身体が大きいと心も大きい
2023/7/19 タメを伸ばしました…
「あ…貴方はタケル様…なのですか?」
「いや…俺はライトだ。鑑定ができるなら分かるだろう?」
「確かに…。いやしかし…だとすると…」
まぁ嘘ステータスなんですけどね…。それにしても…何でリルはこんな事を?
「少し…お時間を頂けないでしょうか?考えをまとめる時間を…」
「あぁ。もちろん構わない。俺も…リルに確認したい事がある」
リュートはディートと護衛を連れて部屋を出て行きました。俺は俺でリルへの質問タイムです。
「リル、ちょっとこっちへ」
「なーにー?」
部屋にはロンドもいるので、リルを部屋の隅に呼びました。
「リル。大事な質問だよ。なんで…タケルの話で僕を指さしたの?」
「どういうこと?」
リルは意味が分からないとばかりに首を傾げています。何だろう…既視感を感じます…。
僕は、ふと思い出した映像が頭を過りました。
『「あの喋ってた人は何処にいるの?」「ワゥ?」』
『「あの『世界の半分くれてやる』とか言ってた人だよ?」「ワゥ?」』
「よく分かんない!トールがタケルでしょ?」
「いや…違うよ……」
違う…よね?
「トールはタケルだよ?」
ヤバい…変な汗が出てきました……。リルはこんな冗談を言う子じゃありません。
いや、僕は透。高杉透だよ。刑事だった高杉万代と高杉愛の息子で、9歳の時に両親を亡くして、立花師匠にお世話になって…大丈夫。記憶はある。
でも、汗が止まらない……。魔王に覚醒したタイミング、リルと繋がってた魔力パス、心当たりがあるからこそ…。
「ねぇねぇ。バスに聞いてみたら?」
そうだ!物知りなバスなら何か知ってるかも!リル、ナイスだ!
『バス、聞きたい事があるんだけど…』
『はーい!何すか?』
『僕は高杉透…だよね?』
『え?ご主人様が…っすか?』
ちょ…いつもの様に即答してよ!そう言えば…バスは僕を名前で呼んだ事が無い気がする…まさか……。
『…………。』
『え…?』
『………………。』
『バス…?』
『ご主人様は高杉透っすよ!』
『………良かったぁ』
もう…ドキドキさせないでよ!こう考えると、昔やってたあのクイズ番組は心臓に悪すぎだよね…。
「リル、確認したよ。僕は高杉透だってさ」
「あれー?」
良かった!何かリルが勘違いしてたみたいです!
すると、僕が落ち着いたと感じたのかロンドさんが話し掛けてきました。
「ライト様、大丈夫でしょうか?如何なされましたか?」
ロンドさん放置しちゃってゴメン!心を入れ替えて…俺…俺…よし!
「悪い。少し驚いたがリルの勘違いみたいだ。問題ない」
「うぅ〜…」
リルが納得してない感じです。まぁリルが勘違いした理由については調査継続という事で今は許して欲しいな…。
すると、部屋にノックの音が響きました。
コンッコンッ…
「里の方針が決まりました。入っても宜しいでしょうか?」
向こうも話がついたみたいですね。
「ライト様。宜しいでしょうか?」
「あぁ。大丈夫だ」
「リュート殿。どうぞ」
ロンドの返事を聞いて、リュート達が部屋に入ってきました。何だかとても畏まっています。
「里の方針が決まりました。我々はライト様とリル様に全面的に協力させて頂きます」
あれ?もしかしたら僕をタケルだと勘違いしていそうな気がします…。
「分からんな。何故そうなる?」
「義と信に基づき!」
やっぱり勘違いしてますよ!僕はエルフさん達に何もしてません!
「いや、俺はタケルではないぞ?」
「はい、分かっております。良いのです。我々の気が済むだけとお思いください」
「そうか…」
もういいや…。良いって言うんだからお願いしちゃおう…。
「では、世界樹の葉を買いたい。それと、できれば世界樹の意思も確認したいんだが」
「承知しました。それでは祭壇にお連れしましょう」
どうにか目的は達成できそうです。ただ、ロンドがちょっと悲しそうな表情をしています…。
「流石はライト様…。私は必要なかったかなぁ…」
あぁ!ゴメン!商談に関わるつもりなかったのに…。もちろんロンドは必要だよ!ロンドがいなかったらここまで辿り着いてもいないよ!
俺はロンドを頼りにしているって事をしっかりと伝えました…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やっぱりおっきー!」
俺達はいまディートの案内で世界樹に向かっています。もうすぐ幹に到着なんだけど、リルが世界樹を見上げてはしゃいでますね。確かに真下から見上げると圧巻です!
