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閑話① ゴトゴト

「麗奈、学術都市ってどういう国なんだろうね?」

「えっとね。何処の国にも属してないらしいよ。各国で不可侵条約を結んでるんだって!」

「へー。じゃあ今向かってる所は平和な場所なんだね!」


 私達は今、学術都市に向かって移動中です。兵士の人達が長距離移動に利用してる大きな馬車に10人ずつで乗ってます。内装は幌馬車よりはちょっとマシ…くらいな感じかなぁ。


「学術都市って遠いねー。コクヨクさんが引っ張ってくれたらすぐ着くのに」


 麗奈が外を眺めながら言ってます。でも、それは無理だと思うな…。


「たどり着く前に馬車がバラバラになると思うよ?」

「あ、そっかぁ。馬車がコクヨクさんの引っ張る力に耐えられないね」


 そんな馬車の中には、聖女パーティと海老原先生、あと生産パーティが乗ってます。生産パーティってちょっと個性的な人達なんだよね。

 でも、メンバーの1人である平野さんが行方不明になっちゃったから今は4人しかいないんです。だから、海老原先生が一緒に乗ると人数的にこういう分け方になりました。


 平野さんの事はショックだったけど…仁科さんと和也くんが調べてくれたら殺されたのは別人かもしれないって!

 何でも『悪さをしてた闇属性術師がいて、強い冒険者が倒した。』って話が冒険者ギルドから入ったらしいの。平野さんが行方不明な状態だから、アクル王国は状況的に平野さんが殺されたって判断したみたい。


 平野さんを探しに行きたいな。でも、アクル王国とビオス王国は微妙な関係だから、勝手に行くと戦争の原因になっちゃうかもだって…。止められちゃったけど、平野さんが心配…。

 それと、皇帝暗殺の件でバルトロ帝国の皇女様にも会わなきゃ…。


「ねぇねぇ、麗奈。学術都市に着いたら帝国の皇女様とお話しできるかな?」

「アレク王子は大丈夫って言ってたよ?」

「んー。でも、自分の親を殺した国の王子様が人を連れてきて、会ってくれるのかな?普通無理だよね?」

「むむぅ…。そう言われてみるとそうだね…」


 アレク王子と一緒に行ったら『お父様の(かたき)ー!』って襲われたりして…。

 そんな事を考えていたら、話を聞いてた仁科さんが会話に入ってきました。


「各国の事情は学術都市に持ち込んじゃ駄目なんだって。権力も通じないみたいだよ。表向きだけかもしれないけど。もしかしたら、それで話だけは聞いて貰えるのかも」

「そうなんだ?それでアレク王子とミレーヌ皇女が同じ学校に通えてたりするんだね。でも、表向きかぁ」


 よしっ!分からない事を悩んでてもしょうがない!とりあえず行ってみて、ダメならダメで別の方法を考えるっ!

 そう心に決めた時、馬車の片隅から歌声が聞こえてきた。


「あーるー晴れたー。ひーるー下がりー。他国ーへ続くみちー…」


 ド…ドナドナ!?


「手島氏…。この状況でドナドナは何ともソワソワするナリ…」

「ふふふふ…。この状況だからこそ、何だかエモくありません?かーわいい冬馬君、売られて行ーくーよー」

「え?僕?縁起でも無い事言うのやめてよー。女子が買えるんなら嬉しいけどさ」

「女子達は駄目よ。変態貴族に買われて色んな事をされちゃう冬馬君…ぐふふふ…」

「手島殿。何だか『エモい』の使い方が間違ってる気がするでゴザルよ…」

「そうかしら?私も山田君も縁の無い言葉だから正解が分からないわね」


 確かに荷馬車みたいな馬車で揺られてるけど…。生産パーティの人達の会話って難しいな…。


 ちなみに、平野さんは生産パーティの人達と仲良しって訳じゃないっぽい。一緒に話してるのを見た事が無いんだよね。

 パーティ決めの時に透以外で最後まで残ってたから、4人だった生産パーティに入っただけみたい。


 そうだ!私も詳しく無いけど生産パーティのメンバーを紹介します!


