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日本人のための日本人による日本の憲法の草案

作者: 山本誠司

# 日本国憲法改正草案


## 前文


日本国は、二千年以上の歴史と伝統に培われた国柄を基調とし、平和を愛する自由と民主主義の国家を築き上げようと努めてきた。


しかし、過去には、国際社会の一員としての責務を果たすべく、あるいは国家の存立と自衛のために、戦争に巻き込まれ、多くの犠牲と苦難を経験した。


戦後、日本国は、人間の尊厳と基本的人権の尊重、国民主権と平和主義の理念に基づく憲法を制定し、国際社会において平和と協調の旗手となることを誓った。


今日、日本国は、世界の平和と安全、人類の福祉と繁栄に貢献するとともに、自らの国益と国際公共の利益との調和を図り、主権と独立を堅持することを目指している。


このような日本国の国是と国民の意思を反映し、時代の変化に対応し、将来の世代に引き継ぐべき憲法の姿を明確にするために、我々は、この憲法を改正する。


## 第一章 天皇


### 第一条


天皇は、日本国の元首であり、日本国民統合の象徴である。


### 第二条


皇位は、世襲のものであって、法律の定めるところにより、これを継承する。


### 第三条


天皇の国事に関する行為は、内閣の助言と承認に基づき、内閣がその責任を負う。天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。


### 第四条


天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のうち、国会の指名に基づく内閣総理大臣の任命、国会の解散、国会議員の総選挙の施行、法律の公布、国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び栄典の授与を行う。


### 第五条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、日本国と他の国との間に平和条約を締結することを認め、外交使節を派遣し、外交使節を接受する。


### 第六条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、国会の開会、閉会及び臨時会の召集を行う。


### 第七条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、国会における内閣総理大臣の施政方針の演説、国会へのメッセージ及び国民に対する詔書を発する。


### 第八条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、戦争の状態の宣言、停戦及び平和の締結を公布する。


### 第九条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、国会の同意を得て、緊急事態に関する重要事項を定める勅令を発することができる。この場合、勅令は、次の国会において追認されなければならない。


### 第十条


天皇は、内閣の助言と承認に基づき、儀式を行う。


### 第十一条


天皇は、皇室典範の定めるところにより、皇室の事務に関する行為を行う。


## 第二章 戦争の放棄、平和の維持及び安全保障


### 第十二条


日本国は、国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は行使を永久に放棄する。日本国は、自衛のために必要最小限度の武力を保持する。


### 第十三条


日本国は、国際平和と安全の維持に貢献するため、国際連合憲章の目的及び原則にのっとり、国際連合及びその他の国際機関に協力する。日本国は、国際連合安全保障理事会の決議に基づく平和維持活動に参加することができる。


### 第十四条


日本国は、自国の平和と安全を確保するため、他の国との間に相互に防衛協力を行う条約を締結することができる。日本国は、自国の平和と安全に関わる事態に対処するため、必要に応じて、他の国との間に安全保障協議を行うことができる。


### 第十五条


日本国は、自国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、国際社会と連携して、平和的かつ効果的な対応を図る。日本国は、自国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、自衛のために必要な措置をとることができる。この場合、日本国は、国際法に適合する限りにおいて、武力を行使することができる。


## 第三章 権利及び義務


### 第十六条


すべて国民は、人間としての尊厳と基本的人権を享有する。国は、これらの権利を尊重し、保障する


### 第十七条


すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


### 第十八条


すべて国民は、自由に職業を選択し、働く権利を有する。国は、労働者の権利と利益を保護し、公正な労働条件の確保、労働災害の防止、労働者の団結権の尊重、労使協調の促進及び労働紛争の調停に努める。


### 第十九条


思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。


### 第二十条


信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。国は、宗教上の組織、団体又は個人に対し、特権を与えない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