祭壇は聖域って事で、俺とリルしか入っちゃダメらしいです。ロンドがまた拗ねてました…。
3人きりか…。丁度良いのでディートに聞きたい事があるんですよね。
「ディート、長老は何か勘違いしてないか?」
「私には分かり兼ねますが、貴方様の「ストップ!」
「……如何なさいましたか?」
俺とリルに失礼が無い様に言われてるんだろうけど、ディートにこんな口調で話されると気持ち悪いです。
「とりあえずその話し方を止めてくれ。元の話し方でいい」
俺の話を聞いてディートが少し考えています。
「分かった。お前の望みなら長老も文句は言うまい」
「助かる。では話の続きを頼む」
「あぁ。長老が勘違いしているのか俺には分からんが…今後の注意点になるかも知れないから伝えておこう。お前は長老の鑑定に気づいたな?」
「ん?あぁ…」
確かに気付いてリルとの間にカットインしたね…。焦ってたけど何かミスをしたかな?
「長老が見た限りお前は鑑定を持っていなかった。じゃあどうやって見破った?もしやステータスも偽りなんじゃないか?って話になる」
「………。」
「タケル様はそういうスキルを持っていたらしい。今後は発言に気をつけるんだな。まぁ、タケル様とお前の関係は知らんが…」
なるほど…。勘違いの原因は俺か…。
「分かった。注告感謝する」
「構わん。で、着いたぞ。この奥に祭壇がある」
世界樹のぶっとい幹に横穴が空いていて、その穴からは優しい明かりが漏れています。ここを進んだ先に祭壇があるみたいですね。
「勝手に行ってきて良いのか?」
「あぁ。俺は入る事を許されていない」
「分かった。では行ってくる。リル行こう」
「はーい!」
俺とリルは2人で横穴に入りました。穴の側面は緑色に淡く光っていて、とても幻想的です。
「リルは精霊に会った事あるの?」
「無いよー!」
「どんな姿なんだろうね。ちゃんと会えるのかなぁ」
「ねぇねぇ!登って良いか世界樹さんに聞いていい?」
「いいよ。聞くだけ聞いてみよう」
「わーい!あっ!行き止まりだー!」
リルと話しながら歩いていると、行き止まりに辿り着きました。確かに祭壇の様な物があります。ここでどうすれば良いんだろう?
『あれあれー。懐かしい様なー。でもちょっと違う様なー』
周囲に聞き慣れない声が響きました。でも、声の主は見当たりません。
「世界樹?いや…精霊のドライアドかな?」
『そーだよー』
祭壇の上にドライアドが姿を現しました。樹をモチーフにしたゆるキャラみたいのを想像してたんですが…予想に反してその姿は綺麗なお姉さんです。
服は大きな葉っぱが元になってるのかな?正直エロい感じがします…。
「人間の姿に近いんだね」
『本当は形なんて無いよー。今は人間に合わせてるだけー』
「そうなんだ…。そう言えばさっき『似てるけどちょっと違う』って言ってたけど何に似てたのかな?」
『んー。魔王とリルかと思ったのー』
「やっぱり…」
隠すのは難しそうだし正直に話した方が良さそうかな。普通の人はココに来れないからバレるリスクも低いよね。
「不本意ながら僕が代替わりした魔王らしいよ。それと、このリルは先代リルの娘だね」
「リルだよー!」
『そうなんだねー。覚えておくよー』
少なくとも敵対してたっていう雰囲気ではないかな。1番近そうなのは友達な気がします。
『所で、今日は何しに来たのー?』
「世界樹の葉っぱを貰いたいんだけど、貰っても良いか世界樹に確認したかったんだ。世界樹に聞いてもらえる?」
『別に良いと思うけど聞いてみるねー。うん。うんうん。だよねー』
世界樹に聞いてくれてるのかな?ドライアドは誰かと話してる感じです。
『聞いたよー。一言で言うと、どうでも良いってー』
「そ…そうなんだ…。エルフ達は神様扱いして厳重な感じだったけど、随分と軽いんだね…」
『別に神様じゃないしー』
エルフが一方的に崇めてるだけで、本人達は気にしてないみたいですね。
「リルもしつもーん!」
『なーにー?』
「世界樹さんで木登りしたいんだけど、してもいい?」
『聞いてみるねー。ふむふむ。全然良いってー』
「ドライアドさん。リルは本来の姿になるとかなり大きいけど…それでも大丈夫?」
『幹を折らなければ、枝くらい幾ら折っても別に良いってよー』
「やったー!登って遊ぼー♪」
幹って…太さが数キロありそうなんですけど…。もちろん折りませんよ…。
世界樹さんはかなり大らかな性格みたいです。とりあえず、リルが喜んでるのが嬉しいですね!
さて、これで静寂の森のユニコーンも助けられるかな。って事を考えてたら、頭の中に念話が響きました。
『本体!闇属性の2人、近藤貴志と平野未来を見つけたよ』
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!
あと、下にある『小説家になろう 勝手にランキング』をクリックして貰えると助かります!
ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!




