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悪役令嬢?

2023/04/23 誤記の指摘ありがとうございました!その他にもあったため修正しました。

「バレッタ。相談がある」

「あ、ライト様。お帰りなさいませ。どうかされましたか?」

「移動能力の高い魔物を仲間にしたので従魔登録をしたいんだが、どうすれば良い?」


 コクヨクに仲間になってもらったけど、このまま連れ回すと襲われてしまいます。こういう時は、無害な魔物だと示す為に従魔登録するものなのだそうです。


「はい。先ずは、こちらに魔物の種族とお名前をご記入ください」

「あぁ、了解だ」


 えっと、アリコーンで、コクヨクっと…。

 俺は従魔登録用紙にスラスラと記入すると、バレッタへと手渡した。


「従魔にされたのはアリコーンなのですね。こんな上位の魔物を従属させるなんて流石はライト様です。今はどちらにいらっしゃるのですか?」

「今は離れた所にいる。いつものゲート部屋では入らないのでな。連れて来る場所も相談したかった」

「承知致しました。では厩舎の方に参りましょう。一時的に人払いを致しますので、そこで従魔証である首輪を付けさせて頂きます」


 そう言うとバレッタは何やら首輪っぽい物を手に取ってから厩舎に向かって歩き始めた。俺もバレッタの後に付いてゆく。

 厩舎に着くと、バレッタは人払いをしてからコクヨクを呼ぶスペースを確保してくれた。んー…でも収まるかな…?


「ライト様、従魔をこちらにお呼びくださいませ」

「分かった。まずは呼んでみるか…」


 俺は厩舎の屋根限界ギリギリまで大きくしてゲートを開いた。


「コクヨク、こっちに来てくれ」


 ……ズンッ!…ズンッ!…ズンッ!


「え…ライト様…。その…大きくないですか?」


 コクヨクが天井を壊さない様にちょっと屈んでいる…。やはり狭かったか…。


「あぁ。普通のアリコーンよりも少し大きいんだ。どうも狭そうなので早めに手続きを済ませてもらえるか?」

「し…承知致しました。首輪の長さ足りるかしら…」


 コクヨクには座ってもらって、バレッタは持ってきた首輪を付けようとする。しかし、やはり長さが足りないみたいだ…。コクヨクは普通のアリコーンの1.5倍くらいあるからね…。


「ライト様…急いでもっと大きな首輪を持ってきます!少々お待ち下さい!」


 バレッタはそう言い残すとダッシュでギルド建物へ入っていった。


「コクヨク。あれがバレッタね」

「はい。覚えました」

「基本的には人がいる所での人間語使用は控えて欲しいけど、バレッタしかいなければ話しちゃって良いよ」

「おや。信頼されてるのですな」

「まーね。頼りにしてるよ」


 それからバレッタが戻ってくると、持ってきた大きな首輪をコクヨクに取り付けた。これで一安心ですね。


「バレッタ、ギルドに鞍もあったりするか?」

「残念ながらここまで大きいものは…。特注になりますが注文しておきましょうか?」

「流石に無いか…。あぁ頼む」


 ひとまずギルドで出来る事はこんなものかな…。そろそろ戻りますか。


「バレッタありがとう。それでは帝国への旅を再開してくる」

「行ってらっしゃいませ」


 俺はゲートを開いて、一番進んでいた場所へと戻って行った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「いやー、空の旅は快適だねー!コクヨク、サイコーだよ!」

「恐悦至極!」


 コクヨクのサイズに合う鞍が無かったので今は裸馬状態なんだけど、背中が広いので座るのには安定しています。自分で飛ぶのとは一味違って、こういうのもなかなか良いですね!


 既にバルトロ帝国領には入っていて、今は森の上空を飛んでいます。街道を無視して直線的に進んでいるので、下を見ると一面に緑が広がっていて爽快な気分になります。

 そうやって景色を眺めながら飛んでいると、緑の中にぽっかりと空いた空間がある事に気付きました。そこだけ茶色な感じです。


「何だろう?こんな森の中に村でもあるのかな?コクヨク、ちょっと近づいてみて」

「はっ!承知しました」


 そして空から空間に近づいて行くと、だんだんと空間の全貌が明らかになってきました。


「これは…遺跡かな?」


 森の中が切り開かれて、インドにあるタージマハルの様な建造物が建っていた。でも、誰かが住んでいる様な感じはしない。


「ちょっと寄ってみよう。コクヨク、下に降りてもらえるかな?」

「はっ!」


 そしてコクヨクは正面入り口の様な所に降り立った。僕はコクヨクから降りて、周りを眺めてみる。荒らされてる様な感じもないな…。あまり知られてない建物なのかな?