### 第二十一条


集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。


### 第二十二条


何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


### 第二十三条


学問の自由は、これを保障する。


### 第二十四条


婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とする。配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重されなければならない。家族の健全な成長に必要な福祉に関する事項は、法律の定めるところにより、国及び地方公共団体の責務とする。


### 第二十五条


すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


### 第二十六条


すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。国は、教育に関する基本的な方針を定める。教育の目的は、真理を探究し、人間の尊厳を重んじ、自己の個性と総合的な人間性を培い、愛と平和の精神を涵養し、創造性に富み、国際社会に貢献できる人間を育成することにある。すべて国民は、義務教育の範囲内において、無償で教育を受ける権利を有する。国及び地方公共団体は、教育がすべての国民に均等に行われるように努めなければならない。


### 第二十七条


すべて国民は、勤労の権利を有し、義務として勤労する。国は、勤労者の生活及び福祉を増進するため、労働基準法その他の法律の定めるところにより、勤労者の就業の機会を増進し、並びに適正な賃金、労働時間、休息その他の勤労条件に関する基準を定める。児童は、これを酷使してはならない。


### 第二十八条


すべて国民は、公共の福祉に反しない限り、財産権を有する。財産権の内容は、公共の福祉のために、法律の定めるところにより、制限されることができる。財産権の行使は、公共の福祉に適合するように、法律の定めるところにより、調整される。財産の公共のための使用又は没収に当たっては、正当な補償を受ける権利を有する。


### 第二十九条


すべて国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。税制は、公平かつ公正であるとともに、国民の経済的能力に応じたものでなければならない。


### 第三十条


国民は、法律の定めるところにより、国防の義務を負う。国防の義務は、平和的な目的にのみ使用される武力の維持に必要な範囲内で、法律の定めるところにより、服務又は協力の形で果たされる。


### 第三十一条


何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。何人も、正当な理由がなければ、拘禁されない。拘禁された者は、速やかに弁護人に依頼する権利を有する。何人も、自己に不利益な供述を強要されない。


### 第三十二条


何人も、裁判所において裁判を受ける権利を侵されない。裁判は、公平かつ迅速に行われなければならない。裁判は、すべて公開の原則に従う。ただし、裁判所は、秩序を乱すおそれがあると認める場合又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれがあると認める場合には、裁判の全部又は一部を非公開とすることができる。


### 第三十三条


何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。逮捕された者は、逮捕の理由を直ちに告げられ、且つ、可能な限り速やかに公開の法廷で裁判を受けなければならない。


### 第三十四条


何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がない限り、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。


### 第三十五条


何人も、自己に不利益な供述を強要されない。何人も、拷問及び残虐な刑罰を受けない。


### 第三十六条


何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


### 第三十七条


すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。被告人は、すべての証人に対して審問する機会を与えられ、又、強制的に自己のために証人を出廷させる権利を有する。


### 第三十八条


何人も、自己に不利益な唯一の証拠とされる供述又は自白によって、刑事上の責任を問われない。何人も、正当な理由がなく、留置され又は拘禁されない。又、何人も、その住居において、侵入、捜索及び押収を受けない。


### 第三十九条


何人も、その生命、自由及び財産を、正当な裁判によらなければ、奪われない。又、何人も、法律の定める手続によらなければ、逮捕されない。


### 第四十条


何人も、予め公布された法律によらなければ、刑事上の処罰を受けない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。


### 第四十一条


国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。


### 第四十二条


国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。


### 第四十三条


両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。


### 第四十四条


両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。但し、衆議院議員の定数は、四百八十五人を超えないものとし、参議院議員の定数は、二百四十二人を超えないものとする。


### 第四十五条


衆議院の議員の任期は、四年とする。ただし、衆議院が解散されたときは、その期間満了前に終了する。参議院の議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。


### 第四十六条


衆議院及び参議院の議員の選挙は、普通選挙により行われる。選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は、法律でこれを定める。


### 第四十七条


衆議院及び参議院の議員の定数は、法律でこれを定める。但し、衆議院議員の定数は、四百八十五人を超えないものとし、参議院議員の定数は、二百四十二人を超えないものとする。


