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国王達②

「死んで償えぇぇぇえええええい!」


 騎士団長が剣を抜いて俺の方へと走ってきます。まともに相手をするのも面倒だな…。

 俺は右腕を部分強化すると、一度腕を引いてから高速で前面に突き出しました。まだ距離がある騎士団長に向けて掌底を放つ感じです。『何をやってるんだ?』って感じかもしれませんが…その掌底は音速を超えています。


 ドオォォォォン!!


 激しい音が響きました。そして、ソニックブームを受けた騎士団長は後ろへと吹き飛び、そのまま立ち上がる事ができません。と言うか、ピクリとも動きません。

 周りの騎士達が集まってきて急いで騎士団長の鎧を脱がすと、全身から血が流れていました。


「何だこれは…。ち…治癒室へ運べ!急げ!」


 騎士団長は担架で運ばれて行きました。全員の驚いた視線が俺に集まります。

 実は…俺も驚いてます…。衝撃波ってこうなるんだ…?まるで、一子相伝の暗殺拳を使う世紀末覇者にでもなった気分です。我が生涯にはまだまだ悔いがあるのでもっと生きたいとは思いますが…。


「風魔法が使えるのは…初耳だが?」

「魔法じゃ無い。手で煽いだら風が起こるだろう?それを激しくしただけだ」

「そんな事が…可能なのか?」


 宰相かな?玉座の横に立っている老人が質問してきました。音速と衝撃波の説明をするのが難しかったのでこういう事にしておこうと思います。

 すると、壁の向こうから声が聞こえてきました。


「やめとき!危険やって!」

「構わねぇって!実際に会わなきゃ判断できねぇだろ!」


 声は玉座の横にある王様用の扉から漏れてるっぽいです。

 そして、その扉が急に開きました。1人の男性と1人の少女が謁見の間へと入ってきます。


「待たせたな。俺がビオス王国の国王をやってるローレンスだ。まさかガズールの旦那を圧倒するとはね…。よろしく頼むぜ」


 何だか王様って感じがしない30歳位の男性が、国王だって名乗って来ました。

 影武者かな?と思ったのでじっくり見てみたのですが、予想に反して本物でしたよ…。


「冒険者のライトだ。で?俺を呼んだ理由は何だ?」

「貴様!陛下に向かって何と無礼な物言いを!」


 こっちは予想通りですが、ローレンスへの口調について周りにいる貴族達が怒り出しました。

 しかし、この事について当の本人であるローレンスが口を挟みます。


「構わん。確かに国民ではないし何かをしてやった訳でもない。こやつに敬まられる事は何もしていない。むしろこちらが助けられたのだ。口調くらい気にするな」

「しかし…」

「くどいな。俺が良いと言っている」

「承知…致しました…」


 なるほど…。ローレンスは結構話しやすいタイプかも…。

 文句を言う為に前に出てきてた貴族達は、後ろへ下がりました。


「それにしてもライトはせっかちな奴だな。呼んだ理由か…。まぁスタンピードを回避してくれた事の礼だな。表向きは」


 『表向き』って…。そんなに堂々と言うなよ…。なんて正直者なんだ…。百円を交番に届けるタイプか?


「じゃあ裏は何なんだ?」

「そんなのライトを見てみたかったってだけさ」


 ふーん。じゃあもう目的は達したんですね。だったら後はどうしようかな?と思っていたら、国王と一緒に入ってきた女の子が国王の服の裾を掴んでいました。

 少女はとても青い顔をして、首を横に振っています。

 あ…もしかして俺の事を鑑定したな?


 俺は魔眼で少女を見てみるとスキルに鑑定:4がありました。名前はライムか…。

 実は、こういう事もあろうかと、ステータスをいつもの嘘情報から変えていました。名前以外を『ー』(ハイフン)にしています。

 もちろんこんなステータスは普通にはあり得ません。つまり偽装している事は確定で、しかもライムの鑑定レベルを超えている事を示しています。本当は秘匿っていう魔王スキルなんだけど…。

 いつもの嘘ステータスだと舐められる可能性があるので、敢えてこうしてみました。


 って事は、『俺を見てみたい』って言うのは『鑑定スキルでステータスを覗きたい』って意味だったのかな?

 だとすると、ローレンスも結構タヌキなのかもしれません。


「ローレンス。つまり、俺と敵対するって事で良いか?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!いったいどうしたんだ?」

「ダ…ダメや…底が見えへん…。こいつに関わったら危険や…」


 さっきもチラッと聞こえたけど、関西弁?この世界にも似たニュアンスの方言ってあるんだな。

 まぁ良いや。とりあえず、ここが力の見せ所ですよね?


「これはローレンスの命令なのか?それともライム(・・・)の個人的な行動なのか?」

「うち…まだ名前言うてへんのに…」

「どちらが責任を取るのか?と聞いている」

「だから、待ってくれ!状況が分からん!」


 んー。演技…なのかな?俺には本音に見えるなぁ…。


「ライムが俺の事を鑑定した。ローレンスが探らせたんじゃないのか?」


 実は『鑑定したかも』って曖昧な状態なんだけど、ここはハッタリも込めて確定情報として話してみました。


「ライム…。本当か?止めておけと言ったのに…」

「ごめんやで…。まさか戦闘能力以外もバケモンやとは思わんかったんや…」

「ライト。どちらが責任取るのか?だったな。それならば俺だ。場合によっては鑑定させるつもりでライムを同席させていた。俺がライムの依頼元だ」


 暴走したライムに責任がある気がするけど…。でも、ローレンスは責任の取れる指導者なのか…。


「そうか。では、ローレンスに責任を取ってもらおう」


 俺はアイテムボックスからアンサラーを取り出すと、虹色に輝く美しい剣身を鞘から抜き放った。


「貴様!陛下に何をするつもりだ!騎士達よ!あの者を捕らえよ!」

「止めよ!ライトに手を出すでない!」


 国王の前で剣を抜く者が出たのです。流石に国王からの命令でも騎士達は止まりませんでした。

 うん。良い感じ!俺がその気になれば止められないって事を実感して貰いましょう!


 俺は、騎士達が俺に斬り掛かった瞬間に転移します。当然ながら騎士達の剣は(くう)を斬りました。

 そして、俺の姿を必死に探す騎士達は、玉座の前にいる俺を発見します。俺は、国王であるローレンスの首にアンサラーを当てていました。

2章はあと4話の本文と間話の予定です。

そのあと3章に入ります。引き続きよろしくお願いします。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ブクマして頂けたり、↓の☆で皆様の評価をお聞かせ頂けるととても嬉しいです!


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ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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