ッチを追いかけた。


 柳原さんは私達が外に出て行くと、まるで待っていたかのように近づいて来た。


「何か用かな?」


 江原ッチが微笑んで尋ねる。おい、お前、変な事考えていないだろうな? そう突っ込みたくなる。


 すると柳原さんはキッとして江原ッチを見上げ、


「ボクは君には用はない」


「え?」


 いきなりそう言われてしまった江原ッチは、プライドを傷つけられたようだ。動かなくなった。


 ボク? ボクって、もしかして……。


 次の瞬間、柳原さんは私の前に駆けて来て、


「好きです、付き合って下さい」


と言い、可愛い封筒を差し出した。思わず受け取ってしまう。


「えええ!?」


 仰天する私、明菜、美輪君。復活しかけた江原ッチは再起不能になりそうだ。


「それじゃ!」


 柳原さんは顔を真っ赤にしたまま、走り去ってしまった。


 柳原さん、私を嫌って顔を背けていたんじゃないんだ。


 恥ずかしくて、私を見られなかったの?


 嬉しいような怖いようなまどかだった。

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