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尋問

インフルって更新遅くなってしまいました。すいません。

書き溜めないと駄目ですね…。

「バレッタさん。どうされたんですか?」

「クミさん、すいません。クミさんではなくてイトさんに話がありまして」

「イト…さん?」


 ここは冒険者ギルド・レイオス支部の応接室A。セリアが聖女アンジェに着いて行った後、バレッタがクミを呼び出していた。


「イトさん。見てらっしゃいますよね?出て来てください」

「え?バレッタさん、どうしたんですか?」


 クミはイトの事を説明されていなかったので、バレッタが何を言っているのか全く理解できてなかった。


「いるけどさ…。もう少し保護対象に分からないように呼んで欲しかったなぁ」

「急ぎです。諦めてくださいませ」

「え?え?え?」


 イトはライトとは別のお面を着けて登場した。ライトの影武者をする時は愚者の仮面を借りているのだが、日頃顔を隠す時の為にレフとセットで仮面を作成したのだ。

 仮面は右側だけが笑顔で左側がのっぺらぼうなデザインをしている。ちなみにレフのは逆で左側しか顔がない。


「クミさん、この人はイトさんです。ライト様の側近の様な方で陰ながら貴女の護衛をしていたのですわ」

「そ、そそそ、それって…ずっと見てたって事ですか!?」


 ミクは両手で身体の前を隠す様にしながらイトを睨んだ。覗きを疑ってる様だ…。


「違う違う!お風呂とかは見てないから!信じて!!」


 イトと初めて会うミクとしてはすぐに信じきる事はできない。半信半疑なままイトを睨み続けていた。


「基本的に離れて周囲の警戒とかしててプライベートは守ってるから!」

「クミさん。たぶん本当だと思いますわ」

「バレッタさんがそう言うなら…」


 バレッタが援護してくれたお陰で信じる気になったみたいだ。もしかしたら、イトにライトっぽさを感じた可能性もあるが。


「良かった…。で、どうしたんです?」

「単刀直入に言います。セリアさんが攫われたかも知れません。ライト様にご連絡を」

「え?マジで!?了解、ちょっと待って」


 イトはライトへの念話を試みる。しかし、ライトからの返事は無かった。


「駄目だ。反応が無い。ちょっと直接行ってくるよ」

「分かりました。よろしくお願いしますわ」


 イトはバレッタとミクに手を振ると、一瞬で姿を消した。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「セリアさん。教会に頼らずに孤児院の運営をされてるなんて本当に尊敬します。資金面は大変なのでは?やはりロンド商会が?」

「えっと、はい。そうですね」

(ライト様の事は秘密にしなきゃ)


 セリアは、レイオスにある教会の一室へと連れて来られていた。正面にはアンジェとロウが座っているのだが、その他に数人の信徒達に囲まれていて少し落ち着かない様子だ。


「ロンド商会は最近とてもキレイな取引をされる様になったと聞いております。そうなると収入は減少されているのでは?そんな中で孤児院への支出が増えて、ロンド商会も大変なんじゃないでしょうか?」

「えっと…商会の事は父に聞かないと詳細は分かりませんが、とても苦労を掛けているとは自覚しています」


 孤児院の資金は基本的にライトの懐から出ているが、何かしらのイベントの時の人手や仕入れなど、ロンド商会に協力してもらっている事も事実として存在していた。


「ギルドでも話させて頂いた通り、ゼノン教も支援させて頂きますわよ?」

「わぁ!それはとても助かります!」


 アンジェの提案にセリアは素直に喜んだ。ライトからの出資で資金は十分に有るが、お金は多ければ多いに越した事はないと考えていた。


「そうですね。寄付金は1人につき金貨1枚で如何ですか?あ、先に全員ゼノン教への入信をお願いしますね」

「えっと…」


 アンジェの言葉を聞いたセリアは表情を曇らせた。金額が思ったより少なかった…という訳ではない。ライトが支援している金額からすれば少ないのは事実だが、それよりも重要な事があった。


