武闘大会参加登録
いつの間にやらブックマークが100を超えておりました!
皆様ありがとうございます!!
「ここが登録会場か…。なるほど、権威のある大会なんだな」
知らない間に登録期限が過ぎてると嫌なので、怪人を追う前に武闘大会の登録手続きに来ました。
大陸中から人が集まってきてるみたいで凄い人数です…。
さっさと並んで終わらせてしまいたいんですけど…並んでいる列が複数あります。しかも、並んでる人数もまばらなので何だか意味がありそうです。
分からない時は聞くのが1番だよね。俺は近くにいた運営職員っぽい青年に声を掛けてみました。
「悪い。大会運営側の方だろうか?」
「はい。そうですよ。ご案内等をしております。何かお困り事でしょうか?」
「あぁ。参加は初めてなんだが、どこに並んで良いものか分からなくてな」
「なるほど。えっと…冒険者の方かとお見受けしますが認識相違ないでしょうか?」
「あぁ。その通りだ」
「やはり。では冒険者ランクを教えて頂けますか?」
ん?冒険者ランクが何か関係してるのかな?まぁ別に知られて困る訳でもないし良いか…。
「俺はCランクのライトだ」
「なるほど。それでは参加頂けるのは銀クラスか金クラスになります」
何やら限定されましたね。どうやら階級制度があるみたいです。ランクで区切ってるのかな?
「クラスの内容についても教えてもらえるか?」
「承知しました。クラスは金、銀、銅、鉄の4階級になります。金が1番上位のクラスで鉄が1番下位のクラスですね」
なるほど。俺の場合は上位の2つには参加できるけど下位の2つには参加できないと…。
「俺が銅と鉄に参加できないのはどういう基準なんだ?」
「大会運営本部の方針として、より上位に挑むのは良いのですが強い者が下の階級を荒らすのは良くないと考えています。そのため参加できる最低クラスについて制限を設けている感じですね」
なるほどね。上は無制限だけど下には降りれないって訳か。でもランク毎の下限ってどこなんだろう?
「考え方は分かったが具体的な基準はどうなっているんだ?」
「具体的にはAランクは金のみ参加可能です。BとCランクは銀以上、DとEランクは銅以上、FとGランクは鉄以上になります」
おや?出てきてないランクがありますね…。
「Sランクはどうなるんだ?」
「え?あ…Sランクですか?えっと…大会に出れません。サリオン様以外は表舞台に出てこないので集まりませんし、Aランク以下にSランクが混じると試合になりませんので…」
「そうか…」
Sランクは殿堂入り扱いみたいです。今回Sランクになる前に参加できてラッキーだったかもしれません。
あれ…そう言えば、ランク基準で話してるけど冒険者以外ってどうなるんでしょう?
「そう言えば、冒険者以外はどうなるんだ?」
「冒険者ランク基準に置き換えてます。例えば軍人ですと、騎士団長はA相当、騎士はC相当、兵士はE相当という扱いになります。まぁ例外はあって個人毎に設定させて頂いている方もおりますが」
近しい強さの人が集まる様に出来てるみたいですね。色々と親切に教えてくれて助かったな。
「ところでライト様は「おい!いつまでくっちゃべってるんだ!」
運営組織の青年が親切に説明してくれていたのですが…何やら上司っぽいおじさんが割って入ってきました…。
「あ、こちらの方は初めての参加で色々とお伝えする事がありまして…」
「あ?言い訳か?それをテキパキやるのがお前の仕事だろうが!」
「それはそうですが…」
なんだか嫌な感じのおじさんですね…。言われた青年も立場的に言い返せないのか困っています。
「しょうがねぇなぁ…。俺が手本を見せてやる!よく見とけ!」
そう言ったおじさんは、そのままこっちを向きました…。マジか…。
「おい!そこの怪しい仮面の奴、お前の冒険者ランクは何だ?」
「…Cランクだが?」
「だったら銀クラスだ。そこの壁から2つ目の列に並べ」
勝手に決めつけるなよ…。青年の話では金クラスにも挑めるはずだ。
「分かったか!こうやってサクサク仕事しやがれ!」
「いや…でも…」
「何だと?見てたのに分からなかったのか!?」
はぁ…駄目だなコイツは…。俺は口を挟むことにしました…。
「あぁ。よく分かった」
