出会い
「美しいと思ったものしか撮らないんだ。」
美しいものが好きだ。僕は今まで美しいと思った風景や景色をたくさん撮ってきた。
地域やその場所によって違う美しさがある。
自分のお気に入りのカメラの中を自分の好きな写真でいっぱいにするのも好きだ。
でも僕のカメラの中に人の映った写真はない。僕は人を美しいものと思えなかったからだ。
君に出会うまでは
高校1年の春。美しく咲き誇る桜にカメラを向ける。そこに君はいた。
桜の花びらを眺め、微笑む君が。
いつ間にか僕のカメラのレンズは君を見ていた。
その時僕は、初めて一人の人間を、一人の少女を
美しいと思った。
僕は思わずシャッターを切った。
カシャっという音と同時に君は僕を見た。
「ちょ…なに…盗撮?」
「ち、違うよ!桜を撮ろうとしたら偶然君がかさなって…」
「あぁ…そういうことね。」
彼女はまた桜に目を向ける
「綺麗よね。」
美しく散る花びらが彼女を包んでいるようだった。
「あぁ…とても綺麗だ。
「あ!もちろん桜がね!」
「それ以外なにがあるのよ?」
ついつい声に出してしまった。
「ところで君、いいカメラ使ってるねー。」
「もしかして写真部の人?」
「あぁ…まぁ写真部に入るつもりだけど…」
少し彼女が微笑んだ気がした。
「へぇー奇遇」
「私も写真部に入るつもりだったんだよ。」
「そうなん…ですか。」
「うん!私の名前は東雲。よろしくね!」
「あ、東の雲と書いてしののめね!」
「えぇっと...九条です。よろしくお願いします。」
それから二人で学校へ向かった。
「ていうかさ、写真結構撮るの?」
「まぁ人並み以上には...撮ってるかな。」
彼女は目を輝かせながら言った。
「今まで撮った写真見せてよ!」
「まぁいいけど…」
僕は写真フォルダを開き、彼女に見せた。
「すごーい!綺麗な写真ばっかり!」
「ま、まぁね。」
こんなにストレートに褒めてもらったのは久しぶりだった。
「でも…」
少し彼女の表情が曇った。
「景色ばっかで人がぜんぜん映って無くない?」
僕は少し困った顔で言った。
「美しいと思ったものしかとらないんだ…」
「僕は人を美しいものと感じたことがないから、だから撮らないんだ…」
彼女はきょとんとしていた。
「でもあるじゃん人の映った写真。」
「え?どれ?」
彼女はさっき撮った写真を指差していた。
「いや、だからこれは!」
彼女はニヤリと笑った。
「私は美しかったの?」
「いや、だからこれはたまたま映っちゃただけで!」
「あははーわかってるって。」
「九条くん焦りすぎだよー」
「誰のせいだよ…」
少しの沈黙の後彼女は口を開いた
「じゃあ、私が教えてあげるよ。」
「え?なにを?」
彼女はまたニヤリと笑った
「人の美しさを」
続きが気になる方がいれば、続き書きます。




