リルの戦い
「わーい!戦闘だー♪」
リルは森の中を走っていました。大型の魔物が通った跡なのか、森の中には巨大バージョンのリルでも余裕で通る事ができる太い道が存在しています。
はしゃいで走るリルは、前方に魔物の集団を発見しました。オークの上位種であるハイオークがゾロゾロと歩いています。
「えいっ!」
リルはハイオークの目の前で止まると、斜め下から掬い上げる様に腕を振りました。リルの腕に吹き飛ばされて3体のハイオークが宙を舞います。
そして、リルは大きな口を開けると、空中でパクッパクッパクッと3体とも丸呑みしてしまいました。
「んー、美味しい!けど、人間の料理の方が美味しいかなぁ?」
そんな一方的な捕食を目の当たりにした残りのハイオーク達は、我先にとその場を逃げ出してしまいます。しかし、リルに一瞬で追い付かれると、みんな宙に吹き飛ばされてから一口で食べられてしまいました。
「わーい!今日は食べ放題だー♪」
リルはこの状況をとても喜んでいます。そして、リルは次の標的としてオーガの集団に目を付けました。口からヨダレを垂らしながらオーガに向かって駆け寄っていきます。
オーガ達は、凄い勢いで近付いてくる巨大な狼に対して棍棒を構えました。
近付いてくる狼は自分達よりも圧倒的に大きいので、小回りが利かない様に感じられます。その為、オーガ達は何も考えずに棍棒を振り下ろしました。攻撃が避けられるなんて想像もせずに…。
しかし、巨大な狼は信じられない速度で前後左右上下という複雑な動きをすると、全ての棍棒を避けつつオーガ達の横をすり抜けて行きます。
そして…オーガ達の横をすり抜ける時に…リルはオーガ達の上半身を全て食べていました。そんなリルがオーガを食べた感想を言います。
「この大きい鬼さんが1番歯応えがあって好きかも!」
どうやらリルは、オーガキングの歯応えがとても気に入った様です。
オーガキングはAランクの魔物なんですけどね…。
そして、次の獲物を探すリルがそのまま道なりに進んで行くと大きな広場に辿り着きました。そこでは2種類の魔物がひしめき合いながら争っています。
魔物の種類はオーガとトロールで、両陣営を合わせた数は千体以上は居そうです。どうやら種族間で戦争の様な事が起きているみたいですね。
たぶんですが、両方とも数が増えすぎて食糧不足になってしまったんでしょう。さっきのオーガキングはここへの増援部隊だったのかもしれません。
「わーい!ご飯がいっぱいだー♪」
千体の魔物がご飯にしか見えていないリルがオーガとトロールに襲い掛かろうとしています。ところが…そんなリルよりも一瞬早くオーガとトロールに襲い掛かる存在が現れました。
それは、見た目としては大きな岩の塊なのですが、岩から伸びた首や手足がまるで亀の様でもあります。
襲っているのはアースドラゴンでした。巨大バージョンのリルと同じくらいの大きさが有る身体で、オーガやトロールを片っ端から食べ始めます。
オーガとトロールは大混乱で、アースドラゴンに食べられるがままになっていました。両陣営の大将であるオーガロードとトロールロードは自分達の部下達に撤退指示を出しています。
「取っちゃやだー!リルのだよー!」
別にリルのではないのですが、横取りされた様に感じてるみたいです。リルはお食事タイムなアースドラゴンに近づくと、岩の様な鱗を引き裂きました。
ギュオォォォォォォォォ!!
鉄壁を誇るアースドラゴンは、生まれて初めての痛みに叫び声を上げました。まさか自分の鱗が貫かれるとは思ってもみなかったみたいです。
「かたーい!」
ただ、リルとしても思ったよりは硬かったみたいです。ノーマルドラゴンの中では最高の防御力を誇るドラゴンですからね。
そして、やられたアースドラゴンもただただ黙っている訳ではありません。口の中に岩の塊を生み出すとリルに向けて吐き出して来ました。しかしリルは、吐き出された岩をサイドステップで簡単に避けてしまいます。
「んー。どうやって倒そうかなぁ。そうだ!」
地道にアースドラゴンの鱗を壊しても良いのですが、リルはもっと簡単な方法を思いつきました。
リルは、アースドラゴンに駆け寄るとその背中に飛び乗りました。そして、リルの毛が逆立ちます。更にリルの全身に電流が流れました。つまり、雷狼化による電撃攻撃です。
ギュオォォォォォォォォ!!
電撃を背中から受けたアースドラゴンは苦しそうに叫び声を上げました。しかし、背中への攻撃手段を持っていない様で、ドタドタと暴れる事しかできません。
しばらくすると…アースドラゴンの膝はその場で崩れ落ち、鱗の隙間からは煙がプスプスと出て来ました。アースドラゴンはそのまま永遠に動かなくなります。
リルは大きく口を開けると、自分と同じサイズのアースドラゴンを丸呑みしてしまいました。リルのスキル『悪食』は、倒した相手のサイズや硬さに関係なく丸呑みする事が出来るんです。
アースドラゴンを倒したリルは、横取りされそうだったご飯を食べようと後ろへ振り返りました。すると…両陣営のロードを筆頭に全てのオーガとトロールがリルに平伏しています。
「デ…伝説ノ第一師団長ミダイダ…。オデノ部下ヲフグメデ配下ニシデグダサイ」
「トロール族モオ願イシマス」
「え?リルの手下になりたいの?んー、約束守れるならいいよー?」
「ヤグゾグ?」
「うん!こっちから人間を襲わないこと!守れる?」
「ヤグゾグ、マモル」
「トロール族モマモル」
「じゃあ良いよ!でも、そうなると手下は食べれないなー。みんなで別のを食べに行こー!」
こうして、リルが手下を引き連れて別の所へ行こうとすると、遠くの方で大きな音が聞こえてきました。
ドゴッ!ドンッ!ドゴンッ!!ゴオォォォォォォォォ…。
何か大きな物が地面にぶつかった後、トールが向かった奥の方で森が盛大に燃えています。
「トールがやりすぎてないかしんぱーい!」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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