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アリコーン

「えっと、ここら辺にいるはずなんだよね?」

「ワフーン」(そうだよー)

「ここら辺はあまり来なかったなぁ…」


 移動手段をバスと検討した結果、アリコーンを捕獲するのが1番良いんじゃないかという事になった。空も飛べるし馬型の中では一番強い。

 でも何処に生息してるのかな?と思ったら、奈落迷宮の最下層にいるらしいので久しぶりに帰ってくることになった。

 そして、奈落迷宮最下層に一番詳しいリルに道案内をしてもらってるという訳です。


「アリコーンだけを対象に探知魔法を使ってみるか。………。お、いた。少し行った所に草原があって、そこにいるね」

「ワフッ!」(ほら!)

「リルありがとね!リルのお陰ですぐ見つかったよ」


 僕はリルを撫でながらお礼を言った。それじゃ草原に行ってみましょう。仲間になってくれる子がいると良いんだけど…。

 草原に向かって歩いていると1頭目のアリコーンと遭遇した。


「えっと…人間の言葉は理解できるかな?襲ったりしないから安心して」

「ブルルル…」


 アリコーンは縦に頭を振ってくれた。伝わってるっぽいかな。目の前にいるアリコーンはサラブレッドの1.5倍くらいの大きさで、白くて綺麗な毛並みだ。ひとまず声を掛けてみよう。


「えっと、お願いがあって…。僕の乗馬になって欲しいんだけど、どうだろうか?あ、魔力パスを繋げても良いかな?」

「……。ブルゥ…」


 アリコーンは首を横に振って仲間の方に走って行ってしまった。


「残念…。振られてしまったよ…」

「ワフン…」(ま…まだまだいるさ…)

「そうだね…。よし!じゃあ、いっぱい集まってる所に行ってみよう!」

「ワフーン!」(その意気!)


 草原の奥へ進んで行くと何頭かのアリコーンが集まっている場所があった。座ったり転がったりして休んでるみたいだ。ここで聞いてみようかな…。


「誰か、僕の乗馬になってくれるアリコーンはいませんかー?」


 アリコーン達は顔を見合わせている。何やら困らせているっぽいな…。


「えっと…何やら事情がありそうだけど、教えて貰えないかな?」


 すると、1頭のアリコーンが立ち上がり、首の動きで『付いて来い』ってやってから歩き出す。

 何だろう…。良く分からないが、ひとまず着いて行く事にした。

 アリコーンは草原を抜けて森の中へと入っていく。


「えっと…何処まで行くんでしょう?」

「……。」


 アリコーンが反応してくれない…。でも探知魔法の結果と向かってる方向からちょっと予想がついてきた。向かっている先に別のアリコーンの反応がある。あと10分といった所か。

 そして僕の予想通り、10分後に先導していたアリコーンは歩みを止めた。


「うぉぉ…でかい…」


 僕の目の前には大きなアリコーンがいる。他のアリコーンはサラブレッドの1.5倍くらいなのだが、このアリコーンは2倍くらいあった。そして、他のアリコーンは白かったのに対して、このアリコーンは漆黒の毛並みをしている


「えっと…どういう事かな?」

「どうやら、他の(もの)は私に気を使ったみたいだな…」


 えっと…気のせいじゃないよね?目の前の黒いアリコーンから人間の言葉が聞こえた気がするんだけど…。


「驚かせた様だな。わたしは人間の言葉を操る事ができる。そういうものだと思ってくれ」

「分かったよ。了解だ」

「ありがとう。あと、そちらが尋ねてくれたのに申し訳ないが、私から質問させて貰えないだろうか。まず間違いないとは思うのだが、念のため確認したい…」

「確認?うん、大丈夫だよ」

「あなたは…魔王様なのでしょうか?」


 おっと…。鋭い指摘だな…。どうやって見破られたんだろう?


「うん。望んでなった訳じゃないけど、魔王みたいだね」

「やはりそうですか。失礼致しました」


 アリコーンは前足を折り曲げると、器用にお辞儀をしてくれた。それにしても、いったいどういう事だろう?


「他の者達が遠慮していた理由ですが、我が家系は代々魔王様の乗り馬を務めて参りました。その為、私を差し置いてと思ったのでしょう」

「そっか。それじゃ改めてだけど、僕と一緒に冒険に行かないかい?」


「……。1つ…お願いがあります」

「何だい?」

「魔王様の魔石を頂けないでしょうか」


 え?どういう事?僕の心臓の横にも魔石があるって事かな?


『違うっす!ご主人様は魔力を圧縮して人工的に魔石を作成する事ができるっす!このアリコーンは、それを欲しいって言ってるっすよ!』

(了解。じゃあ試してみようかね。バス、やり方教えて)

『分かったっす!まず両手の間に魔力を集中するっす』

(こんな感じかな?)

『良いっすね。そのままどんどん魔力を継ぎ足して行くっす!』

(くお…溢れて来る…)

『頑張るっすよ。………。良いっすね、それくらいで大丈夫っす!そしてそのまま手を握るっす!』


 僕は両手の手の平をくっつかせるつもりで手を閉じて行く。魔力が圧縮されて行くのが分かる。そして反発が凄い。


『そのまま手で包み込むっす!おにぎりを作ってる感じっすね!そして石になるのをイメージするっすよ!』


 手の中で圧縮されていき、どんどん石が大きくなっていくのが分かった。


『OKっす!これで完成っすよ!』


 僕の手の中には直径5センチメートルの石が握られていた。おぉ…出来てる。魔石って自分で作れるんだな…。

 俺は作成した魔石を見せながらアリコーンに話しかける。


「これで良いのかな?」

「はい。そちらを頂けますでしょうか」

「あぁ、勿論だとも」


 そう言うと、手の上の魔石は宙に浮いて、アリコーンに向かって進んで行く。そしてアリコーンの胸にスーっと入って行った。


「おぉ…おぉぉぉおおおおお!力が漲って参ります!魔王様、感謝致します!あなた様に永遠の忠誠を誓わせて頂きます!」


 なんだ…アリコーンがパワーアップした…。これは…リルより強くなったかもしれない…。


『ご主人様の準眷属になった感じっす!本来は眷属化のスキルと合わせて使う事で強化した側近を作るんすけど、ひとまず途中までって感じっすね!』


 なるほど…。その時が来たらリルの事もパワーアップさせてあげられそうだね。

 だからリル…。そんな恨めしそうな目で見ないで下さい…。


「それじゃあアリコーン。これから宜しくね。ちなみに個体名は無かったみたいだから、僕が名付けても良いかな?」

「はい。是非お願い致します」


 さて、どうしようか。黒って要素は入れたいな。黒い馬…黒い羽…黒い翼…。よし決めた!


「君の名前は今日からコクヨク(・・・・)だ!宜しくね!」

「はっ!名前を頂戴し感謝の極みです。粉骨砕身の思いで頑張らせて頂きます!」


こうして新たな仲間が増えました。トールとしてはジャジャに乗って、ライトとしてはコクヨクに乗りたいと思います。

これで帝都まではすぐですね!ではでは、改めて出発しましょう!


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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