 確かに街道からかなり外れた所にあるし、地上を歩いてたら気づかなかったと思う。


 迷宮と言う訳ではなさそう。でも魔物の住処になってる可能性はあるので気をつけないとね。ちょっと建物全体で探知魔法を使ってみよう。

 しかし僕は分かっていなかった。自分が探知される対象になった事がないので当然かもしれない…。僕から出た魔力は拡散されて、魔力が接触した対象を把握する。つまり…敏感な人は魔力の接触を(・・・・・・)感じられる(・・・・・)んだ…。

 建物の奥には数人の男女がいて、服装的に冒険者っぽい。その中で僕の魔力探知に気付いた男の人が、迅速に移動を開始した。こっちに来る!


「えっと…今の魔力は君かな?」


 木に隠れて見えない所から声をかけてきた。俺はそっちを向きながら返答する。


「あぁ。不躾な真似をして申し訳なかった」

「ははは。場所はバレバレか。なるほど、そういう魔法を使われた訳か…」

「そうだな。目的は魔物の確認だった」

「じゃあ敵意は無いってことで大丈夫かい?」

「勿論だ。そちらに敵意が無ければだがな」

「りょーかいりょーかい。大丈夫だよ。あ、仲間の女性に言い方がキツイのがいるけど、敵意がある訳じゃないから安心して」

「そうか…」

「えっと、出て行くけど、そのデカいアリコーンに襲われたりしないよね?」

「大丈夫だ。無暗に襲ったりはしない」


 敵意が無いことは理解してくれたみたいで、男は姿を現した。俺より少し年上かな?20歳くらいだと思う。


「俺はバルトロ帝国の冒険者でハルトだ。この遺跡は俺たちしか知らないと思ったんだけどな…。よく来てるのか?」

「いや、初めてだ。偶然見つけた」

「そっかそっか」


 すると、男を追って来たみたいで残りのメンバーがこちらに来た。


「ちょっと!何も言わずに何処かに行ってしまうなんて何考えてるのよ!」


 言い方がって言ってたのはこの人かな?プリプリ怒ってらっしゃる…。


「申し訳ありません。ミレーヌ様。急ぎ安全を確認する必要があったもので」

「あら?こちらの方は?」


 敵対している訳でも無いんだし、俺も名乗っておくべきでしょう。俺は進み出て所属と名前を伝える。


「ビオス王国で冒険者をしているライトと言う」

「ふーん…。聞かない名ね。まぁいいわ。あなた、私の下僕にしてさしあげますわ。感謝なさい」


 ………は?


「いや…意味が分からないんだが…。そもそも貴方は何者だ?」

「ふふふ…私は謎の美人剣士ミレーヌですわ」


 自分で謎とか美人とか…何なんだ…。これはきっぱり言った方が良さそうだな…。


「悪いが下僕の話はお断りさせて頂こう」

「あら、そうなんですの?変わった方ね」


 ミレーヌは本気で疑問に思ってるみたいだ…。発想がズレすぎてて恐ろしい…。


「で、ハルト達はなぜここに?」

「まぁ、ぶっちゃけミレーヌ様のお土産探しだな」

「は?お土産?」

「まぁ、そういう反応になるよな…」


 ハルトと話をして俺の頭の上が疑問符だらけになっていると、ミレーヌが割って入って来た。


「ラインハルト。私が説明します」

「…あの…名前が「私は長期休暇中は冒険者もやっていますが、本来は学生なのですわ」


 ハルト…大変そうだな…。


「もちろん私は学園一の花。言い寄って来る虫の如き男は後を絶ちません」

「はぁ…」

「しかし、あの方は…儚げなあの方は違うのです…」


 ミレーヌは、頬を赤く染めてクネクネしながら説明している…。ホントなんなの…。


「わたくしは、中々外に出られないアレク様へ素敵な贈り物がしたいのです!アレク様に言い寄るゴミムシどもでは準備できない様な物をね…」

「まぁまとめると、好きな人へのプレゼントを探してます。って事だね」


 ハルトが簡単に要約する。どうやらこのパーティの実態は、ミレーヌ+護衛という感じみたいだ。

 ミレーヌはどこぞのお嬢さんなのかな?しかも、ちょっと悪役令嬢っぽいよね…。ちょっとステータスを見てみますか…。


■名前:ミレーヌ・セイ・テ・バルトロ

■種族:人族

■性別:女

■年齢:14

■レベル:21

■魔法

 火:2

 無:2

■スキル

 礼儀作法:2

 罠制作:1

 精神的圧力:1

 剣術:1

■称号:バルトロ帝国第1王女


 げ…。本当に…令嬢じゃないですか…。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
無属性魔法はみんな持っていると設定されていましたが、ミレーヌのステータス欄には無属性魔法のレベルが記入されていないのにヘルマンのステータス欄には記入されているので、ミレーヌのステータス欄に無属性魔法の…
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