お化け屋敷
「親友…。女性陣の視線が痛いんだけど…」
「あれ?隼人に負けたから?和也はかなり頑張ってたと思うけど」
聖女パーティと勇者パーティが戦った日、放課後になると和也が僕のクラスへとやって来た。一緒に採掘場を見に行く約束をしてるんです。
それにしても、和也が時空属性抜きで聖剣付きの勇者に負けるのは仕方がないと思うんだけど…。
「ご褒美にスカートを捲る姿を見せてほしいって言ったら怒られた」
自業自得でした。
「それは普通にアウトでしょ。下着を見せてくれなんて…」
「いや、下着が見たいんじゃなくてさ。見たいけど…。スカートの中は短パンでお願いしたんだ。仕草が好きなんだよ!エロじゃないんだよ!キュンと来るんだよ!」
そうか…和也の熱い想いは分かったよ。でも…。
「和也…。人はそれを性癖と呼ぶんじゃないかな?」
「何だって!この純粋な気持ちを…」
「純粋にエロいだけでしょ」
「えー。基準が難しいなぁ…。じゃあさ、コスプレしてほしいとかだったら大丈夫だったのかな?」
コスプレかぁ。漫画雑誌の表紙とかでもよく見るし、普通にイベントとかもあるらしいから大丈夫なのかな?でもエロい服とかもあるよね。
「衣装によるんじゃない?例えば?」
「んー。バニーガールとか」
「駄目でしょ」
やっぱりエロい衣装でした…。
「巫女さんだったらどうかな?」
「あー。僕はエロい感じはしないね。着てみたいって女性は結構いるらしいよ?」
「お!じゃあさ、ミニスカートな巫女服だったら?」
「一気にエロい印象になるね…。人によるだろうけど、仁科さんは嫌なんじゃない?」
「マジかー!」
まぁ自ら着てる女性もいるんだろうけど。男性からお願いされたらまた別の話だよね…。
「女戦士のビキニアーマー!」
「アウトー!」
「スケスケ…」
「アウトー!」
…………。
………。
……。
「日が落ちてきてるじゃん!」
なんと、和也と話してたら時間が経つのを忘れてました…。採掘場に行く予定でしたが、外を見ると既に暗くなってきてます。
「和也、どうしようか?」
「親友の光魔法もあるから大丈夫じゃない?採掘ゴーレム見てみたいし」
「この世界の夜は地球に比べると格段に危険なんだけど…。まぁ、和也なら大丈夫かな。和也は初めてだから僕がゲート開くね」
「うん。よろしく!」
そして、僕と和也はゲートを潜って採掘場へと移動しました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガッチャガッチャガッチャガッチャ…。
バキッ!ボキッ!ガガガガッ!バリンッ!
「親友…。これは何が起きてるのかな?」
「いや…さっぱりだよ…」
採掘ゴーレムは対象を砕いています。しかし、それは岩石や鉱石ではありません。たぶん人間の骨…。
採掘場は大量のスケルトンに襲われていました。そして、採掘ゴーレムが撃退しています。ゴーレムつえぇ…。
「親友。採掘ゴーレムって戦闘もできるの?身のこなしが鋭いし、戦闘が本職みたいに見えるんだけど」
「だよね…。ちょっと聞いてみるよ」
僕は近くにいた採掘ゴーレムを捕まえて質問してみました。戦闘力の疑問の前に何が起きてるのか聞かないと。
「いったいどうしたの?あのスケルトンはいったい?」
「マスターにお答えします。太陽光の低下と共に瘴気濃度上昇。落日と同時に襲来。敵の目的等は不明です」
つまり、よく分からないけど日暮れと共に襲われたって事ね。うーん…。
「じゃあ別の質問。君達って採掘ゴーレムだよね?」
「マスターにお答えします。当機はZ7A型です。ザザモデル万能型量産ゴーレムの採掘装備エディションとなります」
「えっと…装備は採掘だけど中身は戦闘用?」
「万能型です」
そうなのか…。なんでレインは採掘ゴーレムじゃなくて万能型ゴーレムを作ってくれたんだろう?
『ご主人様!希少金属のある魔力密度が高い場所は危険もいっぱいっす!だから先代魔王様も戦闘能力があるゴーレムで採掘してたっす!』
(あ、なるほどね。バスありがとう!)
つまり戦闘もできると。ザザって四天王の事だよね?その量産型だとどれくらいの強さなんだろう。
「ザザ本体と比べるとどれくらいの強さなの?」
「当機の最大出力はノーマルモードザザの1パーセントとなっております」
これは…。ザザより凄く弱いと考えるべきなのか、ザザがこの100倍も強いと考えるべきなのか…。たぶん後者かな。
「親友。ザザって何?」
「あ、実はね…」
そう言えばザザの事を話してなかった和也が質問してきました。
僕は先代魔王がゴーレムを作っていた事、最強のゴーレムがザザで魔王軍四天王だった事、ゴーレム工場が遺跡の奥にあってレインが守ってる事等を伝えた。
「メイドゴーレムッ!!」
和也はやっぱりそっちが気になるよね。
「今度紹介するよ。それより、今はスケルトンをどうにかしないと」
「そうだな。ゴーレムの方が強いけどスケルトンの増援が止まらないな…」
このスケルトン達は野良スケルトンじゃないよね?これだけ集団行動してるし…。
魔力探知をしてみたら何か分かるかも。僕はスケルトンをじっくりと観察してみた。
「和也。どうやらスケルトンを操ってる奴がもっと登った所にいるみたい。そっちから魔力の流れを感じる」
「すげぇ!そんなの分かるんだな」
「まぁね。魔法関係のレベルは全部10だからね」
それから、採掘場はゴーレムに任せて僕と和也は山を登った。魔力を辿って進んで行くと開けた場所へ出る。
目の前に広大な土地に立つ大きな洋館が現れた。その洋館の周りには様々な魔物が蠢いている。
「し…親友。ゾンビとか…幽霊とか…首無しの騎士とか…。ホラーな感じで超怖いんだけど…」
「あ、ゾンビじゃなくてワイトだよ」
「そういう問題じゃないって!親友は何で平気なんだ…。ゲームではよく見るけど、リアルに見るとこんなに怖いんだな…」
うーん。ホラーって言うよりモンスターって感じがしちゃうんですよね。そんな外から洋館を眺めていた僕達に、屋敷から大きな声が響きました。
「や〜ま〜を〜〜!で〜て〜ゆ〜け〜〜!」
お、言葉が通じそうだ!
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!
あと、下にある『小説家になろう 勝手にランキング』をクリックして貰えると助かります!
ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!
 




