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再会

※今回も佐々木視点になります。


「本物の…マーロン学園長はどうしたんですか?」

「ギャハハハ!まだ生きてるぜぇ?連れてこい!」


 雰囲気からして、マーロン学園長に擬態していたのがドッペルゲンガーのボスみたいですね。


 ボスの指示でドッペルゲンガーの1体が部屋の外へ出て行くと、簀巻(すま)きにされたマーロン学園長を担いで戻ってきました。

 マーロン学園長は猿轡(さるぐつわ)をされていて喋る事が出来なくなっています。


「ゲヒャヒャヒャ!抵抗したらそいつを殺すぞー!?」


 なるほど。まだ殺していなかったのは人質にする為でしたか。しかし、結局全員殺されてしまうのなら人質の意味は無いのではないでしょうか?

 いや、そう理解していても行動が鈍るのが人間ですね…。擬態できるだけあって、なかなか人間を理解した魔物という訳ですか。


「さて、動くんじゃねぇーぞー?魔法を詠唱してもジジイを殺すからなぁ?」


 急いで決断して指示を出さないと動けないまま状況が悪化してしまう。

 私は頭をフル回転して最善策を考えようとした。のですが…突然目が霞んできて一瞬だけ意識が遠のいてしまう。


「く…毒ですか…」

「お、やっと効いてきたみたいだなぁ。そのまま寝ちまえば楽に死ねるぜぇ」


 意識が朦朧としてきた…。出血の影響も有ると思いますがナイフに麻酔系の毒が塗られていたみたいだ…。

 このままでは全滅する。せめて被害を最小限にしなければ…。


「大助!スクロールを使う!みんなを連れて撤退してくれ!」

「あぁん?何もさせねーよ!?」


 学園長に化けていたドッペルゲンガーが私に向けてナイフを振り上げた。

 ここまで…なのか?だが、刺されたとしても即死じゃなければスクロールを発動させられる…。みんなだけでも…。


 私はスクロールを発動させる為に魔力を練った……その時だった。部屋に大きな声が響き渡る。


「マロンキィーーーーック!!『説明しよう。マロンキックとはカッコ良く助けようとした結果、普通に蹴るよりも威力が弱くなったキックなのだ』」


 黒い何かがマーロン学園長の所に現れたと思ったら、マーロン学園長を持ち上げていたドッペルゲンガーの上半身が消えて無くなっていた。

 そして、黒い何かは壁を蹴って高速移動しながら数体のドッペルゲンガーを倒すと、マーロン学園長が地面に落ちる前に戻って彼の事を抱き止めていた。つまり、いまマーロン学園長はお姫様抱っこされた状態だ。


 突然現れた黒服メイドに…メイド!?ま、まぁ今は服装の事は置いておきましょう。メイドに蹴られたドッペルゲンガー達は全員一撃で倒されていた。


 これで…威力が弱いだって?確かに蹴る度に変なポーズを決めて無駄が多い様には感じましたが…。では、普通に攻撃したらどれほど強いというのでしょう…。


「大丈夫っすか?」


 メイドに質問されたマーロン学園長は静かに頷いた。それを見たメイドはニッコリと微笑んでマーロン学園長を地面に下ろす。


「アイテム回収の周回ルートだったから気付けて良かったっす。で、これ以上の手助けは必要っすか?」


 私には『この程度、自力で切り抜けられるでしょ?』と言われてる気がした。ふふふ…悔しいものですね…。


「あんがとよ!人質さえいなくなれば…こっちのもんだぜ!」


 大助がドッペルゲンガーのボスと私の間に割って入る。そして、私の事を中谷さんの方へと押し出した。


「中谷!圭介の回復頼んだ!こいつは俺がぶっ倒す!」

「はいっ!千葉くん頑張って!」

「おぅ!任せとけ!」


「くっそおおおおおお!折角の人質を!テメェらボサっとしてねーで攻撃しろ!」


 ドッペルゲンガーのボスが仲間達に指示を出す。すると、命令されたドッペルゲンガー達は大助へと襲い掛かった。


 大助が敵を引きつけてる間に、加藤さんと前橋君が隙をついて攻撃魔法を撃っているのですが…。ドッペルゲンガーは以外とランクが高くて、残念ながら2人の魔法では効果が薄かった。