### 第四十八条


衆議院及び参議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、選挙人の年齢は、二十歳以上とする。


### 第四十九条


衆議院及び参議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。


### 第五十条


衆議院及び参議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されない。両議院の議員は、院内で行った演説、討論又は表決に関し、院外で責任を問われない。


### 第五十一条


衆議院及び参議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。


### 第五十二条


国会の常会は、毎年一回これを召集する。国会の臨時会は、内閣が必要と認めたとき又は衆議院議員の四分の一以上の要求があったときは、内閣はこれを召集する。


### 第五十三条


衆議院及び参議院の会期は、法律でこれを定める。但し、内閣は、衆議院又は参議院の総議員の三分の一以上の要求があったときは、両議院の会期を延長しなければならない。この場合において、会期の延長は、ひとまず三十日を限度とする。


### 第五十四条


衆議院は、内閣の信任に関する決議を議決することができる。この決議は、出席議員の過半数による賛成がなければならない。衆議院は、内閣の不信任又は国務大臣の罷免に関する決議を議決することができる。この決議は、出席議員の過半数による賛成がなければならない。内閣は、衆議院で不信任の決議案が提出されたときは、十日以内に衆議院の解散を決定することができる。衆議院が解散されたときは、内閣総理大臣は、国務大臣と協議して国会の召集日を定めなければならない。この場合において、召集日は、解散の日から四十日以内でなければならない。


### 第五十五条


衆議院及び参議院の議長及び副議長は、各々その議員の互選により、これを選任する。議長は、その会議を主宰する。副議長は、議長に代わってその職務を行う。


### 第五十六条


衆議院及び参議院は、各々その会議の規則を定める。両議院の会議は、公開の原則に従う。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。


### 第五十七条


衆議院及び参議院は、各々その議員の出席の過半数で会議し、出席議員の過半数で議決する。但し、法律の定めるところにより、委員会において議決することができる。


### 第五十八条


衆議院及び参議院は、各々その議員の発議により、法律案を提出することができる。内閣は、衆議院及び参議院に法律案を提出することができる。


### 第五十九条


法律案は、衆議院で可決されたときは、参議院に送付される。法律案は、参議院で衆議院と同一の内容で可決されたときは、法律となる。参議院は、衆議院で可決された法律案を受け取った後、六十日以内に議決しなければならない。但し、衆議院が参議院の総議員の三分の二以上の多数で特別の必要性を認めたときは、この期間を延長することができる。参議院は、衆議院で可決された法律案について、同一の内容で可決しないときは、修正案を付して、衆議院に返付することができる。参議院が衆議院で可決された法律案を否決し、又は修正案を付して返付し、又は期間内に議決しなかったときは、衆議院は、出席議員の三分の二以上の多数で再議決することができる。衆議院が再議決をした法律案は、法律となる。


### 第六十条


予算は、内閣が作成し、衆議院に提出する。予算について、参議院が衆議院と異なる議決をしたときは、衆議院の議決を優先する。予算は、衆議院で可決された後、参議院に送付される。参議院は、衆議院で可決された予算を受け取った後、三十日以内に議決しなければならない。参議院が衆議院で可決された予算を否決し、又は期間内に議決しなかったときは、衆議院の議決を優先する。


### 第六十一条


条約は、内閣が締結し、衆議院及び参議院の承認を経なければならない。条約の承認については、第五十九条の規定を準用する。


### 第六十二条


衆議院及び参議院は、各々その議員の発議により、内閣の信任又は不信任の決議を議決することができる。この決議は、出席議員の過半数による賛成がなければならない。衆議院で不信任の決議案が提出されたときは、十日以内に衆議院の解散を決定することができる。衆議院が解散されたときは、内閣総理大臣は、国務大臣と協議して国会の召集日を定めなければならない。この場合において、召集日は、解散の日から四十日以内でなければならない。




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