どこへも行かないで! 僕の気持ちを君に知ってほしい!
・・・君は僕の気持ちを何も知らない。
君は僕の会社の後輩だ! 僕が君に仕事の事を一から教えた“教育係”
君は僕を先輩としてしか見ていないのだろう。
仕事以外で君と会う事もないし、一度僕が勇気を出して君に休みの日に
映画でも一緒に観に行かないかと誘った事もあったが、あっけなく断られる。
ただ、君には好きな男性や彼氏は居ないみたいで。
それだけが僕は救いなのかなとも思う!
君に彼氏が居たんじゃ、これ以上僕の君への気持ちを進めてはいけない!
“当分の間は僕の片想い。”
それでも君を好きでいられる時間は、僕にとって幸せな時間なんだ。
だから君に男性も好きになってほしくないんだ!
僕は君に好きだと言えるその時まで、君を僕は見ていたい!
*
・・・そんな僕の淡い考えは、木端微塵に打ち砕かれる!
君はどうやら? 同じ職場に入って来た男性を好きになったらしい。
彼を見る君は、“乙女の顔をしていた。”
恋をしている少女の顔だ!
僕はそんな君の顔を見ているのが辛いんだ。
“彼にも行かないで!”
僕が恋していた君でずっといてほしいんだ。
君が彼を好きでいれば居るほど、僕の想いは霞んで見える。
叶わない君への想いは、もう届かないのかな、、、?
『先輩! どうかしたんですか?』
『えぇ!?』
『私の話、聞こえてました?』
『・・・い、いや? 何か言った?』
『もぉ~今日は、○○の会議場で○○時間に打ち合わせですよ。』
『あぁ、そうだっけ?』
『ちゃんと聞いてたんですか? なんか最近、おかしいですよ。』
『あぁ、そうかな、』
『なんか? “心ここに有らず”って感じで!』
『・・・そ、そう?』
『“好きな女の子とか居るんですか?”』
『えぇ!? 急に何、言ってるんだ?』
『まあまあ、図星だからってそう怒らないでくださいよ。』
『・・・そ、そんなんじゃないよ、』
『それならいいんですけど。』
『・・・・・・』
・・・どこへも行かないで! そんな気持ちが私にはあった。
先輩が他の女性の事を考えているのかもしれない!
最近、ボーっとしている事が多くなったし、好きな女の子でも
できたのかな?
以前、先輩から私は映画を一緒に観に行かないかと誘われた事がある!
でも突然の事で、私は咄嗟に断ってしまった。
後で物凄く後悔したのだけど? もう遅いよね。
先輩はあれから私を誘わなくなった。
もう私の事なんか何とも想ってないのかな?
私は最近入って来た男性社員と仲良くなった。
彼はどうやら? “ゲイ”で同じ職場の男性が好きなのらしい!
“この事は、私と彼だけの秘密。”
彼は普段はカッコいい男性だが、好きになる人は同性だ!
私はそんな彼に先輩の恋の相談をするようになった。
『浮竹先輩と上手くいってるのか?』
『・・・そ、それが、他に好きな女の子が居るみたいで。』
『なんでそんな事が分かるんだよ。』
『だって! 最近、ボーっとしてる事が多くなったし、好きな女性
かの事を考えてるのかなって......。』
『本人に直接、聞いてみたら?』
『そんなの聞けないよ!』
『なんで! 思い切って聞いてみないと分かんないじないか!』
『・・・そ、そうだけど、』
『俺が聞いてやろうか?』
『・・・い、いや? いい! それなら自分で聞くから!』
『頑張れよ!』
『・・・ううん。』
*
『先輩!』
『お、おう! どうした?』
『ちょっといいですか?』
『・・・あぁ、ううん。』
『“最近、先輩! 好きな女の子とかできました?”』
『えぇ!?』
『なんか? 最近、ボーっとしてる事が多いから。』
『いない! いない! なんで、そんな子いないよ!』
『何、焦ってるんですか?』
『焦ってないって! それより角井だって! 最近、廣田と仲が良いよな。』
『いろいろと相談に乗ってもらってるだけです。』
『僕に相談すればいいじゃないか!』
『えぇ!?』
『・・・あぁ、先輩だし、相談ぐらい乗れる事もあると思うし。』
『“じゃあー私! 好きな先輩が居るんですけど付き合えますか?”』
『・・・“好きな先輩? それって僕かな?”』
『あぁ、は、はい!』
『付き合える! マジで、僕もずっと角井の事が好きで、その廣田の事が、』
『違います! 彼はそういう関係じゃないんです!』
『・・・そ、そっか。』
『あぁ、は、はい。』
『じゃあ、“お互い想いは一緒だったって事なのかな?”』
『・・・そ、そうみたいですね。』
『そっか、良かった!』
『はい。』
君はどこへも行かなかった。
ずっと君は僕を見ててくれたみたいだ!
僕の気持ちを君に知ってもらえて良かったと思っている。
これからはずっと君の隣に僕が居るよ。
君の傍に僕が居れると思うと僕が幸せだなと感じているからだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。