 今のままでは火力不足ですね。中谷さんが水魔法で刺し傷の治療をしてくれていますが、私も攻撃に参加しなくては…。


「中谷さん。ひとまず治療はここまでで大丈夫です。それよりも痛み止めと気付け薬をお願いします」

「え?でも…」

「早く!」

「はい!えっと…コレを飲んでからコレを嗅いでね」

「ありがとうございます。んぐ…んぐ…。くっ…これは目が覚める臭いですね…。では私も攻撃に参加します。やられたままでは…終われません!」


 今の私に使える最強の魔法は氷結牢獄(コキュートス)ですが…みんなも巻き添えになるので流石に駄目ですね。

 指向性を持たせられる中で上位モンスターでも致死ダメージの魔法…。そう言えば、先日作った魔法の中に丁度良い物が有りました。


「マナよ。我が凍てつく手となりて触れしものへと死を賜らん!」


 私が仲間のいない方向へ手を向けると、手から白いモヤが出て筒状に伸びて行く。まるで白い手が伸びているみたいだ。


「なんだそりゃ?」

「そうですね。死の氷柱(ブライクニル)…とでも名付けましょうか」


 白いモヤは私のイメージ通りに折れ曲がりながらドッペルゲンガーへと向かっていく。そして、白いモヤがドッペルゲンガーに掠ると触れた箇所から凍り始めて身体全体へと広がっていった。


 白いモヤは更に数体のドッペルゲンガーに襲い掛かって凍らせながら、次なる獲物を求めて伸び続けた。すると、この魔法の危険性を今更ながらに理解したドッペルゲンガー達が一目散に逃げ始める。


「何をしてる!逃げずに戦え!」


 叫ぶドッペルゲンガーのボス。しかし仲間達は………逃げる足を止めない。ボスを置き去りにして全員いなくなってしまった。


「おっと、どうやら見捨てられたみてぇだな。敵とはいえ同情するぜ」

「くそぉ!何で運悪く黒い悪魔が現れやがるんだ!」

「あの女の事か?俺達にとってはラッキーだったぜ。むしろ黒い天使だな。で、お前はどうするんだ?」

「舐めやがって…。だったら…こういうのはどうだ?」


 そう言ったボスドッペルゲンガーの皮膚が蠢き始めた。何かに姿を変えようとしているみたいだ。

 大助に対抗できる巨体にでもなるつもりなのか?いや…随分と細身な…目付きの悪い……。


「どうですか?あなた方のリーダーの姿に対して攻撃ができますか?」


 私…ですか……。


「別にできるだろ。じゃあ行くぞ?うぉおおおおりやぁああああああ!」

「ぐぁああああああ!!」


 ボスドッペルゲンガーは大助の強烈なパンチで吹き飛び、壁に叩き付けられて動かなくなっていた。


「目の前で変身してんだから偽モンに決まってんじゃねーか」


 そうですね。その通りですね。でも、それでも多少は躊躇しても…。いや、大助が純粋過ぎるが故に敵の術中に()まらなかったのですから、これは良かったのでしょう…。


 私は念のため死の氷柱(ブライクニル)でボスドッペルゲンガーを氷付けにしてから魔法を解除しました。パーティメンバーが触れると危険ですからね。


「圭介、すげぇ魔法だったな」

「大助が魔法を使う隙を作ってくれたお陰ですよ。さて、学園長は…」


 マーロン学園長を見てみると、助けてくれた女性に拘束を解いて貰っていた。そして、マーロン学園長の猿轡を取った顔を見た女性が首を傾げて何やら考える。


「あれ?もしかして…浪漫仲間のマーロンっすか?」

「ですじゃ…。また助けられてしまいましたのぅ」


 助けてくれた女性はマーロン学園長の知り合いの様ですね。しかし、疑問が色々と湧いてきます。

 女性は私よりも年下に見えます。このダンジョンには50年振りに来たはずなのですが、別の場所で知り合った方なのでしょうか?それに、なぜメイド服を?もしかして、私の頭がおかしくなったんでしょうかね?


「それにしても、マロンさんは全然お変わり無いですのぅ。昔のまま天使の様にお美しいですじゃ」

「私は何も変わって無いっすよ!マーロンは………()けたっすね!」


 老けたって酷い事を言われてるのに、マーロン学園長は満面の笑みを浮かべていた。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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