望み
更新が遅く申し訳ありませんでした。
皆様も体調にはお気をつけ下さい…。
「うぉおおおおおおお!!」
「うがぁああああああ!!」
ドガァ!ドゴォ!バギィ!!
和也と…生産パーティの椎名が真正面から殴り合っていた…。2人は理性を失ってる感じで、人間と言うよりは魔物が殴り合ってるみたいな感じだ…。
近くには他の男子生徒が3人くらい転がってるんだけど…これは和也がやったっぽいな…。
女子の事を襲おうとしてる奴も何人かいるんだけど、女子は双葉を中心に集まって身を守っていた。
そしてまさに、そんな双葉に近付いて松本が剣を振り上げる。……おい。
「ぐ、ぐぎぃっ!」
俺は松本の背後に瞬間移動をすると首根っこを掴んで持ち上げた。やっぱり松本も虚な目をしていて理性を失ってる感じだ。悲鳴も魔物みたいな感じだし…。
また暴れられても困るからとりあえず気絶させておこうかな。
バジィイイイイイイ!
「ぐあぁぁぁあああああ!!」
松本は白目を剥いて気絶した。
という事で、とりあえず電撃魔法で松本を傷付けずに無力化した訳なんだけど……何故だか双葉が不安そうな視線を俺に送ってくる。
「立花、どうした?」
「あの…えっと、松本君のこと殺さないですよ……ね?」
そんなの…当たり前じゃないか…。
「当然だろう?俺が生徒を殺す訳がない」
「そう…ですか?ちょっと…そうは思えない雰囲気なので…」
何の事…おっと…魔王覇気が溢れてた…。確かに暴れる男子達にイラッとしてたかも…。
「少し冷静さを失っていた様だ。気付かせてくれて助かった」
「そうだったんですね…。でも、落ち着かれたみたいで良かったです。先生までおかしくなっちゃったのかと…」
そっか…。暴れてるのは男性ばかりだから俺も理性を失ってるんじゃないか?って不安になるよね。当然だ。
「俺なら大丈夫だ。意識はハッキリしている」
「むぅ…。やっぱりライト先生にはこういうのも通じないんですねぇ…」
「ん?何だか犯人的な発言だな」
「え…?あ!ち、違いますよ!ライト先生に勝つ方法のヒントにならないかなぁって考えてただけです!」
こんな時に?でも本気だって分かるよ。さすがは双葉だ…。戦闘狂…。
「分かった分かった。で、何があった?」
「はい…。それが…知らない女性が急に教室へ入って来たんです。それで、その女性が『欲望のままに暴れなさい』って言った途端に男子達が暴れ出して…」
知らない女性?結果だけを見ると男子限定の催眠術っぽい感じだけど…。なんか女忍者の忍法とかで、そんなのを聞いた事がある気がする…。
よし!困った時のバス頼りだ!
(バス、これって催眠術なのかな?)
『そうっすね!男子達は催眠状態になってるっす!』
(やっぱりかぁ。魔法なのかな?催眠魔法みたいな感じ?)
『無関係じゃないっすけど魔法は隠し味程度だと思うっす!』
隠し味?って、どう言う事??
(バス先生!詳しくお願いします!)
『そっすね…。まず、そもそもこの催眠術は予備催眠と本催眠に分かれてると思うっす!で、催眠の中心技術は俺っちも分からないっすけど、予備催眠状態の維持とか本催眠への移行をする時に中心技術のサポートに魔法が使われてるんだと思うっす!』
む…難しいな…。
(えっと…つまり、基本的には魔法とは別の方法で催眠術が行われてて、サポート的に魔法も使われてるけど、魔法がなくても催眠術は成立してるって事?)
『そんな感じっす!あくまで予想っすけど!』
(そっか。そうなると『解呪』じゃみんなを戻せそうにないね…)
『本催眠が発動した後の人には意味ないと思うっす!でも、予備催眠状態の人を解呪しておけば本催眠に成りづらいとは思うっす!』
(予備催眠の人って…もしかして『半トランス状態』の人の事?)
『正解っす!』
マジか…。学園内の約半分…男全員じゃないか…。片っ端から本催眠に変えられるとキリが無くなるぞ…。
って感じでバスと話してたら、1人で考え込んでると勘違いした双葉が下から顔を覗き込んできた。仮面があるから見えないけどね…。
「先生。何か考え込まれてるみたいですけど、どうされたんですか?」
「立花、悪いが暴れてる男子達はひとまず気絶させるしか無さそうだ。それと、ボーッとしてる他の男子達には解呪を掛けて回る必要がある。立花と白鳥に頼めるか?」
双葉は背後にいる白鳥さんへと視線を向けた。そして、白鳥さんは無言なまま即座に首を縦に振る。
「麗奈に解呪を掛けまくって貰うって事ですよね?大丈夫です!」
「2人とも助かる。クラスメイト達の事は任せておけ。じゃあ頼んだぞ?」
「はい!麗奈、行こう!」
「うん!」
そう言うと、双葉と白鳥さんは学園中を回るために走って行った。
「さて、ではこちらは男子達に気絶して貰うとするか…」
そう言うと、俺は普通に歩きながら1番近い男子の元へと向かった。ひたすら校舎を破壊してる千葉大輔の元へと。
「はぁ…。いつもの美しい身体強化が台無しだな」
俺は千葉の横を通り過ぎながら頸椎に手刀を叩き込んだ。タフネスが売りな千葉だがそのまま意識を手放して崩れ落ちる。
いつもの千葉ならこんな簡単には行かないはずだが…。弱いな…。
俺はそのまま歩きながら片っ端から手刀を叩き込んだ。みんな何の抵抗もせずに崩れ落ちる。
「こわ…。あーし達の攻撃じゃ何度も立ち上がってきてゾンビみたいだったのに…」
「次元が違うわね。ライト先生に対しては意識が無くなってる事がマイナスになってるわ。まぁ有ったとて…なんでしょうけど」
さて、残るは和也と椎名だけかな。っと思って目線を向けると、ちょうど椎名がその場に崩れ落ちる所だった。
「和也が勝ったのか。まぁレベルも高いし魔法無しなら…ん?」
いや、詠唱が必要なクラスメイト達は魔法を使えなかったはずだけど、無詠唱で感覚的に発動させられる和也なら魔法を使えたんじゃないだろうか?質は低かったけど千葉も身体強化してたし…。
そんな事を考えていると、最後に残った和也は周りを見渡していた。そして、一通り見渡してから俺に視線を向けると……前のめりに倒れた!?
何だか他の男子達と行動が違う気がする。もしかして意識が有ったのか?でも椎名との殴り合いを見る限り…いや!そう言えばそもそも他の男子と戦ってたのは和也だけだ!
俺は和也の元に駆け寄ると身体を抱き起こした。
「和也、お前…」
「親友の代わりに…俺が……守るんだ……」
和也の意識は…やはりハッキリしていなかった。
ん?守る?………。あぁ、そういう事か……。命令は『欲望のままに』だったもんな。
だから暴れてる男子を止めてたのか。強過ぎる時空属性は使わずに…。
ははは…。親友らしい望みだなぁ…。
「和也、催眠術師を捕まえてくるから少し待っててくれ」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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