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「リルは生きてるよ!」

「あぁ、今のお前はな。お前も俺と同じだよ。フェンリルは転生を繰り返してるんだ。死ぬと自分の分身を生み出して新たな生が始まる。流石は神獣だよな」


 いやいや、おい。いま何て言った?

 フェンリルが転生を繰り返してるとかは後で考える。5年前にリルを殺した(・・・・・・)…だって?


「うわぁ…。透君、魔王覇気が漏れまくってるよ?幼児を虐めちゃ駄目だと思うなー」

「リルの母親を…転生する前のリルを殺したってどういう意味だ?」

「言葉通りなんだけどな。俺は武尊を殺そうとした。その狼が邪魔をした。邪魔だから殺した。戦争ってそういうもんだろ?」


 なるほど、戦争での殺し合いだったんだから後から文句を言うなと。確かに俺がおかしいのかも知れない。でもな…。


「そんなこと知るか…。理由とか経緯なんてどうでも良い!」

「おいおい。自分で質問しておいて酷いなぁ。武尊も透君もケモノ一匹(・・・・・)(こだわ)り過ぎだぜ」


 僕は気付いたら本丸に殴り掛かっていた。しかし、一瞬で本丸の姿がその場から消える。

 瞬間移動?いや…見えない程の高速移動だ。


「透君、酷いなぁ。さっきまで楽しく会話してた幼児に対していきなり殴り掛かるなんて」

「別に楽しい会話はしてない」


 流石は熟練の勇者…強いな。隼人とは大違いだ。どんな隠し球を持っているか分からないし能力を確認しておいた方が良さそうだ。

 俺は魔眼で本丸を見つめてみた。


<ステータス>

■名前:ミシェル・バー^|ウンド(本$] 幸輝)

■種族:人#(

■%別:男

■年?'€5

■レベ→¥]7

■魔\:

 光:&_

 ¥][:$

 無%°「

\)>[キル

 剣術:7

 [:術:→

 :\$)^知:¥<|[-9%性「#€祝][:$/洗€」¥%称|^」$%=)→.(者


 なんだこれ…。無茶苦茶じゃないか…。

 もしかして隠蔽スキルなのか?魔眼なら看破できるはずだけど…もしかしたら隠蔽スキルが高いとこうなるのかな?


(バス教えて。隠蔽スキルが高いと魔眼でも見えない感じ?)

『隠蔽スキルがレベル10でも魔眼なら見破れるはずっす!』

(え、じゃあどういうこと?)

『ごめんなさいっす!分からないっす!』


 バスでも分からない…。つまり、それだけ本丸が特殊って事か…。


「ん?透君、もしかして俺のステータスを覗き見してる感じかい?もう!透君のエッチ!」


 本丸は両手で胸を隠しながら片足の膝を曲げた。

 所々で仕草や表現に年齢を感じるな…。とりあえず気持ち悪いおふざけに付き合うつもりはない。


「あぁ、見させて貰った。今の名前はミシェルって言うんだな。ただ、正直に言うと見えない部分もあった。凄い隠蔽スキルだ」

「隠蔽?あぁ、まぁそんな感じかな」

「それならそれで仕方がない。正面からお前を倒すだけだ」


 俺はアイテムボックスからアンサラーを取り出すと本丸に対して構えた。

 こいつはこれからも不幸を量産していくだろう。それに、転生する前のリルを殺した事は許せない!


「あぁ、待て待て。透君と俺が本気で戦ったら学園都市が消滅するよ?もちろん近くにいる全生物含めてね」

「そうか?俺は一方的に勝てる自信があるが?」


 って言うのは強がりだ。本丸が武尊おじさんと互角なんだとしたら圧倒できるとは思えない。

 くそ…。みんなの命で博打をする訳には行かないぞ…。


「透君は自信あるのかも知れないけど俺も結構強いんだぜ?だからさ、ここは代理戦争と行こうじゃないか」

「代理戦争?」

「そうそう。俺達自身じゃなくて別の誰かに戦って貰うんだよ。そうすれば被害は抑えられるし、何よりその方が面白そうだろ?」


 面白い?先代勇者は本当に碌な事を思いつかないな…。


「面白さなんて求めてないし、他人を巻き込むのも望んでいない!」

「そう?でも俺は求めてるんだよね。うーん、合意してくれないならこの場はどうにか逃げてから透君のクラスメイトを1人ずつ暗殺しようかな」

「お前…。ふざけるなよ?」

「はははは!冗談、じょーだん!でも、そういう行動も出来る中で穏便な提案をしてる事は理解して欲しいなぁ」


 こういう奴が出てくるからライトという存在を作ったっていうのに…。何でこいつには正体がバレてしまったんだ…。


「勝負の方法と、勝った場合の条件は?」

「お、前向きになってくれたね。俺が負けたら抵抗せずに捕まってあげるよ。俺が勝ったら透君はゼノン教に手出し無用かな」


 ゼノン教の悪事に対して見て見ぬ振りをしろって事か…。だけど、勝てば厄介な先代勇者を被害無しで捕まえられる…。


「勝負方法は…そうだな。透君はライトとして担当クラスを持ってるんだろ?3ヶ月後に学園のイベントでクラス対抗戦がある。そこでどっちのクラスが勝つか勝負しよう!」


 本丸は『良い事を思いついた!』という感じで笑顔で手を叩いた。

 レオ達を巻き込めっていうのか…。


「断る。生徒達を巻き込む気はない」

「別に生徒達に被害が出る訳じゃないだろ。そもそも出場するんだろうし、その為に教育もするだろ?外ウマで俺と透君が賭け事をしてるってだけさ」


 確かに、そもそも出場するのなら何も変わらない…のか?


