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勇者パーティの訓練

「隼人が失礼な態度ですいません」

「まぁいつも通りだ。別に気にしていない」


 勇者パーティの1人である大原が俺に謝ってきました。原因は分かりきってると思うけど勇者隼人様です。

 勇者様は『仕方がないから教えさせてやる』という感じでふんぞり返ってるんですよね。


「おい!始めないのか?俺達は何をすれば良いんだ?」


 本当にいつも通りだなぁ…。

 うーん。まずは賢者パーティと同じ様に勇者パーティの紹介をしますね!


 1人目は、説明不要だと思うけど我らが勇者様である城之内隼人。何だかよく分からないけど、俺の事を嫌ってて殺そうとした残念勇者様。

 強力な光魔法の使い手だし聖剣も持ってるし、正直言って強いんです。舐めプしてるから足元を掬われがちだけど…。


 実は他のメンバーも強いんですよ?だって、クラスのスター選手の寄せ集めが勇者パーティなんだもん。


 前衛は隼人の親友で双葉とやり合える新井龍彦。特性は魔法戦士で魔法適正は土属性なんだけど、装備と身体に土属性の強化魔法を付与して防御力はクラスNo1なんです。


 もう1人の前衛が大原隆哉。前衛とは言っても、基本的には龍彦の後ろから攻撃する感じですね。体操部のエースで凄く身軽なんだけど、必要に応じて回避盾みたいな事もできるみたいです。

 特性が狙撃手で魔法適正が風属性だから、本当は遠距離攻撃の方が得意なんだろうな…。

 ちなみに、大原は勇者に傾倒してる訳じゃないです。クラスの為にと思って勇者パーティに参加してる感じです。もしかしたら後悔してるかも…。


 残り2人は後衛職です。

 回復を担当してるのが九嶋羽衣さん。特性が神官で魔法適正は火属性と水属性の2つです。特性のお陰なのか通常の水属性より高い回復効果を持ってるみたいです。

 そんな事より、問題は勇者様至上主義な所ですね…。元々隼人の事が好きだったんだと思うけど、その相手が勇者になって、何だか変なスイッチが入ったっぽい…。白鳥さんに『死ね!』って言いながら魔法を撃ってたのが、本気なんだか嘘なんだか…。


 最後に、魔法攻撃を担当してるのが菊川明日香さん。魔法適正は風属性と土属性の2つなんだけど、よく分からないのが特性の予言者(・・・)なんだよね…。

 菊川さんはクラスの女子達の代表みたいな感じで、女子達からとても頼りにされてます。大原と同じで勇者に対する思いは特に無いみたいです。


 結果、ライトとしては大原と菊川さんとは話しやすいんだけど、他の3人からは厳しく当たられてる状態って訳です!


 それにしても、勇者パーティはバランスが良いんですよね。物資問題が無ければ聖女パーティより先に奈落迷宮を踏破してたかもしれません。

 ………いや、今のままだと深層で止まるかな。


「始める前に、お前達に聞いておきたい事がある。お前達が目指すパーティの姿についてだ」

「は?パーティの姿って何だよ?」

「全員で協力し合うパーティを目指すのか?それとも、勇者のワンマンチームを目指すのか?と聞いている」


 俺の言葉を聞いた途端に隼人以外の4人は少し苦い顔になりましたね。心当たりがあるみたいです。

 でも、隼人だけは意味が分からずにキョトンとしてるけど…。


「そういう話なら今まで通り協力し合うパーティで良いだろ。どういう意味の質問なんだ?」

「分かってないみたいだな。『今まで通り』ならば、勇者のワンマンパーティだ。勇者に聞くが、他のメンバーがいないと困るか?」

「当然だろ?」


 いや、考えてないよね…。


「今までに戦ってきた魔物を想像してみろ。他の仲間がいないと勝てない相手だったか?」

「………いや、勝てるとは思う」

「回復は必要か?」

「俺だけであれば光魔法の自己回復がある…」

「魔法での補助はいるか?」

「強化系魔法が1番強いのは俺だ…。だ、だけど攻撃魔法で敵の気を逸らしてくれるのは助かってる!」


 どうやら隼人としては仲間達に気を遣って『必要な存在』って事にしようと頑張ってるみたいです。まぁ、乗っかってあげないんですけどね…。


「つまり『必要ではないけど、あれば楽』程度だって事だな?」

「うっ…」


 隼人も困ってるけど、その他の4人の方が悲しい顔で俯いてます。まぁここまでの話だと役立たず扱いされてる感じだもんね。


「勘違いさせたか?俺は4人が役に立ってないと言いたい訳じゃないんだ。4人とも素晴らしい才能の持ち主だと思っている」

「そ、そうだよな!?」


 何だよその『駄目な仲間の事を優秀な俺が庇わなきゃ!』みたいな感じは…。俺は別に勇者の事を褒めてる訳でもないからね!


