表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/219

平常心って難しい

「いいね」や「評価」をいくつか頂きました!ありがとうございます!

「見張りについては2名体制で3つに分ける」


当然だが俺とワイバーンの翼の6人で夜の見張りを行う事になった。


「3時間づつで交代だ。今から始めればちょうど夜明け頃になるだろう。起床後は30分で出発する」


えっと…今が20時くらいだから朝5時に全員起きて…5時半に出発か…はやっ…。

日が出てる時間を有効活用するのが大事なんだな…。

これが電灯の無い世界の普通か…。


「ライトは俺とだ。見張りをしながら色々と教える。1組目でやってしまおう」

「あぁ、助かる」


最初の見張り担当は俺とガルトになった。すると、他の面々はすぐに就寝する。プロって感じだ…。

何処でも早く寝れる事も重要そうだな。


そして見張りが始まると、俺は1番気になっていた事を最初に質問した。


「ガルト。教えてくれ。3時間ってどうやって測ってるんだ?」


そうなんだ…。この世界の時間は地球と同じなんだけど…それをどうやって認識しているんだろう?

クラスメイトには腕時計を付けてきてた人もいて、俺達は時計で確認していた。

ちなみに、スマホは通話ができないので電源を切って封印している。


「時間の把握は基本的に太陽と星だな。今の時期だと日が沈んでいるのが11時間だから、あの星があそこら辺まで行けば3時間になる」


おぉ!何だか冒険家っぽい。


「なるほど。ちなみに迷宮だとどうするんだ?」

「それが迷宮の恐ろしい所だ。蝋燭やランタン油の消費量でざっくりとは把握できるが、最終的には感覚頼りになる」

「そうか。身体で覚えるしかないんだな」


迷宮だとストレスで早く感じたりするから…結構難しいんじゃないだろうか…。


「俺も聞いて良いか?」

「あぁ、なんだ?」

「基本的に1人で行動してるんだろう?夜はいつもどうしてるんだ?」


それには表向きの回答と裏の回答がある…ひとまず表向きの回答をしておこう。


「寝ていても敵意は感じとれる。すぐに起きて対応可能だ。後は…聖域を張っておけば安全だな」

「聖域って言うと、アリアを回復してたやつか?」

「そうだ。敵を排除する回復空間を作り出す」


ちなみに裏の回答…つまり真実は、何処からでも宿に帰って宿で寝ている…。帰れない時はバス頼りだ…。


「やはり、俺が教える事はお前の役に立たなそうだな…」

「まぁ、一応教えてくれ」

「そうか?じゃあまずは火だが…」


俺は火の重要性や薪の選び方、気配の探り方や魔物に襲われた場合の対処方法等を教わった。

確かに…俺1人でいる時には役に立たない情報だった…。例えば…。


「ガルト。ダイアウルフに囲まれているので撃退して良いか?」

「囲まれているのか?分からんな…」


襲われる前に検知してしまうから、火による威嚇や襲われた場合の対処とか…俺には関係ない…。


さて、寝てる人を起こさない様にしないと。

俺はいつも通りに転移を繰り返して、刀でダイアウルフを倒して行った。この前大量に売却したばっかりなんだけどな…。


「ガルト。終わったぞ。21頭だった」

「そうか…戦闘してるのも全然分からなかった…」


その後はガルトと話をしてる間に交代の時間となり、そのまま何事もなく朝を迎えた。

俺たちの後には魔物の出現は無かったらしい。


「そろそろ出発するが全員準備は良いか?」

「はい。大丈夫です」


ワイバーンの翼の面々は出発前の打ち合わせをしている。


「あと、明日からも夜の見張りはこの順番で行こうと思う。ライトが魔物を狩り尽くすと、その後が安全だからな…」

「賛成です…」


まぁ俺も経験値貰えた方が嬉しいからwin-winな関係という事で…。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



それから3日目までは同じ様な内容だった。

時々魔物に襲われるくらいで、その他は順調だ。俺も野営の準備に慣れてきたと思う。


そして、今は切り立った山の中を進んでいる。

壁沿いに道が作られている感じなんだが…ちょっと道を外れただけで崖から転落しそうだ…。


「ライト様。ここの山賊は残虐で有名です。もし捕まったら、男の我々は殺される事になるでしょう…。奴等の事は人間だと思わない様にしてください…」

「女なら殺されないのか?」

「死より辛い思いをする事になると思います…」


そんなにか…。犯罪者の集まりだしな…。


「何故そんな山賊が野放しになっているんだ?」

「国も捕らえようと努力しているのですが…地形の問題もあって追うのが困難なのです」


確かにこの切り立った山の中では、慣れていない者は転落の恐れが出てくる…。


「アジトは分かっていないのか?」

「一度判明したのですが…。大軍で向かってみると、もぬけの殻になっていたのです…」


先回りされたという事は…内通者か…。


「なるほど。情報が漏れている可能性があるな」

「その通りです。その為、慎重に調査している最中という所です…」

「了解だ。情報が欲しいな。もし襲ってきたら出来る限り生け捕りにしよう」

「おぉ、それは助かります」


そうして山道を進んでいると、俺の探知魔法に引っかかる者がいた。

山賊が待ち構えている…という訳ではなさそうだ。

これは…既に誰かが襲われている?


