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義賊?

2023/06/01 怪人の行動をちょっと追加しました。

「君がビオス王国のレイオス支部が推薦してるライト君だね?」


 推薦?バレッタが何か勝手に動いているのかな…。


「推薦の事は知らないがライトで合っている」

「ふーん…。なるほどね。それにしても光属性と時空属性を持ってるなんて…大変な人生だったろうね」


 属性の事は手紙に書いてあったのかな?

 それにしても…サリオンは何が言いたいんだろう?早くクエスト内容を説明して欲しいんだけど…。


「そうでもない。そんな事よりクエストの内容を教えてくれないか。グランドマスターが出てきたってことは只事じゃないんだろう?」

「いや、君を見たくて来ただけさ。依頼内容だけだったら受付嬢に任せてるよ」


 なんだ…わざわざギルドの頂点が来るから緊急事態かと思っちゃったじゃないですか…。まぁ何も無いならそれが1番ですけどね。


「そうか。で、グランドマスター殿のお眼鏡にはかなったのかな?」

「ん…迷うな…。信じて良いものかどうか…」


 何のことだ?サリオンは俺のことをじっと見つめて来ると、何やらブツブツと呟いています。


「肌で感じる強さより低すぎるな…。しかし偽りだとしたら…もしや私を騙せるほどなのか?」


 ん?………まさか!!


(バス…もしかして鑑定された?)

『されたっす!でも秘匿スキルによって偽情報の方しか見えてないはずっす!』


 備えあれば憂いなしって奴ですね…。表向き用の偽ステータス変更をいつも徹底してて良かった…。


「もしかしたら…君は手紙の通りヤバい奴なのかもね」


 バレッタ…何を書いたんだ…。まさか口癖を手紙に書いちゃったんじゃないだろうね…。

 とりあえず話を変えた方が良さそうだ。


「それでは、そろそろギルド本部でも解決出来なくて困ってるというクエスト内容を教えてもらえるか?」

「あ…その前に1つ訂正させて欲しい。別にギルド本部がお手上げって訳じゃない」

「ん?そうなのか?事前に聞いていた内容と少し状況が違う様だな」


 そんなに焦ってる感じもないし、バレッタが言うほど困っている訳ではなさそうです。サリオンはクエストがクリアされない事情を教えてくれました。


「簡単に言うと一時的な人手不足なんだよ。クエストはBランクな訳だけど、本部にはBランク以上の冒険者はいっぱいいるし、いざとなれば私が出れば解決できるだろうね」

「そうか。それなら、その冒険者達に受けさせれば良いんじゃないか?」

「まぁ、そうなるよね…ハハ…」


 どうしたんでしょう。サリオンは乾いた笑い声をあげています。


「まず、立場的に私が出るのもね…。全て私がやれば良いという話になってしまう。最後の手段としてはアリでも、日常的にやるべきでは無いと考えているよ」

「まぁ、それはそうだろう。他の冒険者は駄目なのか?」

「ライト君は大陸統一(・・・・) 武闘大会(・・・・)を知っているかな?」

「いや、知らないな…」

「おっと…世界的に有名な大会なんだけどな…」


 知ってる前提なら聞いてくるなよ…。まぁ、残念ながら異世界出身なので本当に知らないです…。


「そうなのか。申し訳ないが初耳だ」

「そっか…。まぁ世界的に権威のある大会で冒険者が名を売るのにうってつけの舞台なんだよ」

「なるほど。それで?」

「その大会が1週間後にあってね。冒険者達は準備で忙しいみたいなんだ。って言うか大半の冒険者がエントリーしているんだけど怪我をしたくないみたいだね。この時期はクエスト受注率がいつも低くなるんだ」


 え…そんな理由?冒険者として名を売りたいのに仕事を放棄するって…。


「それでは本末転倒なんじゃないのか?」

「まぁね。でも我々としては強制は出来ない。1回のクエスト達成と大会優勝では大きく価値も違うしね。一攫千金を狙う人間が多い冒険者達がどっちを優先するのかは一目瞭然だ」

「そんなものか…」


 グランドマスターが擁護するって事は、冒険者ギルドも大会運営に一口噛んでるのかもしれませんね。

 そうだ…。俺はここで1つ思いついた事があった。後で聞いてみよう。


「事情は分かった。で、クエストはどんな内容なんだ?怪人が出ると言うことだけ聞いてるんだが」

「あぁ…。義賊…なのかな?いや…賊の部分は不確かなので…」

「なんだ?要領を得ないな」

「端的に言うと、貧民街で定期的に金をばら撒く男を逮捕して欲しい」


 え…凄い金持ちだね…。でも貧民に対する施しをしてるってだけなら別に良いんじゃないのかな?


「それは…捕まえる必要があるのか?」

「あるな。ばら撒く理由が知りたい。金の出所が知りたい。貧民街の労働意欲が下がってる。その為に事情聴取しようとしたら攻撃されて逃げられた。その際に国の施設を壊された」


 なるほど…。自分の金をばら撒いてるだけなら別に良いんじゃないかと思ったけど、事はそんなに単純じゃないんですね…。


「とは言っても、そんなに緊急だとも思ってない。相手は全身鎧みたいな謎の装備をしていた事と会話が成り立たなかった事で怪人と言われている。あと、Bランクにしているのは戦闘の感じからみた相手の力量だな」

「なるほど。では探して生け捕りにすれば良いんだな」

「あぁ、その通りだ」


 クエスト内容は大丈夫かな。Bランク相当の力量なら捕らえるのも問題ないでしょう。

 では、さっき思いついた事を聞いてみましょう。


「1つ聞きたいんだが」

「何かな?」

「さっき言っていた大会には俺も出れるのか?」

「………まだ予選受付してるから大丈夫だけど…クエストは受けて貰えない感じかな?」

「いや、どちらもやろう。怪人は捕まえるし、大会は優勝(・・・・・)してみせよう」


 Sランクになる為にはギルド本部の承認が必要だ。つまりはサリオンに認められる必要がある。

 Bランククエストだけでは不足だからね…ついでに大会も優勝しておきましょう。

 俺の宣言を聞くとサリオンはニヤリと笑いました。


「いいね。楽しみにしてるよ」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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