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蹂躙

「ひとまずここら辺で戦ってみようかな」


 僕は森の奥まで歩いて来ました。途中で現れた魔物は魔法の訓練も兼ねて火、土、風の魔法で倒してます。まだレベル10になってないんですよ。

 誰も見てないからどんな属性を使っても大丈夫なのが嬉しいですね!巻き添えの心配もいらないので日頃できない事をやってみましょう!


 という事で、標的を求めて周りを探知してみたのですが…なんと、すぐ目の前に大きな魔物がいました。


「え…このでっかい岩が魔物なの?やっぱり魔物の擬態って凄いなぁ…」


 初めて奈落迷宮に入った時にスライムにしてやられたのを思い出しました…。はは…こんな事じゃまた感知能力を鍛えろってクリシュナさんに指摘されちゃいますね…。


「えっと…亀なのかな?いや、これドラゴンなのか」


 魔眼で確認してみると、この魔物の種族名はアースドラゴンでした。防御力は高そうだけど動きは遅そうに見えますね。


「防御力に自信有りみたいだから、この魔法の切れ味を試してみようかな」


 僕は人差し指と中指を立てて右腕を上げると、そのまま前に振り下ろしました。指先からは凄い勢いで水が出て、じっとしていたアースドラゴンを真っ二つにします。


「お、いいね!こんなに切れ味が変わるのか。パッと見だと水魔法に見えるからトールの奥の手にしようかな」


 僕が使ったのは単純な水属性魔法ではなく水と土の合成魔法です。水の中には圧縮された砂粒が入っていて、ただのウォーターカッターに比べると切れ味が全然違いました。

 名付けるとたらアブレシブカッターって感じでしょうか?言いづらいな…。誰に言う訳でもないし別にいっか…。


 ドスンッ…ドスンッ…ドスンッ…


 そんな事を考えていると、大きな足音の様なものが近づいてくるのを感じます。と言うか、地響きが凄いです…。

 そして、足音がすぐそこまで迫ると、木々を倒しながら数体のギガントが目の前に現れました。


「でか…。リルより大きいから30メートルくらいかな?そうだ!力比べしてみよう!一度、魔力を抑えずに(・・・・・・・)身体強化してみたかったんだよね」


 僕はいつも魔力操作で力を抑えながら身体強化をしていたのですが、今日は普通に身体強化をしてみました。

 身体から魔力が溢れ、それが全身に染み渡っていく感じがします。細胞の一つ一つが魔力に包まれている感じです。


「あ、これヤバいかも…」


 ギガントが腕を振り上げました。そして、まるで虫でも潰す様に僕に手の平を落とします。

 僕は…何もしませんでした。その場に立ち尽くしてギガントを見上げています。そして、ギガントの手が僕の上に落ち、砂埃が舞い上がりました。


 グギャアアアアアア!!


 ギガントの叫び声が響きます。砂埃がおさまると僕の身体はギガントの手の平を突き抜けていました。


「身体は全然平気だけど…。そんな事より動きが遅過ぎて待つのが辛いな…」


 どうやら脳細胞や神経も強化されてるみたいです。処理速度が速過ぎて、周りがスローモーションに見えます。


「とりあえず、目的の力比べをしよう」


 僕はギガントの手の平を引き裂いて外に出ました。そして、太い腕を掴んで引っ張ってみようとしたのですが…掴んだ腕を握り潰してしまいます。投げようとすると腕を千切ってしまいそうです…。


「うわ…豆腐でできてるみたい…。優しく…優しく触らないと…」


 ん?何だか…本末転倒な感じがしますね…。そもそも討伐対象な訳だし、力比べはするまでもない状態みたいなので…もう普通に倒しちゃいましょう!

 僕は軽くジャンプして30メートルくらい跳ぶと、ギガントの肩から手刀を叩き込みました。そして、そのまま袈裟斬りにしてギガントの身体を斜めに切り裂きます。


「アンサラーなら平気かもしれないけど下手な武器だと確実に壊しちゃう…。とりあえず他の個体も素手で苦しめずに倒しちゃおう」


 僕は止まって見えるギガント達へ駆け寄ると、ジャンプして首筋に手刀を叩き込みました。まぁ…結論は分かっているとは思いますが、首と胴はそのままお別れする事になります。


「んー…なんて力任せで無様な戦い方なんだ…。これは師匠に合わせる顔がないな…」


 この力に振り回されずに合わせられる様にしないと…。まだまだ修行不足ですね。


「とりあえず気を取り直して…次はどうしようかな?一体一体やってると時間掛かるし…折角だから派手に行ってみよう!じゃあ…ボルケーノ!」


 僕の前には10メートル規模の燃える岩が何個も現れました。岩の裂け目からはドロドロのマグマが滲み出ています。ちなみにこれは、見た目の通り火と土の合成魔法です。


 僕が右手を上げてから前に向けると、燃える岩はその方向へ飛んで行きました。まるで大砲を撃ったみたいです…。


 ドゴッ!ドンッ!ドゴンッ!!ゴオォォォォォォォォ…。


 飛んで行った無数の岩は着弾の衝撃で魔物達を吹き飛ばしました。そして、炎を撒き散らしながら転がると、更に魔物達を潰していきます。ただ…燃え広がる炎で目の前が真っ赤です…。


「千体くらい倒したかな?でも…これをやり続けるのは駄目だね…。森に木が無くなっちゃう…」


 森全体に広がったらヤバいし、火は消した方が良いよね?どうやって消そうかな…。そうだ!雨を降らそう!ついでに雷撃で攻撃だ!


