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帝都到着

「行動条件を一つずつ書いて行くのは非現実的かなぁ…。行動条件じゃなくて学習条件を書き込むとか…」


 僕はリッケルトの宿屋のベッドでリルを撫でながら呟きました。リルは穏やかに眠ってます。

 ゴーレム工場で親の情報が出てきてちょっと元気を無くしてたんですよね…。せっかく高い部屋を取ってくれたハルト達には悪いけど、リルの方が大事なので今日はリッケルトで寝ようと思います。


「せっかくだから先代とは違うロマンを追求した開発コンセプトを考えたいなぁ…」

 

 そんな事を考えながら僕はいつの間にやら眠りに落ちていました…。


…………。

………。

……。


「ガウガウ!ワフッ…」(ちこくするよー!もう…)


 どうしたんでしょう?リルが僕の服の裾を引っ張ってます。ん?ち…こく………遅刻!?


「やばい!リルありがとう!」

「ワフゥ…」(しょうがないなぁ…夜更かしするからだよ…)


 リルが早起きで助かりました。今からバールの宿屋に戻れば予定時間に間に合いそうです。


「それじゃ行ってくるね!」

「ワフーン!」(行ってらっしゃーい!)


 僕はゲートを開いてバールの宿屋に戻りました。とりあえずリルが元気に戻ってて良かったです!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「お、戻ったみたいだな。朝食の準備に向かったら何処にもいないってメイド達が慌ててたぜ」

「それは悪い事をしたな…」


 そりゃそうだよね…。部屋で食べるって言ってるんだから準備に来るよね。そう言えば夕食の食器類も返してないや…。


「まぁ、ゆっくり朝食を食べてきな」

「ん?良いのか?もうすぐ予定時間だと思うが」


 急いで準備をしようと思ったらハルトが予想外のことを言いました。そして斜め下を見て目を合わせずに呟きます。


「ミレーヌ様がまだ起きてない…」

「了解だ…」


 まぁそんなに急いでる訳でもないしね…。

 それからゆっくり朝食を食べて、食器を返して、コクヨクの所でロボ構想を練っていたらミレーヌがやっと現れました。


「準備は宜しいかしら?それでは行きますわよ」


 おぉぅ…そう来るか…。流石は王女様…。

 俺は、遅れた分はスピード上げて巻き返してやろうと心に決めました…。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「うぅ…気持ち悪い……」