「ロンド!誰かが山賊に襲われている!俺は先に行くからお前達は後から来い」

「あ…はい!わかりました!」


山賊が人を刺そうとしている姿が脳裏に写る。まずは止めないと。


「どうか…どうか…妻と娘だけは…」

「ひゃーはっはっはっ!どっかの変態が新しいパパになってくれるから心配すんじゃねーよ!安心してあの世に逝きな!」

「パパー!」


ガシッ…


俺は転移魔法で2人の間に割って入ると、突き出された剣を素手で掴んで止めた。

周りは…俺には理解できない風景が広がっている…。


何だこれは…。

二十歳前後の女性に馬乗りになって服を引き裂いている奴…。

それを見てニヤニヤしてる奴…。

幼女の首筋にナイフを当てて笑ってる奴…。

刺されそうだった男の身体は満身創痍だ…加虐的に切り刻まれたのだろう…。



何なんだ(・・・・)これはっ(・・・・)!!!!!


身体中の血が逆流してる様な…そんな感覚に襲われる…。

駄目だ…。絶対に駄目だ…。こんな事が許されちゃいけない…。

あぁ…こいつらは確かに…人間じゃない(・・・・・・)!!


「突然現れやがって!何なんだてめぇは!?」


剣を突き出していた奴が何か喋ってる。うるさいな…。


ボフッ…


俺は…身体強化している状態で、目の前にあった顔面をぶん殴った…んだろう… 。

剣を突き出した男の首から上は……無くなって(・・・・・)いた…。


駄目だ…冷静になれ…。情報を引き出さないと…。


「お…おい!てめぇ何しやがる!動くんじゃねぇ!動いたらこのガキをぶっ殺すぞ!」


幼女の首にナイフを押し当てながら男が叫ぶ。

何でこいつらは…俺の平常心を奪うのがこんなに上手いんだ……。


「その腕で、どうやってその子を殺すんだ?」

「は?何言って…う…うわぁあああ!!」


ディメンションブレードによって本人も気付かぬ内に切り落とされた両腕が…地面を転がっていた…。

そして、女性を襲っていた男達がこちらの騒ぎに気付き、武器を構えて近づいてくる。


「それで…俺をどうにかできるつもりか?」


俺は構えもせずに、ツカツカと男達と距離を詰めた。


「てめぇ!なめてんじゃねーぞ!!」


女性に馬乗りになっていた男が、剣を振りかぶって襲い掛かってくる。

舐めてるのはどっちだ…。

他人の人生を舐めているのは…どっちだ!?


俺は振り下ろされた剣を半身になって避けると、相手の膝を正面から踏み抜いて砕く。

更に相手の右腕を掴み、肘を逆に折った。


「うわぁ!いてぇ…いてぇよぉ…」


倒れた男が呻き声を上げているが、俺は無視してもう1人の男…女性が襲われているのを見てニヤニヤしていた男を見る。


「ひ…ひぃ…。無理だぁ…」


ニヤニヤしていた男は振り返ると、逃げ出そうとして走り出した。


ピュン……。ドサッ…


「くそぉ…。逃げねぇと…逃げねぇと……」


膝から下が無くなった男は、匍匐前進(ほふくぜんしん)で逃げようと藻掻(もが)いている。

全然進んでないから放っておいても大丈夫だろう。

両腕を切り落とした男は失血によって気を失っているし、膝を砕かれた男も立てそうにない。

これで全員動きは封じたな。


俺は刺されそうになっていた男性の元へと向かう。

多分、夫婦と娘なのだろう。父親の元には、襲われていた女性と幼女が身を寄せていた。


「た…助けて頂いて…ありがとうございます…。どうか…妻と娘を……」

「あなたっ!」

「パパァ……」


父親の傷が酷い…。トドメを刺されなくても…もうすぐ命は尽きると覚悟が出来ているみたいだ…。

無駄に覚悟させてしまったな…。


「悪いが、家族との幸せは自分で味わってくれ。聖域」


光の空間に包まれると、父親を始め全員の怪我が治療される。


「き…傷が…あんなに身体中を切り刻まれていたのに…。ありがとうございます!」


そして、俺はアイテムボックスからローブを取り出すと奥さんに渡す。引き裂かれた服が…見るに忍びない…。


「申し訳ないが女性物の服を持ち合わせていない。ひとまずこれを羽織っていてくれ」

「あ…ありがとうございます」

「ライト様!」


そして、丁度良い所にロンド達が来た。


「ロンド殿。山賊は4人。3人は生け捕りにしてある」

「生け捕り…確かに生きてはいますな…」

「何か問題があったか?」

「いえ、ライト様は優しいだけではないのだと…気を引き締めただけです」


優しさ?厳しさ?んー…。


「こいつらを甘やかす事は、間接的に、善良な者を傷つける事に参加しているのと同義だと感じた。それだけだ」

「おっしゃる通りです」


日本的感覚で言えばこいつらにも人権があるんだろう…。だが、それを守る為に他の人を危険にさらすのは違う気がする…。

それと…これで終わりじゃないと思う…。


「ロンド殿に聞きたいのだが、山賊とは4人程度で動くものか?」

「いえ、斥候でしょう。たまたまこの家族を発見して、自分達だけで行けると判断したのではないかと」

「やはりそうか。ではこいつらの本隊がいるな」

「その通りです」


こいつらの本隊は潰す。その為に情報が必要だが…その前にこの家族だ。質問してから安全確保をしなくては。

俺は父親に向かって質問をする。


「この山が危険な事は周知の事実だろう。なぜ危険を冒して家族だけで移動を?」


「実は……。我々はドルツから逃走して来たのです…」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