情報共有
プルルルルルルル…プルルルルルルル…ガチャッ
「もしもし?和也、いま大丈夫?」
『大丈夫だよ。どうした?』
ライトとしてアクル王国に行く事になったので、クラスメイト達の状況とかアクル王国の動向とか聞いておこうかな。と思って、和也に連絡してみました。
「いまクラスメイト達ってどんな感じ?」
『んー。俺達も王都に戻ってないから先生からの又聞きなんだけど…勇者パーティは奈落迷宮をどんどん進んでるね。ただ…隼人はイザベラ王女に騙されてるみたい』
「何かあったの?」
『イザベラ王女から借りたお金を使って進んでるんだよね。それで借金が増えていってるみたいだよ』
「利率が違法とか、普通に借金するより厳しい条件なの?」
『いや、そこは合法な中でやってるみたい』
そうなんだ…。それなら、騙してる訳じゃない気がするけど…。
「んー…。だとすると…二心があるってだけで、騙してる訳じゃなくない?むしろ貸してくれる人がいて、ありがたい話な気がするよ。イザベラ王女を弁護してるみたいで嫌だけど…」
『そうなんだよね…。だから先生も今は見守ってるみたい。もしかしたら上手く行くかもしれないし』
「和也達は手助けしてやらないの?わざと奈落迷宮のアイテムを残してやったりとか」
『親友を刺した奴なんて…助ける気はないね』
ははは…。和也がこんなに怒るなんて珍しいね。ありがとう。
「賢者パーティはどうしてるの?」
『あんまり迷宮には来てないね。王城でのんびり過ごしてるみたいだよ。なんか賢者様に関してはハニートラップを仕掛けられてて…良い感じみたい。羨ましいなぁ…』
「え?トラップなのに良い感じなの?」
『うん。シルビア王女は良い人みたいで、何か少しずつ心の距離が縮まっていってるらしい…恋愛ドラマみたいだって先生が興奮しながら話してたよ…。『ハニトラされたら真実の愛が始まりました』って…ずるくね?』
あのお堅い佐々木がそんな事になってるとは…。ある意味、シルビア王女凄いな…。
「完全に予想外だね…。まぁ幸せそうなら良いんだけど…。他のクラスメイトは?」
『時々小遣い稼ぎに迷宮に来るけど、基本的には王城かな。なんか近藤とかのオタク組はマジックアイテム作りにハマってるらしいよ』
「へー。どういうの作ってるのかな?」
『何かドローンとか作ってるみたいだけど、動力のパワー不足とか操作が難しいとか、色々と問題があるみたいだね』
近藤くんか。確かプログラミングとかに詳しかったな。ドローンとか作れそうなら、ゴーレム作りを手伝って貰えると助かるかも…。
「他は特に問題とかないかな?」
『んー。問題って訳じゃないんだけど、平野未来さんの姿がしばらく見えないのを先生が気にしてたな。闇属性の特別授業って話だから行方不明とかではないんだけどね』
「確かに気になるね…。居場所が分かったら教えて貰える?追跡できる様にしておくよ」
『何か方法があるの?分かった』
ミクさんが見つかったら、見張りの眷属でも着けておこうかと思います。ではでは、クラスメイトの大トリを聞きますか。
「聖女パーティはどんな感じ?」
『順調だよ。慣れてきたのもあるけど、お風呂とかにも入れる様になってキャンプ感覚に近くなってきたかも』
「え?大丈夫?魔物とかいて危険なんだから油断しないでよ?」
『そこら辺は慣れかな。油断はしないでしっかりやってるよ』
「そっか。今って何階?」
『今は98階だね。90階からはキツかったわー。特殊な能力の魔物が多いし、何故か1階ずつにボスがいるし…』
あ、そうなんですよね。普通はボスって10階ごとにいるんですけど、バスから聞いた限りではラスト10階は各階にボスがいるらしいんですよ。
その事で1つ伝えたい事もあったんですよね。
「最後のボス…99階のボスは時空を操るらしいから気をつけて。まだ和也の時空属性だと干渉力で負けるかもしれないって」
『マジで?それは戦いたくないな…』
「無理だと思ったら迷わず転移で逃げて。ゲートだと潰されるかもしれないから」
『分かったよ。親友、情報ありがとう』
さて、あとアクル王国の動向も聞きたかったんですよね。まずは帝国との事を何か聞いてないか確認してみましょう。
「先生からアクル王国の動向とか聞いてる?最近は帝国と一悶着あったりしたんだけど」
『あー、皇帝暗殺?あれって実際の所どうなの?影武者だったの?アクル王国は、暗殺は成功してて今の皇帝は偽物だって言ってるみたいだけど』