「本人達に確認したい。そもそも出場する気が無いかもしれないしな。それと、俺達はどのクラスに勝てば良いんだ?」

「了解。俺は大神官の所に戻ってるから後で結果を教えておくれ。あと、俺の手の者がいるのはAクラスだよ。いやー、EクラスがAクラスに勝つところ見てみたいなー。じゃあね!」


 本丸は笑顔で手を振ると扉を開けて外に出ていった。

 最後のセリフ、Eクラスを馬鹿にされた感じで腹が立つな…。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「みんなに確認したい事があるんだが」

「あれ?ライト先生はしばらく休みじゃなかったのか?」

「まぁ休日に学校に来てはいけないという事もないでしょう。何ですか?」


 教室に入って質問をしたらレオとルーカスが反応してくれた。他のみんなも何事かとこちらを見ている。

 よし、全員いるな。


「みんなに確認だ。3ヶ月後に有るっていうクラス対抗戦だが、参加するか?」


 俺の質問を聞いた生徒達は顔を見合わせた。そして、何やら頷き合ってからレオが代表して俺の質問に回答した。


「もちろんだぜ!学園のイベントだから出場しないって選択肢は無いんだけど、いつもはやるだけ無駄だと思って不戦敗だったんだ。だけど、今年は違う!ライト先生の訓練の成果を他のクラスの奴に見せつけてやるんだ!」


 そうか。みんなに自信を持って貰えたのは単純に嬉しいな。


「でも、ライト先生は何でそんな質問をしたんですの?」


 んー、どうしようかな。説明するとみんなに余計な重荷を背負わせる気がする。優勝を目指して教える事は変わらないんだし、先代勇者との話は言わないでおくか…。


「別に意図はない。ただの意思確認だ」

「嘘だにゃ」

「なっ!?タマ、どうしてそう思ったんだ?」


 俺の発言をタマが即座に否定した。嘘だって判断できる要素は無かったと思うんだけど…。


()だにゃ!」


 マジか…野生の感は侮れないな…。


「タマが嘘だって言うなら嘘ですわね。ライト先生、白状なさい!」


 しかも全幅の信頼を得てる!?それだけ実績があるのか…。まぁ確かに正解だしな…。


「悪かった。みんなを巻き込みたくなかったんだ。実はな…」


 俺は先代勇者とかゼノン教の事は話さずに、俺にとっての悪人が居て、EクラスがAクラスに勝てたら無条件で捕まってくれるという話を伝えた。


「先生、水臭いぜ!先生の助けになれるんならより力が湧いてくるってもんさ!」

「そうですわね。恩を返すチャンスですわ」

「ライト先生の教育を受けた私達ならAクラスとも良い勝負ができると思いますよ」


 みんなが前向きな回答をしてくれる。嬉しい限りだな。でも、良い勝負(・・・・)…か。

 そんな中、宿屋の娘のサリーちゃんだけが神妙な面持ちで何やら考え込んでいた。


「サリー、どうしたんだよ?」

「みんな、これってみんなが思ってるより責任重大なんじゃないかな?」

「何でだにゃ?」


 バレたか…。あまりプレッシャーを与えたくなかったんだけどな…。


「ライト先生だよ?ライト先生がこんな交渉事になってるんだよ?ライト先生が問答無用で捕まえられない悪人を捕まえられるかどうかが私達に掛かってるんだよ?」


 サリーの発言を聞いて全員の表情が固まった。やはり生徒達に押し付ける事じゃないよな…。


「やはり俺の方で別の…」

「絶対に勝とう!!」


 …え?俺の発言を遮ってレオが叫んだ。


「そうですね。『良い勝負』なんて言って悪かったです。必ず勝ちましょう」

「Eクラスのチームワークを見せつけてやりますわ!」

「先生!対抗戦まで特訓だにゃ!」


 生徒達はプレッシャーを理解した上で乗り越えて覚悟を決めてくれた。情けない…。俺は生徒達の事を見誤ってたみたいだ。


「みんなありがとう。すぐに用事を終わらせて帰ってくるから、それまでは今までの復習をしていてくれ」

『はいっ!』


 俺は大神官の所へ向かって幼い信者の振りをしている本丸に勝負を受ける事を伝えた。

 楽しそうに笑っていられるのも今の内だ。俺の生徒達がお前の事を捕まえるからな!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「リル、じゃあダンジョンに戻ろうか。さっさと踏破しちゃおう」

「うんっ!」


 という事で、僕はダンジョンの中に向けてゲートを開いた。そして、ゲートに入ろうと前に進む。


 ゴンッ!


()ったぁ!え?なんか壁が有るんだけど…」


 ゲートに入ろうとした僕はゲートに頭をぶつけていた。ゲートに手を伸ばしてみると入ってすぐの所に壁ができている。


「壁じゃなくて土の中なんじゃない?」

「あ…そう言う事か…。ダンジョンが変動して、戻ってきた時の場所が土の中に埋まっちゃったのか…」


 なんて時空属性泣かせなダンジョンなんだ…。


「これはスタートからやり直すしかないね…」

「うん!リルがんばる!」


 急いで踏破しなきゃと思った矢先にスタートに戻りました。双六(すごろく)か…。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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