 僕は手を空に向けると、いつもとは違うイメージで雷魔法を使いました。火事になっている所も含めた半径1キロくらい限定で空に雲が集まります。


 ゴオン…ゴオオン…。ゴロゴロ…。


 集まった雲では雷が閃いていました。そして、ポツリポツリと雨が降り始めます。


「それでは行きますか!雷の雨!」


 ビカッ!ズガンッ!ズガガガンッ!ゴロロロロロロロ…。ビガビガッ!ズガガンッ!


 雷雨ではなくて雷の雨です。無数の雷が、まるで雨の様に大地へと降り注ぎ魔物達を殲滅していきます。

 火も消せるし魔物も大量に倒せて一石二鳥ですね!


 そして、そのまま15分ほど雷を落とし続けました。範囲内に関しては殆どの魔物を倒せたと思います。


「1万体くらいは行けたかな?でも、まだまだ減らさないとね。もっと広範囲で魔物をピンポイントに狙える方法ってないかなぁ…」


 範囲が狭いと時間が掛かるし、魔物をピンポイントで狙えないと森が消失してしまいます。

 という事で、そんな良いとこ取りな魔法がないかな?と考えたのですが…1つ思い当たる魔法がありました。


「この前は訳が分からなくなって失敗したあの魔法…。脳も強化されてる今なら行けるかもしれないな…。では、まずは森全体の探知だ!」


 僕は森全体を対象に探知魔法を使いました。いつもならこんな範囲で実施すると頭が痛くなるのですが、今日は強化されてるので平気です。


「あれ?リルが魔物を引き連れてる…とりあえずこの魔物達は対象外にした方が良いかな」


 いったい何があったんでしょうね?もし倒した方が良い相手だとしたらリルに任せようと思います。


 では全体が把握できたので、次は水魔法です!僕は森の至る所で水レンズを作成すると魔物達に照準を合わせました。

 前はここで大量のレンズを細かくセッティングする事が出来なかったんですよね…。僕の脳の限界でした…。


 そして、僕の目の前には一際大きな水レンズがあります。実は表面には細かな凸凹が沢山あるんです。

 よし!これで準備完了です!じゃあ…維持してるのも大変なんで早速行きたいと思います!

 僕でも難しい魔法…スキャタリングレイ!!


 僕は、手加減抜きの光魔法を目の前の大きなレンズへぶち込みました。

 光は拡散して、屈折して、反射して…各レンズを渡りながら数万本の光の線になります。その光の線は…無数の魔物を貫いていました。


 そして光が収まると、森が…とても静かになった(・・・・・・)気がします…。


「ふぅ…3万体くらい倒したかな…。制御が難しいけど、こんな一方的に殲滅できるなんて…まさに蹂躙だ……」


 これで魔物の数はかなり減りました。余計な被害が出なくて便利だけど、脳を強化してないとやっぱり難しそうです。まぁ別にリスクも無いので強化すれば良いんですけど…。


「あとはリルとコクヨクに任せれば外は大丈夫かな。よし!僕はイビルドラゴンの洞窟に行ってみよう」


 という事で、僕はイビルドラゴンのいる洞窟に向かいました。大体の場所は古狼の牙に聞いていたし、探知魔法をした時に目星はついていたので、すぐに見つける事ができました。


「うわ…。確かに濃い瘴気が溢れてるな…。バス、イビルドラゴンってこんなに強力な瘴気が出せるの?」

『おかしいっすね!普通はこんなに強力な瘴気は出せないっす!もしかしたら身体に打たれてたっていう杭が関係してるのかもしれないっす!』

「そっか。まぁとりあえず奥に行ってみよう」


 虎穴に入らずんば…と言う事で、僕は洞窟の中へと入って行きます。

 洞窟に入るとすぐに魔物と出くわしました。これがキマイラか…。僕はキマイラに近付くと手刀で真っ二つにします。

 そこからは、進めば進むほどに魔物が出てきました。まぁ…普通の身体強化をしている僕の敵ではないんですけどね…。


「とは言っても、確かにこんな地表にいるのはおかしい魔物ばっかりだね…。まるで、奈落迷宮の深層階みたいな感じがする…。まさか…」


 僕はリッケルトで戦ったゴブリンロードの事を思い出しました。正確に言うと、ゲートを使った落とし穴を…。

 そして、そんな嫌な想像をしていると、こんな洞窟の中で見知った相手から声を掛けられてしまいました。


「んー。ライトさん。こんな所まで何しにいらっしゃったんですか?とても迷惑ですよ?」

「もしかしたらお前達の邪魔をしに来たのかもな。ヘルマン(・・・・)

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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