「そんな話になってるんだね。殺されたのは影武者だよ。いま表舞台に出てるのが本物」
『そうなんだ。じゃあ帝国は大丈夫なのかな』
「んー。それが難しい所でね…。皇帝の実務は影武者がしてたから、思いっきり実害は出てるみたいだよ」
『え?それって影武者って言うの?』
「まぁ…一応ね……」
皇帝に重要な事は『仕事ができるか』じゃなくて『血』みたいなので…。
その部分を理解したのか、興味が無いのか、和也は続いて別の話を始めました。
『あと…アクル王国が言ってる魔物の国って…魔物の国じゃないかもしれないって…』
「あ、やっぱり?僕もアクル王国を出てから聞いてる情報を考えると…ダグルール獣王国の事っぽいんだよね」
魔物の国なんて話は聞かないし、アクル王国は獣人を魔物扱いしてるし…5年前にできた国って考えるとダグルール獣王国の事としか考えられませんでした。
『そこに住んでるのは魔物じゃないって事だよな?』
「うん。獣人は人種の1つだよ。アクル王国は魔物扱いして差別してるらしいけど…」
『俺は会った事が無いけど…怖かったりしないの?』
「全然。えっとね…モッフモフだよ?もう1度言うね?モッフモフだよ?」
大事な事ですからね。
『そ…そうか…。結構獣な感じなんだな。ネコミミお姉さんとかいないのかな?』
「いるらしいよ。獣な部位は、血の濃さで人それぞれみたいだね」
『ま…マジか…。そんな天国を攻めようとするなんて…アクル王国は許せないな』
「だよね。せっかくのモフモフパラダイスを…」
モフモフパラダイスへの進軍は絶対に止めたいと思います。
「もしダグルール獣王国への戦争参加依頼が来たらすぐ教えて。僕の事は隠しながら徹底的に邪魔してやる!」
『了解だ。ケモミミお姉さんの為に!』
微妙に目的が違う気がしますが、僕と和也の気持ちが1つになりました。
今日は色々と情報共有ができたと思います。
『ケモミミお姉さんって何?』
『!?仁科さん!どうしたの?』
『佐藤君が叫ぶから起きただけだよ』
『あ、ごめん…』
『それ、高杉君?』
『う…うん…。そうだけど…』
『ちょっと代わって』
『は…はい…』
あっさり渡すなよ!どうやら仁科さんに見つかったっぽいです…。何を言われるのかな…。
『高杉君?』
「は…はい!仁科さんお久しぶりです」
『久しぶり。唐突で悪いんだけど、親友として佐藤君の覗きを注意しておいて』
「え!?」
『はい。佐藤君』
言うだけ言ったら、すぐに和也に電話を戻したみたいです…。
『親友…聞いてくれ…違うんだ…』
「和也…何やってるの?」
『これはな…ストレスのある迷宮の中で皆んなの空気を和らげる為に自分の身を犠牲にしてだな…』
なんて厳しい言い訳を…。
「まさか時空属性魔法を使ってる訳じゃ無いよね?もしそうなら教えた僕も同罪だよ…」
『いや、漢らしく魔法を使わずに正面から…。でも、田中のガードが凄くて1度も成功した事は無いんだ…』
「田中くんに感謝だね…」
とりあえず時空属性魔法を悪用してなかったのは良かったです。まぁ気持ちは分からないでもないし…今度改めてゆっくり話したいと思います。
「気持ちは分かるけど…やっぱりダメなんじゃない?今日はもう時間も時間だし、また改めて話そうか」
『そ…そうだな…』
『気持ちは分かるんだ?』
「『え!?』」
ど、どういうこと?電話代わったんじゃないの?
『仁科さん…そこで聞こえてるの?』
『私、耳が良いから』
聖女パーティの斥候を舐めてました…。どうやら仁科さんは和也から離れてたけど電話の声が聞こえてたみたいです…。
『佐藤君の行動は献身だったんだね』
『あ…いや…』
仁科さんの声がとても冷たく感じます…。
「和也!それじゃ、ボス戦頑張ってね!奈落の底に着いたらお城とかあるから、何ならそこでゆっくりしていって!」
『ちょ、親友、待っ…』
「また!」
プツッ…ツー…ツー…
ふぅ…仁科さん怖えぇ…。
もうすぐ僕が奈落の底にいない事が双葉達にバレそうですね。その後に双葉達がどう動くのか…。まぁ、とりあえず…
和也…本気で嫌われない様に気をつけるんだぞ…。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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