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生産同盟

「そんな色仕掛けはやめた方が良いぞ?暴走した男に襲われたりするからな。まぁ魔石は何個か寄付しておこう」

「えー。私魅力無いですかぁ?何なら襲ってくれて良いんですよ?正室なんて野暮な事は言いませんから側室にして欲しいなぁ。将来有望なSランク冒険者で魔石を万単位で持ってるなんて…上位貴族よりも優良物件…ぐへへへ…」


 欲望がダダっと漏れてますね…。

 どうやら俺は、玉の輿だと認定されたみたいです。この世界は許嫁や政略結婚が当たり前だし、若い頃から精力的に相手探しをするのは普通なのかもしれません…。が!俺にそんな気はありませんよ!


「今はやるべき事があって婚姻の事は考えていない。他を当たった方が良いぞ?」

「ふふふ…。良いんですよ?そんな簡単に決まるものじゃありませんから。私の名前はミーナです。私が立候補してるって事だけ覚えてて下さいね」

「部長ずるい!私も立候補します!」

「はーい!私も私も!」


 部室の女子達が次々と手を上げます。顔は笑顔で冗談を話してる雰囲気なのに目が本気です…。異世界怖いな…。魔物よりよっぽどこっちの方が怖いです…。


「うはー。ライト様はモテモテで羨ましい事ですねー」


 和也…。当事者になるとそんなに良い物じゃないんだよ。そうだ!

 俺は和也の肩に手を置いて女性陣に向かって語り掛けました。


「あー。彼は奈落迷宮を踏破した聖女パーティのメンバーだ。なかなか将来有望だと思うが?」


 女性達の視線が一斉に和也へと向きます。和也の身体がビクッとなるのを感じました。

 ほら、怖いでしょ?


「あのー。冒険者ランクはおいくつですか?」

「えっと…Dランクです…」

「ハッ…」


 うわぁ…。女性陣の視線が一気に冷たく…。それにしても、何でそんなにランクが低いんだろう?奈落迷宮を突破してるならもっと上がりそうな気がするけど。


「実力に比べてランクが低いな。何か有ったのか?」

「いや、有ったんじゃなくて、無かったからなんだ。護衛クエストやってないんだよ」


 あー。そんなルールありましたね。そっか、奈落迷宮しか行ってないからCランクの条件をクリアできてないのか…。


「ライト様がその気になるのをお待ちしますわ♪」

「好きにしてくれ…」


 まぁ警告はしたので…その上でどうしたいのかは彼女達次第ですよね…。


「でだ、今日は部活の見学に来たんだが色々と見せて貰っても良いか?」

「はいっ♪もちろんですぅ」


 それから魔法道具研究会で作成したアイテムを見せてもらいました。正直なところ性能はイマイチです…。

 例えば、水が1リットルくらい湧く使い捨て水筒とか、10回くらいで切れるライターとか…。普通に水筒や火打石を持ち歩くのよりちょびっと便利ってレベルですね。

 魔石の質が悪いのもありますが、魔力パスが細すぎてそのわずかな魔力さえ有効活用できてないって感じかな。


「学園のレベルってそんなものナリか?」


 まだ居たのか近藤君!まぁ着いてきてるの気付いてたけどね…。とりあえず喧嘩を売るのはやめて欲しいなぁ。


「何ですって!?じゃあ、貴方達が作った物を見せてみなさいよ!」

「全然良いナリよ。田中氏、見せてやるナリ!」

「承知。まずは武器でゴザル」


 田中君が腰に佩いていた剣を鞘から出して机の上に置きました。凄く薄いな。


「何ですか?そのペラペラな剣は。そんなんじゃすぐ折れちゃうじゃないですか」

「魔法道具な事を忘れちゃ駄目ナリよ」

「斬れ味とは薄さと摩擦でゴザル。ただ、薄くするほど曲がったり欠けたりしてしまうのが問題でゴザルが、この世界には魔法という解決策があるでゴザルよ」

「ふーん。じゃあ魔力を流してみるわよ?」


 そう言ってミーナが剣に魔力を流し込みました。剣の見た目は何も変わりません。でも、魔力感知がレベル10な俺には、魔力が剣を覆っている事が分かりました。


「クククク…。剣そのものを身体強化したナリよ」

「わぁ…。木材が紙みたいに斬れる…」

「部長殿。斬れ過ぎるので気を付けるでゴザル」


 ミーナは近くにあった木材を楽しそうにスパスパ斬ってました。確かに凄い斬れ味です。

 えっと、何だっけ…テレビショッピングで見た…。そうそう!バリアコーティングした薄い包丁みたいな感じですね。

 なるほど。魔力で物の強度を強化できるのか…これなら紙とかトランプでも武器に出来そうです。でもこれは…。


「コンドウ、タナカ。これは失敗作だな?」

「バレたナリか…。実は強化が不足してるナリ」

「対象が切れない強度だと『叩く』感じになって根本から折れるでゴザル…。その剣だと金属鎧は斬れないでゴザルよ」

「つまり、弱い物には強く、強い物には弱いのか。オーバーキルか壊れるか…実戦では使えんな。まぁ、護身用や料理に使う分には便利なんじゃないか?」


 魔石が切れたら薄い鉄板になるしね。そうして近藤君達と問題点の話をしていたら、部長さんが『この性能でダメなの??』って顔をしていました。


「悔しいですけど…この剣は何でも斬れる気がします」

「そうか。何なら俺の事を斬ってみても良いぞ?」

「えっ?そんな訳には…」

「全然平気だ。身体強化して思いっきりやってみろ」


 身体はさすがに斬り辛いか…。俺は斬り易い様に腕を差し出しました。この世界には欠損さえ治す回復もあるから気持ち的に楽かな?と思ったのですが、欠損の回復は神話扱いでしたからあまり関係ないですね…。

 部長は身体強化を詠唱すると不安そうな顔をしながら剣を構えました。


「いっ…行きます!」


 バギィイイイイィ!


