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ヘルマンの告白

やっと熱が下がりました…。結構キツイんですね…。

「そうですよね。アレ如きに倒される筈が無いとは思っておりました。そうですか。正体は高杉透でしたか…クククク…はーはっはっはっは!やはり私の仮説は正しかった!」


 僕の正体に気付いたヘルマンが笑い出しました。仮説って何なのか気になりますね。

 何だか色々と知ってそうです…。出来るだけ情報を引き出したい所だけど…。まずは、そもそもの確認をしましょう…。


「会った事は無いと思うが…高杉透を知っているのか?」

「勿論ですとも!高杉透をこの世界に呼んだのは、私と言っても過言じゃありません!」


 ………は?ヘルマンは召喚なんて使えない筈だけど…。


「何を言っている?召喚したのはイザベラ王女だろう」

「まぁ、直接的にはそうなんですけどね。イザベラ王女とは利害が一致していたので協力してたんですよ」

「協力?」

「はい。イザベラ王女は昔から勇者を召喚する事に躍起になっていました。しかし、残念ながらずっと失敗続きだったんです」


 イザベラ王女が召喚しまくっていたのはアクル王国の兵士補充じゃなかったのか?実は勇者だけが狙いだったのに失敗してただけなのか?


「そこで、私は個人的な見解に基づく仮説をイザベラ王女に説明させて頂き、ある提案を行いました」

「いったい何を提案したと言うんだ?」

「ふふふ。気になりますか?では、ヒントを差し上げましょう。イザベラ王女は勇者を呼びたかった訳ですが、実は勇者には必要な物があります。それが何だか分かりますか?」


 んー、何だろう…。聖剣とか?もっと根本的な事だとすると勇気とかかな?


「そうだな。勇気(・・)か?」

「ふふふふ…。残念ながら惜しいですね。答えは……魔王様(・・・)。あなたですよ」


 ちょっと…意味が分からないな…。どう言う事だ…。


「それが個人的な見解って奴か?」

「その通りです。んー、納得頂けていない感じですか?では…勇者は何故(なにゆえ)に勇者なのでしょうか?」

「だから、勇気がある者だから勇者なんじゃないのか?」


 文字のまんまで当たり前の話だけど…。


「はい。その通りですよね。では勇気があるとは?超常の力を以って一方的に蹂躙する事を勇気と呼びますか?」

「呼ばないな。勇気とは恐怖に立ち向かう心…。そういう事か…」


 確かに勇者とは世界最強を指す言葉って訳じゃ無いと思う。むしろ、世界最強なんであれば勇気なんて必要ないのかもしれない…。

 やっと理解した僕を見て、ヘルマンが笑顔で頷いています。そしてヘルマンは、イザベラ王女に提案した内容を喋り始めました。


「勇者とは、魔王という絶望的で最恐な存在を相手に立ち向かう勇気を持つからこそ勇者なのです!つまり、勇者とは魔王ありきの存在なのです!ですから…私はイザベラ王女に提案しました。魔王召喚(・・・・)を」


 まさか…流石にイザベラ王女でも魔王召喚を受け入れたりは…。

 僕の怪訝な雰囲気を感じ取ったのか、ヘルマンはその答えを喋り始めました。


「流石はイザベラ王女です。魔族から魔王召喚を提案されてすんなりと受け入れられてましたよ。勇者さえ呼べるのなら魔王が召喚される事はどうでも良かったみたいです。狂ってますね」


 マジか…。クラス召喚に使用されたのは単純な異世界召喚じゃなくて魔王召喚だった?


「でも、問題はそこからでした。新たな魔王様はどうすれば召喚できるのか?さっぱりでしたよ。でも、そんな時に先代魔王様の遺品を手に入れる事ができました。そして、5年もの歳月を研究に費やした結果…魔王様と波長が合っている者を召喚条件とする方法が分かったのです!私の考えは正解でした!その結果、魔王と勇者は同時に召喚されたのです!」


 何故かは分かりませんが、先代魔王と僕の波長が合っちゃったみたいですね…。なるほど…確かに僕をこの世界に召喚したのはヘルマンだと言っても過言ではないみたいです…。


「つまり、勇者を求めるアクル王国と魔王を求める魔族が共謀して召喚したのか…」

「んー。アクル王国と魔族ではなく、王女と私ですけどね。まぁそんな感じです」


 でも…そうなると…。クラスメイト達は…。


「あ、気付きましたか?その通りです。クラスメイトは貴方の道連れですね。可哀想に」


 こいつ…。僕の所為だって言うのか…。


「何故、俺だけを召喚しなかったんだ?」

「それはイザベラ王女の都合ですよ。私の目的は貴方でしたが、イザベラ王女の目的は貴方に挑む愚かな勇者ですからね。周囲の者を出来る限り連れて来た方が勇者発生の可能性が高まるというものです」


 結局は、やっぱりお前達の都合でお前達がやった事なんじゃないか…。


「しかし…召喚に協力した甲斐があったと思ったのに…あなたはあんな勇者にやられてしまった…」

「そう言えば妙な話だな。魔王の存在を望んでおきながら何故アクル王国の魔の手から助けなかったんだ?」

「試させて頂いたんです。あんな勇者に負けるようでは…と思いまして。ところが、貴方は勇者にあっさりと負けてしまった…。正直に言って落胆せざるを得ませんでした…。貴方だけが希望だったのに…」


 ヘルマンの希望なんて知らないよ…。勝手に連れて来られて、魔王扱いされて、後ろから聖剣で刺されて、穴に捨てられて…いったいどうすれば良かったって言うんだ…。


「でも、死んだとは信じられなかったので探したんですよ?しかし、残念ながら貴方を見つける事は出来ませんでしたが…」


 ヘルマンは暗い顔で項垂れます。でもそれは一瞬で、すぐに満面の笑みを浮かべながら顔を上げました。


「だが、生きていた!しかもこんなに強くなって!貴方ならば…我々の希望と成れます!」

「お前は…俺に何をさせたくてこの世界に召喚させたんだ?」


「魔王様!高杉透様!どうか…我々魔族を導いてください!魔族に安住の地をお与え下さい!!」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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ランキングサイトに移動しますが、そのサイトでの順位が上がるみたいです。よろしくお願いします!

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