「今まで勇者は自由に戦っていただけだろう?他の4人がコンビネーションで削った所を、そんな事は必要の無かったオーバーキルの一撃でトドメを刺す。それが俺の認識なんだが、認識相違は有るか?」

「………いえ、ありません」


 フリーズしてる勇者様に変わって大原が回答してくれました。

 勇者様は急に矛先が向いたので、何を言われたのか理解するのにいっぱいいっぱいみたいです。


「各々の能力が高いからな。それでも今までは上手く行ってたみたいだが…。で、今まで通り意味のない事をする4人と、1人で戦ってるのと変わらない勇者って形で行くのか?」

「は…はは…。厳しい言い方ですね…。やっぱり先生的には変わった方が良いと思いますか?」

「そうだな。今までに戦ったのは所詮Bランクまでだろう?つまり、勇者が1人でも倒せる敵を5人でボコってただけだ。そんなやり方が通用するのはAランク下位までだろうな。勇者だけでは勝てない相手に5人で勝つ方法を考えた方が良いと思うが」


 じゃないと命に関わるからね…。


「いまSランクの魔物に出会ったらどうなると思いますか?」

「そうだな。勇者は化け物じみた体力と再生能力で生き残るかもしれないが、他の4人は死ぬ事になるだろうな」

「そ、それは駄目だ!」


 お、勇者が復活しましたね。


「少しは真面目に訓練をやる気になったか?お前は平気かも知れないが、その姿勢が仲間を殺すことになるぞ?」

「だから!それは駄目だと言ってるだろう!?」

「じゃあ、どうする?」

「仲間と協力して戦う方法を、お…おし…教えてください!」


 うぉおおおおおお!隼人が俺に敬語を!?

 自分のプライドよりかは仲間の方が大事みたいで良かった。そういう事なら…。


「分かった。まぁ、とは言っても特別な事をする訳じゃないんだけどな。勇者だけでは勝てない相手で経験を積むだけだ。だが、その前に……これを受け取れ」

「何だ?その袋は?」


 基本の口調は変わらないのね?まぁ、そこは仕方ないか。


「それはマジックバックだ。はっきり言ってお前達は強い。バランスも良い。迷宮を深く潜って経験を積めば更に強くなるだろう。しかし、その為には物資が必要だ。その為のマジックバックを貸してやる」

「マジで!?良いのか?」

「あぁ、一般的に出回っているものより容量は大きいし時間停止機能も付いてる」


 ありゃ?隼人が伸ばしている手を止めて生唾を飲み込んだんだけど、どうしたんだろう?


「い、いくらだ?高いって聞いたぞ…」


 あぁ、この勇者様はお金無くて暗殺しちゃう人でした。


「貸すと言ったんだが。買い取ってくれるのか?」

「後から莫大なレンタル料を請求するとか…」


 そんな詐欺みたいな事しないよ!

 そう言えば、バレッタに貸した時もレンタル料を気にしてましたね。そこは明確にしておくべきか…。


「まぁ、本来は無償という訳には行かないが、今回は特別だ。無償で貸し出してやる」

「な…何が目的だ?」

「お前達を成長させて、報酬として禁書庫へ行く事が目的だが?」

「そうなのか…。確か小型の時間停止マジックバックで金貨1000枚…日本だと10億円…その大型……」


 勇者様のマジックバックを見る目が怪しいなぁ…。隼人に渡すと売られちゃいそうだし…別の人に渡した方が良いか。


「大原、お前に渡しておく」

「おい!何で俺じゃなくて大原に渡すんだ!?」

「お前が荷物持ちをやるのか?それは勇者らしくないんじゃないか?」

「なるほど…。確かに!」


 よし!勇者様ロジックにハマってくれた!

 という事で、マジックバックは大原に渡しました。生活必需品や食料なんかは詰め込んであるので、このままダンジョンへ行けますよ!


「では、早速だが行ってみようか。このゲートを潜ってくれ」

「あぁ、了解だ。『俺だけでは勝てない相手』なんて本当にいるのか?とても楽しみだな」


 また天狗になってますねー。今の隼人より強い存在は結構いるんだよ?まぁ、すぐに実感すると思うけど。

 勇者達は物怖じせずにゲートへ入って行きました。


「ここは何処だ?」

「お前達には馴染みのある場所なんだがな。分からないか?」

「いや。こんな所は来たことが無い」

「そうか。まぁこの階層は未経験らしいからな」

「階層?まさか…」


 ここはとても広い空間です。天井は200メートルくらい先に微かに見えるけど、奥行きに関しては全く見えません。


「ここはな、お前達が辿り着けなかった………奈落迷宮の99階だ」

「マジかよ…」

「とりあえず経験してみようか。Sランクモンスターの実力を」


 ギヤァオオオオオオオオオオン!!


 お!イビルドラゴンもやる気満々ですね!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「何だったんだあれは…。毒みたいな煙を撒き散らすし、堅いし、早いし、強いし……光属性魔法を捻じ曲げやがったぞ?」


 結論から言うとボロ負けでした。まぁ当然なんだけどね。

 前衛に抑えられる強さじゃ無いし、攻撃は効かないし、光魔法も通用しないし。終始やられ放題でしたよ。

 という事で、良い塩梅の所で転移魔法を使って逃げてきました。


「あれはイビルドラゴンだ。あいつを倒すのがひとまずのゴールになる」

「ゴール?ひたすらアイツと戦うんじゃないのか?」

「そんな事をしても何も得るものはない。次は90階に連れて行くから、そこから成長しながら進むんだ。そして自力で99階へ行き、改めてイビルドラゴンに挑め」


 5人とも『マジかぁ〜…』って顔をしてます。もちろんマジだよ!


「分かりました。では明日から」

「今からだ」

「そんな事を言っても、ダンジョンに潜る為には色々な準備が必要だろう?」

「アイテムボックスに1ヶ月分以上の資材を入れてある。という事で頑張ってこい」

「ちょ、ちょっとま」


 勇者パーティは俺の転移魔法によって消えてしまいました。


「さて、勇者パーティは何日でイビルドラゴンを倒せるかな」

すいません。仕事が忙しくなってしまい、次のアップロードも1週間後くらいになりそうです…。

たぶん1ヶ月弱そうなりそうです。

申し訳ありませんがよろしくお願いします。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!


あと、下にある『小説家になろう 勝手にランキング』をクリックして貰えると助かります!

ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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