 今はお昼前なのですが、既に帝都の貴族専用門の前に到着しています。

 こっそりと風魔法でコクヨクをサポートして超特急で飛ばして来た結果…当初の予定時間よりも早く到着してしまった訳です…。ハルト…ごめん…。

 そして…当の王女様は…。


「きゃー!楽しかったですわー!」


 残念ながらミレーヌは絶叫系がお得意だった様です…。と言う事で、ハルトがとばっちりで辛い思いをしただけでした…。


「ライト!今度アレク様も一緒に乗せて飛んで下さいまし!きっと喜んで下さいますわ!」

「アレク様が良いならな…」


 あまり元気な人ではないみたいだし、超特急は気絶するかもしれない…。もしその時が来たらゆっくり飛ぼう…。

 そんな事を話しながら門に近づくと、兵士達がコクヨクに乗っているミレーヌとハルトに敬礼をしてきます。


「お帰りなさいませ。ミレーヌ様。予定よりもお早いお帰りですな」

「えぇ。コクヨクのお陰ですわ」

「コクヨクとはこのアリコーンですかな?なんとも立派な…」


 門兵長みたいな人がコクヨクの巨体に驚いています。そしてみんながコクヨクの背中から飛び降りると近づいてきました。ミレーヌに対して伝言があるみたいです。


「ミレーヌ様。例の件で急ぎお伝えしたい事がある様です」

「分かりました。すぐに城に戻ります」


 ミレーヌは急用が入ったみたいですね。俺は冒険者ギルドに行かなきゃな。


「ライトは冒険者ギルドに行くんだよね?」

「あぁ。その通りだ」

「じゃあ反対側だからここで解散かな。門兵長、ライトとコクヨクの入門手続きを」

「承知致しました。ただ…コクヨク殿は入門させても大丈夫なのでしょうか?町中で人を踏み潰してしまいそうですが…」


 なるほど…心配も納得です。

 コクヨクは足1本で大人1人分くらいのサイズ感なので、しゃがんでる人とか子供とかだと歩いてても踏み潰してしまいそうなんですよね。でも実際の所は大丈夫なんです。


「コクヨクなら大丈夫ですわ。とても聡明でしっかりと避けれます」

「ブルルルルル…」


 王女様のお墨付きも頂けました。コクヨクが『もちろん』という感じで頷きます。

 そうなんですよね。コクヨクは理性的に注意するので普通の馬よりも安全だと思いますよ。まぁ…理由はもう1つあるんですけど…。


「そうなのですな…。承知致しました」


 ミレーヌの援護もあってコクヨクも問題なく入れそうです。


「では、わたくし達は先に失礼致しますわね。コクヨク。ライトが嫌になったら、いつでもわたくしの所に来なさい」


 だから、目の前でコクヨクに粉かけないでくださいよ…。


「ライト、このメダルを渡しておきます。何か困ったことがあれば出してみなさい。力になれるかもしれません」

「あぁ、ありがとう。またな」


 何だか良く分かりませんがとりあえず受け取っておきましょう。ミレーヌの知り合い証明書って感じですかね。

 そしてミレーヌとハルトは馬車に乗って城へと向かっていきました。


 さて、では俺もギルド本部へ行こうかな。

 門兵の人達に挨拶をしてからコクヨクに乗って町へと入りました。昼時な事もあって人通りはそこそこです。

 門兵長さん…コクヨクが人を踏むなんてありませんよ…。コクヨクの前の人波が割れるのを見て改めてそう思いました…。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「ドラゴンの看板があるが…これか?」


 リッケルトやレイオスの冒険者ギルドも大きいと思ったのですが…ギルド本部はその比ではありませんね…。横幅だけで200メートルくらいは有りそうです。


「コクヨク。ここで待っててくれ」

「ブルルルルル…」


 では、コクヨクも首を縦に振ってくれた事だしギルド本部に入ってみましょう。

 確か紹介状を受付嬢に見せるんだったよね。たぶん『その他』の所かな?広いだけあって文字案内板がしっかりしています。俺はその他カウンターの方に向かって歩いて行きました。

 えっと…俺を見た人達がざわついています。ちなみに絡んでくる人もいなさそうです。カイン…やっと俺も風格が出てきたみたいだよ…。

 そして、列の後ろに並ぶと…前にいる人たちが段々と消えていきます…。いや…普通に待ちますよ?思いの外、俺の順番はすぐに来てしまいました。


「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」

「あぁ。ギルド本部の窓口でコレを渡す様に言われている」


 俺はバレッタから預かった手渡を出すと、窓口の女性に手渡しました。


「拝見させて頂きます。………。え?嘘………」


 バレッタ…何を書いたんだ…?受付嬢さんの顔が物凄く強張ってるぞ…。


「あ…あの…ライト様。特別応接室にご案内させて頂きます」


 ここでも特別応接室か。調度品が豪華過ぎて落ち着かないんだよね…。

 そして、受付嬢に連れられて特別応接室に移動しました。

 いつもの様に足を組んで待っていると、10分くらいでノックの音が響きます。


「入るよ」


 一言宣言してから返事を待たずに扉が開かれます。そして40歳くらいの男が入ってきました。

 はぁ…。ハルトと言いこいつと言い…化け物っているもんだな…。


「紹介状は読ませてもらったよ。私は冒険者ギルドのグランドマスター兼バルトロ帝国所属のSランク冒険者サリオンです」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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