 中心人物なのが近藤 貴史(こんどうたかし)君。平野さんと同じ闇属性術師なんだけど、得意な魔法は違うみたい。最後に『ナリ』って付けるのが口癖なの。


 あと変わった口癖なのが山田 巧(やまだたくみ)君。最後に『ゴザル』って付けるんだよね。特性は付与術師で、いつも近藤君と何か作ってる。

 2人は小学校からの友達で、昔からこういう喋り方らしいよ。


 あと、最後の男子が椎名 冬馬(しいなとうま)君。見た目は可愛い感じで喋り方も普通なんだけど、何故か女子からは怖がられてるの。


 ドナドナを歌ってたのが手島 桃花(てじまももか)さん。男の子同士でエッチな事をしてる本を描くのが趣味なんだって。何人かの女子達から先生って慕われてるのを見た事があります。


 最後に平野未来さんで、俗に生産パーティと呼ばれてる5人になります。

 そんな感じで生産パーティの会話が聞こえて来てたんだけど、ふと仁科さんを見て見たら何やらニヤニヤしてる事に気付きました。


「仁科さん、何だか楽しそうだけどどうしたの?」

「え?あ、ごめん。アクル王国の騎士が『学術都市には魔物が徘徊しているが相手にしない様に!』って言ってたでしょ?」

「うん。注意事項として言ってたね」

「これって…モモちゃんみたいな獣人族の人達がいるって事だよね。そう思ったら楽しみで…」


 なるほどー!仁科さんはモモちゃんの事も凄く気にしてたしなぁ。

 すると、仁科さんの質問に和也くんが答えました。


「うん。そうなんじゃないかな?聞いた話だと血の濃さによって獣度が色々らしいよ。魔物の国って事になってる獣王国とかは色んな種族のモフモフ天国みたいだね」


 モフモフ天国って、何だか透みたいな言い方だね。でも、確かに私も楽しみっ!

 すると、私達の会話が聞こえてたみたいで、近藤君が凄い勢いでこっちに迫って来た。


「い…今の話は本当ナリか?ね…ねねね…猫耳少女がリアルに存在すると言うナリか!?」

「あ、うん。少なくとも獣王国には居るみたいだよ?今から通う学校に居るかは分からないけど…」

「むっっっひょー!!夢が…拙者の夢が叶うかもしれないナリ!」

「せ…拙者は……豊満な羊お姉様にお会いしたいでゴザル!」

「山田氏はマニアさんナリなー」


 どっちもどっちだよ!?

 えっと…ここ、女子も結構いるんだけどな…。仁科さんが凄く冷たい目で近藤君達を見てます…。


「ここにも心の獣に負けた人がいるんだね。和也くんの仲間…」

「ちょ!仁科さん!それは違うぞ!?」

「ぐふふ…。違わないナリ。方向性の違いだけで本質は同じナリよ」


 そんな会話をしていたら、流石に海老原先生が割って入ってきました。


「近藤君!山田君!佐藤君!欲望をさらけ出し過ぎです!そんな事じゃ女子達から嫌われちゃいますよ?」

「え?何で俺まで…」


 和也君は一緒にされた事が納得いかないみたいです。しかし、近藤君はそんな注意を気にする事もなく独自の反論をしました。


「吾輩らが3次元の女性に嫌われてるなんて分かりきってるナリよ。だから、女子に嫌われる事は何の問題にもならないナリ!!」

「近藤君。私は嫌ってないけど?」

「手島氏を女性と見て良いものか…」

「近藤君と田中君で絡んでくれたらもっと好きになるかも。田中×近藤でお願いします」

「腐った世界を否定する気は無いナリが、巻き込まないで欲しいナリ…」

「同じくでゴザル…」

「ヤバいわ…創作意欲が…。はぁ…はぁ…」

「既に妄想が始まってるナリ…」


 やっぱり生産パーティの会話は良く分からないよぉ…。


「麗奈…。どういう意味か分かった?」

「双葉ちゃん。全然分かんない…」


 麗奈も分からない仲間だったか。そんな私達の肩を海老原先生がポンッと叩きました。


「立花さんと白鳥さんは、そのまま清い心でいてね」

「先生。私は?」

「仁科さんは…理解できてたわよね?」

「ノーコメントです」


 海老原先生は、仁科さんの事を悲しそーな瞳で見ていました。

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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