「そうだろう?もっと真面目に仕事しろってんだ!」
「勘違いするな。分かったのはお前の仕事がお粗末だって事だ」
「な…なんだとぉ…」
俺の発言を聞いたおっさんは、額に青筋を立て怒っています。でも事実だからなぁ…。
「俺は金クラスに参加するんだ。お前はずさんな仕事をした結果、俺に間違えた情報を伝えた。これがお粗末じゃなくて何なんだ?」
「あぁ?てめぇはCランクなんだろうが!銀でさえ通用しねぇ奴が粋がって無謀な事してんじゃねぇよ!」
「無謀かどうかはお前が決める事じゃない」
「俺は元Bランク冒険者だ!てめぇじゃ金クラスに出たところで無駄なのが分かるんだよ!俺でさえ通用しなかったのにお前が通用する訳ねぇだろうが!」
反論する俺におっさんはどんどん機嫌が悪くなります。冷静さを失っていて、話してる内容も理屈が合わなくなってきてますね…。
別に現役Bランクだとしてもお前に決める権利は無いだろう…。
「はぁ…。お前如きでは通用しなくても俺には余裕だ。一緒にするな」
「き…貴様ぁ…」
「何なら試してみるか?」
「その生意気な口をきけなくしてやる!」
おっさんが素手で俺に掴み掛かってきました。今回は実力差や負けを実感しやすい形で対応しようと思います。
俺は掴み掛かってくる腕を避けると、逆に右手でおっさんの額を掴みました。いわゆるアイアンクローって奴ですね。
「い…いで…いでぇ!」
痛みで膝を付いたおっさんは、俺の右腕を掴んで引き剥がそうとします。しかし、当然ながらそんな事ではびくともしません。
「どうした?元Bランクの力を見せてくれ。俺では通用しない事を証明してくれるんだろう?」
「はひー、はひー…」
おっさんは痛みを和らげる呼吸をするのに夢中な様です…。息を吐いてる時に鎮痛効果があるんですよね。
「この程度では力を見せてもらえないのかな?では段々と力を込める事にしよう」
「ひ…ひぃ!や…やめ…やめてくれ…」
「と、言われてもな。俺は金クラスで通用する事を証明しなくては。まだ通用しないという意見に変わりはないんだろう?」
「する!通用する!だから離せ!」
「……離せ?」
おっさんがとても悔しそうな顔をしています…。やり過ぎかもしれないけど、こうでもしないと実感してくれないもんね…。
「通用…します…。だから…離して…離してください」
「そうか。理解して貰えて良かったよ」
そう言って、俺は手を離しました。
すると、おっさんは尻餅をついてから即座に立ち上がり、何処かへ走り去っていきます…。逃げ足は速いな…。
俺は青年の方に向き直ると謝罪をしました。
「悪い。余計な事をしたかもしれない」
「ははは…。大丈夫ですよ。とてもスッキリしました。ありがとうございます」
「そうか…。そう言えば、おっさんが邪魔をしてきた時に話し掛けてきてたが、何だったんだ?」
「はい。金と銀、どっちに出ますか?って聞こうとしてたんですが、金なんですね」
「無謀だと思うか?」
「いえ。どんな経験がその人にとって価値があるのかは、その人次第ですし…」
そこまで言った青年は1度にっこり微笑むと、回答の続きを口にした。
「ライト様ならば良い所まで行ける気がします」
「ははは。ありがとう。まぁ、良い所どころか優勝する気だがな」
「流石ですね。冗談に聞こえません。ライト様のご活躍、期待しております」
それから、青年に大会ルールについても教えてもらいました。魔法あり、武器は何でもあり、闘技場の円盤から落ちたら失格との事です。
あと本戦に出れるのは16人で、シード6人と予戦勝ち上がり10人によるトーナメント形式。予戦はバトルロイヤルで決めるそうです。
「色々と教えてくれて助かった。申し訳ないがおっさんの仕返しには注意してくれ」
「はい。ありがとうございます。お力になれて何よりでした」
青年と別れた後は金クラスの参加申し込みを行いました。金クラスは人数少なくて、すぐに順番が来て良かったです。
それでは大会登録も終わりましたし、怪人の捕獲に乗り出したいと思います!
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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