「え…嘘…」


 ミーナはぐにゃぐにゃに曲がった剣を見つめながら呟きました。


「ぐちゃぐちゃになっちゃった…。ライトさんは革鎧だから鉄鎧だともっと酷くなるの?」

「そんな訳無いナリ。アレが普通の革鎧に見えるナリか?ライト氏が異常なだけナリよ」


 近藤君はルティーヤーの異常性に気付いてたみたいです。雰囲気からして違うよね!でも…。


「異常か…。酷い言われ様だな」

「異常じゃなければ奇怪ナリよ。こうも簡単に壊されるとは悔しいナリ。田中氏、とっておきを出すナリ!」

「承知でゴザル」


 おっ!こっちが本命みたいですね。田中君は持っていた袋の中から直径50センチくらいの物を取り出しました。


「ふふふ。これが何か分かるでゴザルか?」

「初めて見るわね…。この四隅に付いてる物は回るのかしら?んー。風で涼む道具とか?でも真ん中にゴーレムが乗ってるのが分からないわ」


 ミーナ惜しいな。

 そう言えば、近藤君達がドローンを作ろうとして苦労してるって聞いてましたね。完成してたのか。


「これはこう使うナリよ!」


 近藤君が手元にある水晶球に魔力を込めるとドローンが起動して空に浮きました。そして、真ん中に乗ったゴーレムが見てる風景が水晶球に写ってるみたいです。


「と…飛んだ!?羽が生えてる訳でも無いのに空を飛ぶなんて…。私、感動してます!」

「そうでゴザろう。そうでゴザろう。これを作るのは大変だったでゴザルよ。土属性で精密にパーツを作成して、風属性を柔軟にコントロールする命令を書いて、映像を水晶に写す為の光魔法を城之内殿にお願いするのも大変だったでゴザル…」


 ほうほう!これはなかなか凄いと思います!パーツ毎にマジックアイテムになってて、それを組み合わせてるのか。

 魔力や魔法制御のレベルが違うから俺の方が作成技術は上だと思うけど、発想とか設計能力は2人の方が高いと感じました。これは色々と手伝って欲しいかも…。


「私にもやらせて下さい!」

「だ…ダメなり!」


 新しいオモチャを取り合う子供の様にミーナが近藤君に近付くと、ドローンが急にバランスを崩して落下してしまいました。動揺した近藤君が操作をミスったみたいです。


「このドローンは4基のプロペラと魔石がそれぞれ独立していて、操作が難しいナリよ…」

「ごめんなさい…」

「コンドウ。何故独立させたんだ?」

「妥協策なだけナリ。魔石が小さいので4つのプロペラを動かすには分けるしかなかったナリよ」

「なるほど、それでBランクの魔石を欲していたのか」

「そういう事ナリ」


 強い魔石が4つのプロペラをコントロールする形にドローンを改良したかったみたいですね。魔石なら沢山ある。どうにか近藤君達と同盟を組めないかな。


「コンドウ。俺が見る限りBランクでもギリギリじゃないか?10分も持たないだろう」

「分かってるナリ。でもAランクの魔石は流石に高いナリよ」

「ふむ。ここにAランクの魔石がある。条件によっては君達にプレゼントしても良いが 」


 とりあえず思いっきり物で釣ってみました!俺はAランクの魔石を次々と机に並べていきます。


「ぐぬぬ。まるで札束で殴られてる気分ナリ。しかし、意外と悪くないやも…」

「それと改良についても協力しよう。重力魔法という物があるのは知っているか?本体を軽くすれば速度、旋回能力、持久力等、更なる性能アップが見込めるだろう。俺が付与依頼の仲介をするぞ?」

「そ…そんな魔法が…。条件は何ナリか?さすがに悪事の片棒は担げないナリよ?」


 おぉ!悪事でも協力しちゃう勇者様とは違いますね!信用できそうです!

 ちなみに、付与の依頼先なんてありませんよ。依頼を仲介してる振りをして自分でやるって訳です。土属性は持ってない事になってますからね。


「色々と作りたい物がある。しかし、様々な問題とぶつかって困っていてな…。作成に協力して欲しい。個人的な物ばかりで悪事に使う訳じゃない。ただ、秘密は厳守してもらう必要がある」

「なるほど。少し田中氏と相談させて欲しいナリ」

「もちろん良いとも。しっかり話し合ってくれ」


 それから近藤君と田中君は部屋の隅に行って何やら話しています。ても、話す事はそんなに無かったみたいで、すぐに戻ってきました。


「悪事に使わないというのが嘘だった場合はその場で抜けさせてもらうナリ。それで良いなら協力させて頂くナリよ」

「あぁ、問題ない。では、こらから宜しく頼む」


 俺は近藤君と田中君に手を差し出すと熱く握手を交わしました。色々と困ってたから、知恵と発想を借りれるのは本当に助かるんです!


 まずは…コクヨクが引く馬車について一緒に作成したいと思います!

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!


あと、下にある『小説家になろう 勝手にランキング』をクリックして貰えると助かります!

ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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