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の、だろう、はず、かな?

作者: 楽部

 じめっとして肌寒い。昨日から雨は続いていて、その前からだったかもしれない。勝手に休みにして片寄り、毛布の中で丸まる、くるまる。安住の場所で防御の姿勢、何やかや、少なくとも外気は入ってこない。


 うまくない、うまくいかない。残したままのテーブルの食べかけ。片付かない、片付けられない。散らかった床の衣類。手帳に書き込んだスケジュールは、おいて行かれたのか、おいて行くのか。


 窓際の鉢植えはとうに枯れていて、それは水をやらなかったからではなく、といってやり過ぎたからでもなく。少し前は花が咲いていて、今は時節が終わったから萎んでいるだけ。そう思いたく、捨てたくもなく。


 静止した空間はしかし、まわり、まわらせられ、見えてない日も彼方に沈んで、遮ったはずの冷気が及んでくるに至る。遠くに浮かぶ電飾がぼんやり、暗がりが広がり、だが、雨は上がっていた。


 私は固まりを解いた。留まっているばかりでは人は居られない。這い出て、緩慢さから立ち上がり、内から外へ。とくに何でもない、ないそれを底から押し出す。幾らばかりかの放出。


 ただそれだけでも、弛緩のち震える体に拍動は結びつき、ともに動き出す器官、戻る皮膚の触れる感覚。伸びる背中、手足、くるりまわる首、持ち上がった目線の高さ。


 昨日の私を明日は超える。



 の、だろう、はず、かな?



 だから今日はこのままで。


 暗がりに腰を折り、ぬるい地帯に再び籠もった。

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