「あの…ゼノン教に入れないと駄目でしょうか?」

「………え?まさかゼノン教に入れさせたくないのですか??」

「いえ…その……」


 断られるなんて頭の片隅にも無かった様子でアンジェは驚いた。その目が少し鋭くなった気がする。


「ちなみにセリアさんは?」

「あ、我が家は代々ゼノン教の信徒です」

「そうですか…安心しました。でも、では何故子供達の入信を嫌がるのですか?」

「本人が望んでいるのなら良いのですが、強制的に入れるのはどうなのかなって…。何に関しても本人達の希望を優先してあげたいんです!」

「どうなのか…優先…」


 アンジェは項垂れて床を見た。その為、アンジェの表情はセリアには見えない。

 そして、アンジェの『私より子供の希望を優先?ふふふ…意味不明ですぅ…』という呟きも聞こえていなかった。


「そう…ですか。分かりました。では、子供達の意見を聞いてからにしましょう」

「せっかくのお話しをすみません。あの、大丈夫ですか?どこか体調でも…」


 セリアは項垂れて喋るアンジェを心配した。そして、アンジェは顔を上げて返答する。


「そうですね。少し体調を崩してしまった様です。申し訳ないのですが退席させて頂いても宜しいかしら?ロウ、後のことは宜しくね」

「承知致しました」


 アンジェは、ロウとセリアで話を続けてほしいみたいだ。しかし、嫌な予感がする。アンジェが退席するのならセリアとしてもここで帰宅しようと考えた。


「あ、では、私もこれで…」

「セリアさん、是非ロウとも話していってください。彼も聞きたい事が沢山あるんですよ」


 周りを囲んでいた信徒達が立ち上がったセリアに近付くと、セリアの肩を掴んで強制的に座らせた。

 拒否すると何をされるか分からない怖さがある。


「え?あの…。分かりました…」

「それでは申し訳ありませんが私はこれで」


 アンジェは部屋から出て行った。すると、ロウが前のめりな姿勢でセリアへと質問を始める。


「セリアさん。呪いにかかってたらしいですね?」

「あ、はい。そうみたいです」

「みたい?」

「病気だと思ってたのですが、呪いだと見抜いた冒険者の方が治してくれたんです」

「その冒険者は…キャリー・ライトですよね?」


 一瞬の静寂が場を包む。アンジェ達の目的が何なのか、セリアとしても何となく分かってきた。


「お知り合いなんですか?」

「学術都市で少しね。呪いを浄化したという事は、ライトは聖属性も使えるのかな?」

「いえ、解呪のスクロールを使ってくれたらしいです」

「へー。そんな高級な物を惜しげもなく?君はライトにとって特別な存在なのかな?」

「違います!残念ですけど……。ライト様はお金よりも人を大事にされる方なんです。それだけなんです…。分かってます……」


 ロウは顎を撫でながらセリアを見つめている。セリアの発言の真偽について考えているみたいだ。


「嘘っぽくはないですね。では、ライトの素顔を見た事は?」

「ありません!それにさっきから気になっていたのですが、ライト様の事を呼び捨てにするなんてどういう事ですか!」

「おっと、これは失礼。しかし、Sランク冒険者ではあるものの一般市民ですからね。『様』は過剰なのでは?」

「そんな事はありません!ライト様はライト様です!」


 ロウは『困ったなぁ』という感じで頭をポリポリと掻いた。


「誤解を与えたかも知れませんね。実はアクル王国が召喚した異世界人が行方不明になっていて、保護する為に探してるんです。世にライトさんの名が急に広がった時期とも近いので、もしかしたらライトさんではないかと思いましてね」

「違うと思いますよ。ライト様は別の大陸から来たという事でした。だから急な活躍なのです」

「そうですか…。ありがとうございます」

「あの…。もう帰っても良いですか?」


 ここにいても良い事は無さそうだと考えたセリアは、当たり前だが直ぐにでも帰りたい気持ちになっていた。

 しかし、立ち上がった所を信徒達に横から押さえられてしまう。


「いえいえ、ダメですよ。これから確認作業をするんですから」


 ロウは部屋の扉を開ける。そして、信徒達はセリアを後ろ手に縛ると口に猿轡を噛ませた。


「今の話が本当なのか、もっと知ってる事がないか、痛みを伴った質問(・・・・・・・・)でも同じ回答となるのかを確認しないといけません。という事で別の部屋(拷問室)に行きましょうか」


(助けて!ライト様!)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「リルー。本体は何処にいるの?ここら辺だと思うんだけど」

「ワフゥ!トールならここにいるよ?」


 イトが魔法道具研究所へ行くと、巨大バージョンのモフリルが庭で日向ぼっこをしていた。太陽パワーでいつも以上にモフモフだ!


 透の居場所をリルに聞くと、リルは自分のお腹を指差した。


「ずるいなぁ。モフモフに包まれて寝てたのかよ」

「ロボット作るのに夢中で力尽きちゃったみたい!起こすの?起きるかな?」

「急ぎだからどうにかして起こさないと。もし駄目なら僕だけでもセリアを探しに行かなきゃ…」


 しかし、イトの心配は杞憂だった様だ。透は悪夢でも見た時の様に焦った様子で目を覚ました。そして即座に飛び起きる。


「あ、本体。急ぎの話「悪いけど後にして!」

「いや、本当に急ぎなんだよ!」

「僕も急ぎなんだ!後で聞くから!じゃあ!」


 そう言うと、僕は急いで転移を行った。大丈夫、目印があるから1発で行けるはず…。



「本体どうしたんだろ?仕方がないからバレッタに伝えて僕だけ探しに行くか…」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「ではセリアさん。質問に対して先程と同じ回答だった場合は、その可愛い指を落としていきます。もし先程とは異なる回答を話した場合は何もせずに次の質問へ行きます。理解しましたか?」

「そんなの…嘘ついたらそれまでじゃないですか…」


 セリアは首、胴、足等を椅子に固定された状態で、手をテーブルの上に貼り付けにされていた。

 手の上には、上から金槌で叩くと刃が指に落ちる様な…そんな器具が取り付けられている。


「はい。どうぞ嘘をついてください。可能性が広がれば良いのです」

「何ですかそれ…。こんな事が許されると思ってるんですか!?」

「許される?何を言ってるんですか。許すとは罪に対する行為です。(アンジェ)の意に沿った正しい行いなのですから、そもそも罪ではありません」


 セリアは、青ざめた表情で呟いた。


「狂ってます…」

「私からすれば(アンジェ)の意に叛く貴女の方が狂ってる。では、質問です。孤児院の資金は本当にロンド商会が?」

「………。」

「どうしました?無回答は回答が変わらなかったと捉えますよ?」

「………です」

「え?」

「ロンド商会です!回答は変わりません!」


 セリアは覚悟を決めた目をしていた。


「クククク…。やはり貴女は狂ってますよ。では約束通り…1本目!」


 金槌を振りかぶったロウは、セリアの小指目掛けて思い切り振り下ろした。





 ロウは…空振り(・・・)をしていた。

 金槌が目標からズレて落ちた…訳ではない。

 ロウの右腕は肘から先が金槌ごと無くなっていて、空中で肩を回しただけになったのだ。


「なっ…何が……」


 ロウは冷や汗が止まらない。


「お前、セリアに何してくれてんだよ??」


 ロウの後ろには、魔王覇気が溢れ出す仮面の男が立っていた。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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