Eクラス
前話「共通の秘密」ですが、ナレーション形式から仁科さん視点に変更しました。仁科さんの考えが違って見えると思いますので、お時間ある方は見直して頂けると嬉しいです。
「みんな!今日からこのクラスの仲間が増えるよ」
「ふーん。可哀想な奴だな」
オスカー先生の発言に対して、1番前に座ってる少年が素っ気なく呟きました。やさぐれてるなぁ…。
ちなみにEクラスの教室は長方形です。通常クラスは扇型でもっと広いんだけど、これは人数差による感じかな。
事前にオスカー先生から少ないとは聞いてたんだけど、7人しかいないとは…。この教室でもスカスカです。
「レオ君。そんな事を言ってはいけませんよ?まずは、みんなと一緒に勉強するサリーさんです」
「え、えっと。ビオス王国のリッケルトっていう町から来たサリーです!よろしくお願いします!」
「家名は無し…。平民か。難しい編入試験に合格できるのに、何でこのクラス送りの問題児扱いなんだ?」
レオ君、何だかガンガン来るね。遠慮ないなぁ。大商人ほどの影響力が無い平民だかららしいけど、階級関係無しを謳ってる学園としては公けに出来ないよね。
「レオ君。まず、君達は問題児じゃありません。この学園の仕組みが未熟が故に君達を傷付ける可能性があるんです。問題があるのは学園です。だから、学園側の人間として謝罪させて下さい。辛い思いをさせてしまいすいません」
「あ…いや、オスカー先生が謝る事じゃねーよ。悪い…」
なるほど…。オスカー先生の事は尊敬できそうな気がします。それに、レオ君は拗ねてるだけで根は良い奴なのかも。
「サリーさんも同じです。試験結果は素晴らしいものでした。サリーさんには何の問題もありません。ただ、素晴らしすぎたんです…」
「あー、あいつより上なのか…。そうなると平民だったら殺されるかもな…」
「もちろん学園としては何かあれば相手を注意します。でも、その「何か」は取り返しのつかない事かもしれない…。この学園では、サリーさんを守る方法が距離を取る事くらいしかできなかったんです。とても悔しいです…」
「俺が悪かったって…」
そういう事か。「平民だから」じゃないんだな。平民なのに成績が良すぎて一部の人間から不興を買って「危険だから」か。
そして、事情が分かったレオ君はバツの悪い顔をしてサリーちゃんの方を向きました。
「呼び方はサリーで良いか?俺の事はレオって呼んでくれ。クラスメイトなんだ、堅苦しいのはやめとこうぜ。あと、さっきは突っかかって悪かったな」
「うん!大丈夫だよ!宜しくね。レオ君」
うんうん。何だか若い子のアオハルな感じが良いですね!
………ん?若い子?あれ、よく見たら俺より全然子供な気がする…。
「早速友達になれたみたいで先生嬉しいです。あと、副担任の先生にも来てもらう事になりました。こちらのライトさんです」
「冒険者をやってるキャリー・ライトだ。戦闘技術の臨時講師としてこの学校に来た。んだが…オスカー、このクラスはハヤト達と同学年なのか?」
「え、違いますよ?ハヤト様達は高等部の2年で、ここは中等部の2年です」
勘違いしてた…。よくよく考えたらサリーちゃんの学年だもんね。俺と同い年な訳がなかった…。
「中等部の副担任をしても良いのか?俺は高等部の臨時講師なんだが」
「そういう事ですか。特に問題ありませんよ。よくある事です」
そうなんだ?まぁ日本の常識と同じとは限らないよね。
そんな事を考えていると、さっきのレオ君と、気の強そうな女の子と、猫耳な女の子が目を輝かせながら俺に話し掛けてきました。
「も…ももも…もしかしてSランク冒険者のライトさんですか!?」
「光属性と時空属性の希少ダブルって本当ですの!?」
「金クラス優勝候補のダリル叔父ちゃんが手も足も出なかったって言ってたにゃ!身体能力も凄いらしいにゃ!」
圧が凄い…。よく見たら3人以外の視線もかなり熱いな…。
「あぁ。Sランクのライトだ。光属性と時空属性を使う。接近戦もするので魔法剣士という感じだな」
「「「本物だぁー!!」」」
「あぁ、本物だ。とりあえず、レオ以外も名前を教えて貰えないか?」
「わたくしはルナですわ」
「私はタマだにゃ!」
気の強そうな女の子がルナちゃんで、猫耳少女がタマちゃん…ね。タマって、日本の文化を知らずに名付けられたのかな…。
それから他の子も自己紹介をしてくれました。
クールそうな男の子がルーカス君。
凄い美少女がチャーリーちゃん。
神官服を着てる優しそうな子がロッテちゃん。
それと、停学中の男の子が1人いるみたいです。
「ライト先生。中等部では戦闘技術の授業をされないんですよね?」
「あぁ。その予定だな」
「あの…。どうか俺達にもご指導頂けないでしょうか?」
「お!レオ、ナイス提案だにゃ!」
「確かに珍しく良い事をおっしゃいましたわ」
んー。教えるのは良いんだけど、授業とは別だから放課後になっちゃうかな。
「あぁ。大丈夫だ。ただ、時間は放課後になるし、時間の取れない日は他の事を優先させてもらうかもしれない。それても良いか?」
「もちろんです!」
「やったにゃ!」
この2人は特に元気だなー。クラスのムードメーカーなんでしょうね。
「他に放課後個別レッスンを希望する者はいるか?いるなら手を上げてくれ」
えーっと…他には…。ふむふむ…。全員ですね。
「みんな部活とか無いのか?」
「それは…。基本的にE組は入れてくれないんですよ…」
「………分かった。それじゃ放課後に特別授業をやろう。ホームルームが終わったら動きやすい格好になって校庭に集合だ」
「はい!」
クールを気取ってるルーカス君もこっそりガッツポーズをするのが見えました。微笑ましいな。
人数は少ないけど、なかなか個性的な子達が集まってますね。これから大変そうではありますが、それ以上に期待に胸が膨らみます!
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!
あと、下にある『小説家になろう 勝手にランキング』をクリックして貰えると助かります!
ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!




